安倍首相「参院選の最大争点はアベノミクス加速か後戻り」→後戻りするだけで労働者世帯の可処分所得21万円増、アベノミクス加速で日本のタックスヘイブン化進み貧困と格差は極まり日本経済こそリスクになる

安倍首相が消費税増税再延期などを表明した6月1日の記者会見。いろんな論点がありますが、まずは「アベノミクスの加速」問題についてです。

安倍首相は記者会見で以下のようなことを何度も繰り返しています。

 今こそアベノミクスのエンジンを最大にふかし、こうしたリスクを振り払う。一気呵成に抜け出すためには「脱出速度」を最大限まで上げなければなりません。

アベノミクスをもっと加速するのか、それとも後戻りするのか。これが来る参議院選挙の最大の争点であります。

伊勢志摩で取りまとめた合意を議長国として率先して実行に移す決意であります。アベノミクス「三本の矢」をもう一度、力一杯放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋、講じる考えです。

世界経済がリスクに直面する今、ロケットが大気圏から脱出する時のように、アベノミクスのエンジンを最大限にふかさなければなりません。デフレからの「脱出速度」を更に上げていかなければなりません。

安倍内閣総理大臣記者会見(6月1日)より

 

安倍首相に言わせれば、日本だけアベノミクスで大成功していて、世界経済の「リスク」についても、「アベノミクスのエンジンを最大限にふか」して「アベノミクスを加速」しさえすれば、うまくいくかのようですが、そもそも日本でアベノミクスは成功しているのでしょうか?

(※以下、ツイートを前提にして短文とグラフで順不同に次々と指摘していきます)

アベノミクスで「一人当たりの名目GDP」は激しく落ち込んでいます。安倍首相の公約通りアベノミクスが加速すると日本経済はさらに落ち込みます。(※グラフは内閣府データから作成)

アベノミクスで「一人当たり名目GDPのOECD加盟国中の順位」は史上最低の20位に転落。安倍首相の公約通りアベノミクスが加速するとGDPはさらに落ち込みます。(※グラフは内閣府作成

IMFの世界経済見通しのGDP伸び率(2017年)がマイナスなのはG7で日本だけ。「日本経済こそリスク」で安倍首相の公約通りアベノミクスが加速するとさらに日本のリスクは高まります。

実質賃金はアベノミクスでリーマンショックより下がり、26年間で最低で5年連続低下。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると実質賃金は下がり、労働者の暮らしはいっそう困難になります。

 

GDPの6割を占める個人消費は戦後初の2年連続マイナス(2014年度▲2.9、2015年度▲0.3)。激しく家計消費が落ち込み、安倍首相の公約通りアベノミクスが加速すると家計は火の車 になってしまいます。

 

タックスヘイブンでの大企業の税逃れ。この1年でケイマンへの投資は11兆5千億円増の76兆3千億円。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速するとタックスヘイブンでの税逃れは更に膨らみます。

 

アベノミクスで大企業の法人税負担率は12%まで下がり中小企業の55%しか負担していません。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると日本のタックスヘイブン化が一層進みます。

アベノミクスで所得100億円超の富裕層の税・社会保険料負担は所得100万円の貧困層より低くなっています。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると日本のタックスヘイブン化が一層進みます。

アベノミクスの3年間で富裕層上位40人の資産は倍増。貯蓄ゼロ世帯は466万世帯増。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると富裕層の資産増と貯蓄ゼロ世帯増の格差拡大が一層深刻化します。

アベノミクスでワーキングプアは49万人増で1139万人、報酬1億円以上の大企業役員は1.4倍増と過去最多。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速するとワーキングプアが更に増えてしまいます。

アベノミクスは大企業の内部留保をこの2年で27兆4千億円も増やし実質賃金は大幅減。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると大企業の内部留保は更に膨れ上がり、実質賃金は減ってしまいます。

アベノミクスの2年で最も景気回復したのは自民党のふところ。自民党への企業献金は6割増。一方、労働分配率は1割減。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると自民党のふところが膨らみます。

アベノミクスの3年間で正規労働者は27万人減。昨年10月時点で非正規労働者の割合は初の4割に達しました(厚労省調査)。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると非正規化が深刻化します。

アベノミクスの実質最低賃金の引き上げ率は2.5%。民主党政権は6.1%。民主党政権の方が2.4倍も実質最低賃金をアップ。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると最賃は改善されません。

アベノミクスで役員報酬上位10人の報酬が2.4倍増。トップのオリックス宮内氏の時給は255万円で最低賃金の全国加重平均額の3千倍。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると一層格差拡大 してしまいます。

アベノミクスの3年間で労働者世帯の実質可処分所得は年間21万円減。安倍首相は雇用が増えたと言いますが正規減・非正規増で所得減。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると暮らしは困難に なります。

史上最高の軍事費5兆円超を安倍政権前に戻すだけで保育士の賃上げ月5万円可能です。安倍首相の公約通りアベノミクスを加速すると税金で人の命奪うだけでなく詰め込み保育で子どもの命をも奪う状況が深刻化します。

 

 

★国公労連の月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)

▼『KOKKO』2015年9月号 創刊号
〈特集〉官製ワーキングプア
非正規国家公務員をめぐる問題――歴史、現状と課題
早川 征一郎 法政大学名誉教授
座談会 官製ワーキングプア 国が生む貧困と行政劣化
山﨑 正人 国土交通労働組合書記長
竹信 三恵子 和光大学教授/NPO法人「官製ワーキングプア研究会」理事
鎌田 一 国公労連書記長
ハローワークで働く非常勤職員
〈創刊記念インタビュー〉
根深い自己責任論と無責任な安倍政権の「安保法制」
――他の国に代えられない憲法9条による国際貢献を
平野 啓一郎 作家
〈連載〉国公職場ルポ 第1回
[日本年金機構の有期雇用職員]
8,000人雇い止めと外部委託で年金個人情報はダダ漏れ
藤田 和恵 ジャーナリスト
〈連載〉ナベテル弁護士のコラムロード 第1走
「ゆう活」に見える安倍政権のブラック企業的体質
渡辺 輝人 弁護士
〈リレー連載〉運動のヌーヴェルヴァーグ 藤田孝典⑤
労働組合はもう役割を終えたのか ―労働組合活動の復権に向けて―
藤田 孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事
〈連載〉スクリーンに息づく愛しき人びと その1
階級連帯の内と外──『パレードへようこそ』ほか
熊沢 誠 甲南大学名誉教授 ほか

▼『KOKKO』2015年11月号 第2号
〈特集〉2015年人事院勧告
国家公務員賃金の社会的な意味
森岡孝二 関西大学名誉教授
[連載]国公職場ルポ 第2回
[社会保険庁職員525人の不当解雇]
年金スキャンダルの報復とクビ切りの実験台
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2015年11月号 第3号
〈特集〉疲弊する研究現場のリアル
〈座談会〉悪化する研究環境とポスドク若手研究者の無権利
国立研究機関で働くポスドク当事者
榎木英介 科学・技術政策ウォッチャー
早稲田問題のその後
松村比奈子 首都圏大学非常勤講師組合委員長
国立大学の運営問題と人文系学部廃止騒動について
「戦争法」と急進展する軍事研究
――国立研究機関アンケートから研究者の社会的責任を考える
池内 了 名古屋大学名誉教授
[連載]国公職場ルポ 第3回
[年金機構の正規職員とブラックな外部委託]
メンタル疾患の悪循環と社員110人に賃金未払い
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2015年12月号 第4号
〈特集〉戦争法と国家公務員
インタビュー
戦争法廃止の展望と安倍政権の野望
渡辺 治 一橋大学名誉教授
SEALDs KANSAI塩田潤さんに国公青年が訊く
戦争法と各行政
無権利な自衛隊員と戦争法
安全配慮義務違反の戦争法発動
菅 俊治 日本労働弁護団事務局長/弁護士
[連載]国公職場ルポ 第4回
[ハローワークの非常勤とダンダリン(監督官)]
―非常勤をパワハラ雇い止めするハローワーク
ブラック企業に説教するブラック労働行政
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2016年1月号 第5号
〈特集〉国家公務員の働き方改革を問う
〈霞が関で働く国家公務員座談会〉
霞が関不夜城で3千人が過労死の危機
「ゆう活」実態アンケートの結果について
個人番号制度と国家公務員
[連載]国公職場ルポ 第5回
[国土交通省東北地方整備局]
―人と予算足らず「官から民へ」のPPPで震災復興
旭化成建材の杭打ちデータ偽装と同様の危険性も
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2016年2月号 第6号
〈特集〉公務員のお給料
日本の公務員賃金
「決め方」「水準」「支払い方」と労働基本権
早川征一郎 法政大学名誉教授
国家公務員のキャリア組ってなに?

▼『KOKKO』2016年3月号 第7号
〈特集〉被災地の公務員
インタビュー
憲法9条を守るだけでなく「戦争とテロを止める国」へ
高遠菜穂子 イラク支援ボランティア
〈特集〉被災地の公務員
福島原発の廃炉・除染作業に従事する労働者を守るため奔走
富岡労働基準監督署の仲間たち
東日本大震災から5年、国土交通省の職場は ほか

▼『KOKKO』2016年4月号 第8号
〈特集〉国家公務員の職場って?
各行政の現場から
労働/厚生/医療/情報通信/法務/税関/
経済産業/司法/気象/公共事業/運輸/航空
〈VOICE〉国公職場で働く青年から
〈座談会〉民間から見た公務の働き方 ほか

▼『KOKKO』2016年5月号 第9号
〈特集〉再検証「官から民へ」
誰が「橋下徹」をつくったか
松本 創 フリーライター インタビュー
「ハローワークの民営化」問題
官製ワーキングプア化する委託労働者
対談「最低賃金1500円」の新しい波
藤田孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事
小林俊一郎 AEQUITASメンバー ほか

▼『KOKKO』2016年6月号 第10号
〈特集〉国立大学クライシス
学生を苦しめる高学費・奨学金ローン地獄
国立大学法人化で論文数減
経済界主導の「大学改革」
止まらぬ教職員の非正規化 ほか

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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