正規減っても非正規増え総雇用増だからアベノミクスで好況?→労働者世帯の可処分所得が年間21万円も減り家計消費激減し好況とは言えない、中小企業の昨年度の売り上げは前年度の約1割減

  • 2016/4/2
  • 正規減っても非正規増え総雇用増だからアベノミクスで好況?→労働者世帯の可処分所得が年間21万円も減り家計消費激減し好況とは言えない、中小企業の昨年度の売り上げは前年度の約1割減 はコメントを受け付けていません。

昨日のエントリー「安倍首相は毎日がエイプリルフール=「8年ぶりの正規雇用増で日本経済回復」→事実はアベノミクスで正規雇用36万人減で実質賃金も家計消費も過去最低となり大企業の景気判断も悪化」に対して、「正規雇用は減っても非正規雇用が増えて総雇用が増えていることがアベノミクス好況の証拠だ」との意見が寄せられました。本当でしょうか?

下のグラフ(総務省「労働力調査」)にあるように、アベノミクスの3年間で正規労働者は27万人減で、非正規労働者は167万人減ですから、確かに雇用総数では140万人も増えています。ところが、各種世論調査で国民の8割が「景気回復の実感がない」と答えています。国民の8割が景気回復を実感しない「好況」って何なんでしょうか? そして先月、日本政府が開催した「国際金融経済分析会合」においても、雇用総数では140万人も増えているのに、スティグリッツ米コロンビア大学教授やクルーグマン米ニューヨーク市立大学教授からも、消費税増税は「やるべきではない」との意見が相次いでいるのはどうしてなんでしょうか?

それは下のグラフを見れば分かるように家計消費(総務省「家計調査」)がアベノミクスでかつてないほど落ち込んでいるからです。

 

家計消費が落ち込むと当然、景気が悪くなるので、昨日のNHKニュースの報道にあるように、「個人消費の低迷」で「中小企業の昨年度の売り上げは前年度の約1割減」ということになるわけです。

なぜ家計消費が落ち込むかというと、下のグラフにあるように、実質賃金がアベノミクスでかつてなく下がり続けているからです。

 

ここで、安倍首相は国会答弁で「実質賃金は平均だから非正規が増えたことで下がっているだけだ」と言いましたが、冒頭で紹介した「アベノミクスで好況になっている」と主張する方も同じことを言うのでしょうから、勤労者世帯(2人以上世帯)の実質可処分所得をグラフにしたものが以下になります。(※実質可処分所得は、総務省「家計調査」「名目の可処分所得額」から「消費者物価指数」を考慮した数字で、まさに勤労者世帯が自由に使用できる所得の総額になります)

 

上のグラフにあるように、勤労者世帯の実質可処分所得は2012年の月42万6284円から2015年の月40万8480円へ1万7804円も減っています。年間にして21万3648円もアベノミクスの3年間で可処分所得が減ってしまっているわけですから、総雇用者数がいくら増えたとしても正規減・非正規増や賃下げなどによって労働者の所得が減ってしまっては「好況」の証拠などにはならないことが政府統計で確認できるのです。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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