コミュニティ・オーガナイジングが労働組合運動を変える――組織が官僚化し弱体化するのを根底からひっくり返す|JILPT 山崎憲氏

  • 2016/5/31
  • コミュニティ・オーガナイジングが労働組合運動を変える――組織が官僚化し弱体化するのを根底からひっくり返す|JILPT 山崎憲氏 はコメントを受け付けていません。

明日、ちょうど2年ぶりにJILPTの山崎憲さんにインタビューさせていただきますので、2年前のインタビューを振り返りつつ紹介します。(ものすごく長文ですが労働組合関係者=すべての労働者はぜひ読み通してください!)

コミュニティ・オーガナイジングが労働組合運動を変える

労働政策研究・研修機構(JILPT)国際研究部副主任調査員
山崎 憲氏インタビュー

アメリカの労働運動とコミュニティ・オーガナイジングを研究されている山崎憲さんに、国公労連各単組の青年組合員らがインタビューしました。(インタビュー収録日=2014年6月4日。企画編集=井上伸)

コミュニティ・オーガナイジングに注目するきっかけ

――山崎さんがアメリカの労働運動と、コミュニティ・オーガナイジングに注目するきっかけは何だったのでしょうか?

労働政策研究・研修機構の前身の日本労働研究機構に入った時は、特に国を問わず、世界各国を回っていました。だいたい30カ国は回ったと思いますが、アメリカだけはずっと行く機会がなかったのです。

ところが、10年ほど前からアメリカの自動車産業の労働組合に注目し研究を始めることになりました。1980年代から90年代は、日本の自動車メーカーがアメリカに進出した頃の影響がまだ残っていると言われているときで、アメリカの労使関係とともに、アメリカの自動車産業の構造がかなり変わってきている時代でした。それがどうなっているのかを、アメリカの現地にも行って調査・研究してきたわけです。

そうしたアメリカの実態を調べていくうちに分かったことがいくつかありました。

労働組合は労働条件の改善を主な課題として取り組んでいるわけですが、アメリカの労使関係の中では労働条件を改善できないだけでなく、社会保障や年金、健康保険の水準低下もなかなか食い止められない。そうした労働組合運動の閉塞した状況が生まれていました。それが1990年代半ばから見えてきたわけですが、労働組合の弱体化がいよいよピークを迎えてかなり危ない状態になったのが2003年から2004年にかけてでした。

今の日本の労働組合でも同じようなことがあるのではないかと思います。労働組合がない民間企業や中小企業の方が多いですし、また労働基本権が奪われ労働組合の団体交渉機能が不十分な状態に置かれている公務員労働者などに危機的な状況が広がっています。

アメリカにおいても労働組合は交渉力が高いからこそ波及効果があったわけですが、その効果が非常に薄れてくる時代が2000年に入って顕著になっていました。つまり労働組合の交渉力の波及効果が薄れてしまって、労働組合に組織された労働者の年金、健康保険の水準が下がれば、労働組合に入っていない労働者はもっと下がる。労働者の日々の暮らしを脅かすような危険な状態になるということが起きてきたわけです。

そうしたことが、アメリカの労使関係の調査を実施する中で明らかになってきたのですが、それでは生活事態が危なくなっている労働者はどうなっているのだろう?という疑問が、コミュニティ・オーガナイジングを調べるようになった一つのきっかけだったのです。

コミュニティ・オーガナイジングが生まれた背景

――コミュニティ・オーガナイジングが生まれてきた背景には、どのようなアメリカの労働運動があったのでしょうか?

アメリカの労働運動を概括するというのも、これはなかなか大きなテーマでして、私は大学で講義を持っていますが、これだけで1年間くらいは使うようなテーマです。ですので、本当にかいつまんだ形で説明することになることを了承ください。

まず、アメリカというものにどういうイメージを持たれているでしょうか? アメリカはグローバル化の権化のような国で、たとえば新自由主義や規制緩和など、働く人に非常に厳しい状況を作り出している国だというイメージが強いのではないかと思います。

調査研究をしていく中で分かってきたことは、アメリカという国は非常に日本と似ているということです。日本の労働運動には、たとえば産業別労働組合をつくって労働組合の交渉力を高めていくとか、政治参加していくとか、漠然とヨーロッパをモデルにしたいというイメージがあると思います。けれど実際のところはなかなかそういう姿にはなっていない。アメリカと日本の共通性について、短い時間内でどこまでお話しできるか分かりませんが、かいつまんで紹介していきたいと思います。

「ニューディール政策」と労働組合

1930年代の「ニューディール政策」がアメリカの社会の基礎となっていて、現代もこの政策の枠組みはほとんど崩れていません。グローバル化と言っても、政治的にも経済的にも、この「ニューディール政策」の枠組みは完全には崩壊していないのです。

「ニューディール政策」は、労働組合を経済活性化のエンジンに置いて、団体交渉を使って労働者の力を高めようとしています。労働者側と企業側の競争力を均衡にしていくことが経済活性化につながるという政策が根底にあるのです。

なぜ「ニューディール政策」ができたかというと、1930年以前にあった世界大恐慌が発端となっています。アメリカの歴史の中でも餓死する人が多数いたと言われているほどの時代でした。なぜそれほどの不況になったかというと、たとえば金融資本に極端な自由度があり過ぎて、力関係が企業側にあまりにも傾いてしまったのです。そうした企業活動を規制しなければいけないということで様々な規制政策ができました。

ですから「ニューディール政策」の時代というのは、日本でいうなら1945年以降に労働組合がたくさんできてきた時代と非常に似ていると思っていただければいいと思います。

コミュニティ・オーガナイジングのルーツ

▼図表1を見てください。ここで様々な労働組合に関係する法律がつくられていきました。さらには、労働者を保護するような法律、そして社会保障に関する法律がつくられていきました。

当初は手に職がある人たちが労働組合員の主流でした。手に職があれば、労働者がその能力を使って企業家側、使用者側と交渉ができます。自分たちの賃金の交渉ができるのです。しかし機械化、工場化が進めば、状況が変わってきます。手に職がある労働者よりも、単純作業をする労働者が増えていきます。今でいう非正規労働の人たちと似たような状況が展開されたと考えてください。彼らの労働条件をどうやって引き上げていくのか?というときに、既存の労働組合との対立が起きたわけです。

アメリカの労働組合は、1930年代に2つの組織に分裂しました。手に職がある人たちと、手に職がない人たちの労働組合が分かれていったのです。手に職がない人たちの労働組合では、労働条件をどうやって引き上げていくのか、という問題が出てきました。対象となるのは、労働時間が果てしなく長く、日の出から夜暗くなるまで働いて、家に帰ってくるとベッドに倒れ込むというような人が一家の稼ぎ柱である父親で、それに加えて、もらえる賃金がわずかという労働者でした。子どもを学校に通わせることもできない。そういう人たちの権利を労働組合が守るとなれば、どうしても能力がある人たちと対立してしまう。それが分裂の大きな原因でした。

労働組合が使用者側と交渉するだけでは、家族の生活が良くなるわけではありません。子どもの教育や地域のインフラ整備など、学校、暮らしそのものを丸ごとひっくるめて引き受ける必要がありました。これがコミュニティ・オーガナイジングの起源です。アメリカで労働組合が2つに分かれた時代にこそ、活動の契機があったのです。さらにもう少し古い時代、19世紀末から20世紀初頭にもコミュニティ・オーガナイジングのルーツになる出来事はあったのですが、はっきりと表れたのはこの時期でした。今回は省略しますが、こうしたことのうち、日本にも伝播したものはありました。

労働組合の組織率が低下していく時代

時代は進み、世界大戦が終わります。アメリカの労働運動は、この時期を前後して隆盛の時期を迎えました。労働組合の数と、労働組合員の人数が最も増えた時期であったわけです。

しかしその後すぐに労働組合の組織率が低下していく時代が始まってしまうのです。1950年代には35%あった組織率が、2014年現在で11.3%まで下がりました。その間にも様々な紆余曲折の時期がありました。

朝鮮戦争、ベトナム戦争、ソ連を中心とする共産陣営がかなり大きな力を持っていたという緊張関係は労働運動にも影響を与えました。平和運動をしていた人たちを切り離すことになったのです。こうした人たちの多くが、コミュニティ・オーガナイジングに関わるようになったのです。

アメリカが日本的経営の影響を受けた

労働組合の組織率が低下するだけではなく、労働組合の社会的影響の低下ということも問題となってきました。労働組合の組織化を防ぐ経営に民間企業が変わったことも背景にあります。簡単に言えば、日本的な経営の影響が大きかったといって良いでしょう。生産現場の労働者一人ひとりを経営活動に参加させていくことで、生産性が上がるといった、日本的な経営の影響をアメリカの方が受けたのです。その根拠は、1970年代から90年代にかけて、労働組合の組織化を防ぐ日本企業の自動車や鉄鋼メーカーがかなりの勢いでアメリカ市場を席巻したことでした。アメリカ企業はそのために、存続の危機にひんしていました。アメリカ側はその時期に日本的経営を吸収して、取り入れていったのです。その影響下で、労働組合を迂回する環境が整っていきました。

連邦管制官労組ストライキとピットソン炭鉱ストライキ

政府側も労働組合を経済活性化の阻害要因として扱うようになっていきました。その1つの象徴として、1981年の連邦管制官労組ストライキがあります。これは、争議権がない公共部門の労働組合によるストライキです。背景には厳しい労働状況がありました。その労働者たちが、自分たちの労働条件の改善を求めて立ち上がったわけです。この人たちはもともと保守系の労働組合で、レーガン大統領を推していたので、ストライキをしてもレーガン大統領が助けてくれるだろうと思っていたのです。ところが、レーガン政権は弾圧を加えました。このとき、連邦管制官労組を全米中で救おうという運動が起きました。

もう1つ、1989年にピットソン炭鉱ストライキがありました。会社側が退職者に対する健康保険と年金額をカットしようとしたことが原因でした。ストライキを支えたのは、近隣住民、教会、全国の労働組合でした。

この連邦管制官労組ストライキとピットソン炭鉱ストライキの2つが、アメリカの労働組合が方向転換を始める契機になったのです。

一方でアメリカ政府は、1994年にダンロップ委員会で、アメリカの労働組合を企業経営にもっと協力させるためにはどうしたらいいか?という法律案を検討していました。それは、労働組合を企業競争力向上のために活用しようというものでした。

これには労働組合側だけでなく、経営側も反対しました。結果的にこの議論は頓挫しましたが、企業側は、労働組合がつくられやすくなることをおそれたのです。

同じ時期に、教育法の改正がありました。別名をスキルスタンダード法といいます。チームワークを重視し、一人ひとりの仕事の連携といった働き方を学校と職業訓練のなかに織り込んでいこうというもので、日本の強い影響を受けていました。そのため、企業にとってコアだと思われる人物については手厚い職業訓練をし、かつ長期雇用を促す一方で、そうではない労働者の賃金はできるだけ安くするという働かせ方が広がっていきました。

アメリカでは転勤を繰り返す働き方をしているというイメージがあると思います。けれども、昔から誰もがそうした働き方をしていたわけではないのです。日本企業に似たような仕組みにアメリカのグローバル企業は移ってきたのです。

社会的な運動と労働組合の運動をリンク

このような状況の中で、日本でいえば連合にあたる労働組合の全国組織AFL-CIO(アメリカ労働総同盟産業別組合会議)のスウィニー会長がニューボイスという新しい戦略を打ち出しました。これは労働組合の運動を様々な社会的な運動とリンクさせようというものでした。

スウィニーはAFL-CIOの会長になる前に、SEIU(サービス従業員労組)の会長でした。その時、SEIUの組織化担当にコミュニティ・オーガナイジングの活動をしていた人を当てたのです。平和運動をやっていたために労働組合から切り離した人をもう一度戻すという、まさに革命的なことをしたのです。今の日本でいうと、連合と全労連、全労協を統合するようなものでしょうか。

コミュニティ・オーガナイジングはいまやアメリカで知らない若者はいないというくらいに隆盛を極めるようになっています。そのきっかけとして、スウィニーの登場が欠かせません。

その後、就労証明書がない移民労働者が急激に増えた時代があります。不法移民労働者というと単にビザが切れている人のことを思い浮かべるかもしれませんが、ここでいう不法とは、就労証明書を持っていない移民労働者のことです。現在は1,000万人ほどいると言われています。この人たちがほとんど最低賃金に貼り付くような労働をしているわけです。日本に置き換えてみれば、派遣労働者や非正規労働者が同じような働き方をしていることになります。この1,000万人の労働、生活、暮らしの状況が厳しい。子どもたちの教育環境もとても良くない。その中で彼らを支えているものがコミュニティ・オーガナイジングです。

オキュパイ・ウォールストリートを支えていた
コミュニティ・オーガナイジングと労働組合

2011年のオキュパイ・ウォールストリートという運動はまだ記憶に新しいでしょう。この運動を支えていたのはコミュニティ・オーガナイジングと労働組合です。日本のメディアはほとんどそうしたことは報道しませんが、忘れてはいけない部分です。

2012年にはスーパーマーケットのウォルマートをターゲットにしたストライキが展開され、現在も続いています。最低賃金15ドルを求める運動も全米で展開されています。これも労働組合、様々なコミュニティ組織が支えています。労働組合とコミュニティ・オーガナイジングの接点が広がって運動が進んでいるわけです。

日本とリンクするアメリカの労組攻撃と組織率の低下

アメリカの労働組合バッシングは、日本的な経営をアメリカ企業が取り入れるようになってきたこととリンクしています。労働組合の存在が日本的経営を導入するうえで阻害要因となると考えられたからです。

同じことが公務員労働組合に対しても起きています。公務員の働き方が硬直的で非効率だとされ、その原因が労働組合にあるという形で非難されるようになってきました。州議会で公務員労組の権限を制限する法律をつくるといった状況があちこちでみられるようになってきました。日本でも同様のことがみられるようになってきていると思います。それに対して、労働組合側も柔軟な働き方に協力するようになっています。それでも、労働組合が経済発展の抵抗勢力というような攻撃を受けることなどを通じて、労働組合の組織率が低下しています。それにともない、労働組合員も非労働組合員もともに労働条件が低下するようになっています。

日本と酷似する就業者の3割まで増加した
インディペンデント・ワーカー

アメリカが日本と似ていることに、就業者の3分の1まで増加したインディペンデント・ワーカーの存在もあります。

アメリカもしくは日本の労使関係では、雇われずに働く人たちのことを枠外に置きがちですが、その数が無視できないほどに多くなっているのです。インディペンデント・ワーカーは、独立労働者とも言われ、雇われないで働く、いわゆる請負労働のような形で働いている人たちです。こういう人たちの数が就業者の3分の1にもなってしまっています。請負で働く人のことをフリーランスと呼び、自由で報酬も高いというイメージがありましたが、トラック運転手やテレビのディレクター、新聞記者たちが、請負契約という形で会社の外に出されて、年金や健康保険、職業訓練の機会の外におかれるようになっているということが実態なのです。

インディペンデント・ワーカーは、請負といいながら、雇われている人と変わらない働き方をするようになっています。同じようなことは、自営業を経営しているような人にもいえます。アメリカでは、自営業の人たちを助けるための失業保険に似た仕組みが求められるようになってさえいます。これは、雇用労働だけで社会を見ることができなくなっていることの現れです。ここにも、コミュニティ・オーガナイジングが広がる素地があります。

組織のメンバーが自分たちで課題をみつけ、
日常的な課題を継続させていくことを支援する

――そもそもコミュニティ・オーガナイジングとはどういうものなのでしょうか?

コミュニティ・オーガナイジングのルーツを求めて、1938年に産業別組合会議(CIO)がアメリカ労働総同盟(AFL)から分離した時期に遡ってみましょう。CIOの組合員は、手に職がなく低賃金で労働時間も長いといった人たちでした。労働をめぐる状況だけでなく、生活状況も非常に厳しい、いわゆるスラムと呼ばれるようなところに住んでいた人たちの労働と生活の状況を改善していくために用いられたのが、コミュニティ・オーガナイジングという手法でした。

ですから、コミュニティ・オーガナイジングは労働組合にルーツがあるのです。コミュニティ・オーガナイジングというと地域市民のものと思われがちですが労働組合との親和性を強調したいところです。

リーダーが引っ張っていくのではなく、
誰もが直接に参加する民主主義をつくり出す

コミュニティ・オーガナイジングを始めたのはソウル・アリンスキー(▼写真1)という人です。彼はシカゴの大学で学び、CIOで組織化に関わってから、コミュニティ・オーガナイジングに移っていきました。

ひと言でコミュニティ・オーガナイジングを説明すれば、「組織のメンバーが自分たちで課題をみつけ、日常的な課題を継続させていくことを支援する」ということになります。誰か強力な活動家がリーダーとなって引っ張っていくものではなく、顔の見える範囲で誰もが直接に参加する民主主義をつくり出す作業です。

ソウル・アリンスキーの後継者がつくった組織をIndustrial Area Foundationといい、現在も活動を続けています。アメリカだけではなく、オーストラリア、カナダ、ドイツなどにも支部があります。コミュニティ・オーガナイジングを実施している組織はここだけではなく、そこかしこにも存在しています。その中の一つだと思ってください。

コミュニティ・オーガナイジングでは、Social Change(社会変革)やSocial Justice(社会正義)という言葉をよく聞きます。社会正義といえば、日本では社会で間違っていることを直すという意味に捉えられているでしょうか。欧米では少し宗教的で精神的な意味合いが含まれます。それは追々説明していきたいと思います。

ソウル・アリンスキーの著作の中からいくつかセンテンスを紹介しましょう。

○「高賃金と労働時間短縮」という労働組合の伝統的な要求は、多種多様な目的のなかの一つとなるであろう。

○産業あるいは資本の安定化とその安全の確保に、組合のエネルギーと能力の大部分をふりむけることが労働組合の義務となっている。

○アメリカのラディカルは、労働組合組織というゆりかごのなかに深々と眠りながら、おちつかず、寝返りを打っている。

○すべての人がもつ可能性が実現される社会を、人が尊厳と安寧、幸福と平和のうちに生きる世界、すなわち、人類の道徳性にもとづいた世界の創造を望む。

○戦争、恐怖、困窮、墜落というような窮地に人間をつなぎとめておく、あらゆる害悪の根絶をめざして戦う。

非常に幅広い課題にまで運動の射程があることがわかるかと思います。

マイルズ・ホートンの実践

ソウル・アリンスキーはシカゴを中心に活動しましたが、南部のテネシー州でも似たような活動をしていた人がいます。マイルズ・ホートンという人物です。この人は自分の活動をコミュニティ・オーガナイジングと言っていたわけではありませんが、活動内容をみるとそういっても構わないと思います。マイルズ・ホートンは、アリンスキーと同じくCIOとのつながりがありました。CIOの組合員のための学校、ハイランダー・フォーク・スクールを始めていたのです。この学校は今でもテネシー州にあります。

ここは公民権運動の中心としても知られています。「I have a dream」で有名なキング牧師や、白人専用のバスの座席に座ることで黒人の権利を主張したローザ・パークスという女性もここで学んでいます。彼女の伝記には疲れたから白人専用の座席に座ったというようなことが書かれているのですが実際は違います。どういう時間帯にバスに乗り、どういう座席に座れば一番効果的かということを何度もシミュレーションしていました。あわせて、どのような組織や人々を結びつけていくかということも検討されていました。ハイランダー・フォーク・スクールはその中心にいたのです。

誰かがリーダーになって引っ張るのではないと言いましたが、ハイランダー・フォーク・スクールも似たような形態をもっています。後ろ姿でTシャツを着ているおじさんの▼写真2がマイルズ・ホートンですが、聞いている方もカウチに寝そべって聞いている。これがハイランダー・フォーク・スクールの一つの特徴になっていまして、リラックスした状態で、上下関係なく講義に参加する特徴があります。トレーニングには、歌も効果的に使われていました。

▼写真3はキング牧師(左端)とローザ・パークス(右から2番目)、ピート・シーガー(左から2番目)という公民権運動で有名なWe shall over comeという歌を歌った人が、ハイランダー・フォーク・スクールを背に立っています。

コミュニティ組織とは?

コミュニティ・オーガナイジングに重要なものとして「コミュニティ組織」があります。この「コミュニティ」という言葉が実は厄介なのですが、日本語に訳すと「地域」になったり、何となく理想的な価値観を持つもの、というイメージで考えてしまいがちです。実際はどういうものなのか、ということを紹介したいと思います。

まず、コミュニティ組織は何をしているのか、ということです。抽象的にいいますと、労働組合が担ってきた機能の代替や補完をしている例が多く見られます。1990年代からは、そうした傾向がますます強くなっています。労働組合の組織率が下がってきている状況と呼応していると言ったらよいでしょうか。

たとえば、ソウル・アリンスキーが取り組んでいたことをひと言であらわすと「工業地域における多様なアクター間の利害を調整すること」になります。「アクターは誰か?」というと、労働者がまず入ってきます。その家族も、その回りにいる地域住民も、そして企業経営者もいます。子どもたちが通う学校や教会などもアクターになります。アクターには、それぞれの思惑があります。その思惑をぶつけ合いながら調整させていこうとしたのです。そこは、労働と生活の接合でおこるアクター間の利害の調整というものでした。

「相互扶助」「制度政策要求」「権利擁護」を担う

コミュニティを基盤とした組織は、大きく分けると2つあります。1つはMembership Basedで、個人個人が加盟しています。もう一つは、Institutional Basedといい、組織を束ねています。教会や学校、NPO、企業、労働組合、行政といった様々な組織を束ねて何をやっているかというと、「相互扶助」「制度政策要求」「権利擁護」という、労働組合が担うべき事柄を担っているのです。

具体的に相互扶助からみていきましょう。住宅問題の解決支援がまずあります。安い賃金で働く人たちの中には、サービス業の人たちが大勢います。サービス業というのはサービスを受ける人たちがいる都市部で行われることが多いのですが、その場合、都市部に近いところに住まざるを得なくなるわけです。そうしたところは、住宅費が高いので、狭い部屋にたくさんの人が住むということが起きてくる。たとえば6畳1間に2家族住むというような住宅問題の支援をするということが1つあります。

それから食品の安全問題ということがあります。日本はこうした状態になるまで悪くなっていないのですが、貧しい人たちが暮らす地域ではまともな金額で商品が売れません。そうすると非常に安い金額で食料品を売る小売店鋪がでてくる。そこで期限切れの商品や、鮮度の落ちた食材を売るケースが往々にしてあります。ですから、食品安全問題に取り組むことが重要になっています。

治安、環境の取り組みは、貧しい人たちが暮らす地域できちんとしたインフラ整備がされておらず、警察官が見回りに来ることもないので、犯罪が起きるという状況をなんとかしようということです。

地域の学校の教育問題もあります。生活をするのにやっとの賃金しかなく、お父さんもお母さんも朝から晩まで働いている。子どもの勉強の面倒をみるのはなかなか難しい。そうした家庭の子どもたちの学力が遅れていく。経済的な理由から義務教育の高校を出ても大学には進めない。アメリカは日本と同じように高校から大学の進学率が60%を超えるなど、高くなっています。そういう状況では大学を出ないとなかなか仕事に就くことができません。ですから地域の教育問題は非常に大きなものとなっているわけです。

毎日違う場所で仕事する非正規労働者の拠り所をつくる

数が増えている非正規雇用に関連した課題に取り組むということもあります。請負や派遣で働く人が増えると、毎日違う場所で仕事をするというケースが増えてきます。すると、職場に行ってお互いの悩みを共有するということがなかなかできなくなります。ですから、こうした働き方をしている人に拠り所をつくるということが非常に重要になってきます。

さらには、災害復興に取り組むということもあります。たとえばハリケーンなどの災害に見舞われる。または地震が起きる。そうしたときに、どこの被害が大きく、かつ災害復興が遅いのか?ということに関わる問題です。たとえばニューオーリンズという地域は大きなハリケーン被害があったところですが、未だに復興が進んでいません。ところが同じニューオーリンズでもミドルクラス以上が住んでいる地域は完全に復興しているのに貧困層が住む地域はまだ手つかずで瓦礫が撤去されていないところがたくさんあります。そうした場所での災害復興も相互扶助になります。

次に「法的扶助」をみていきます。労働条件が厳しい、残業代が出ない、最低賃金が守られない、セクハラやパワハラなどから人権を守る、訴訟に訴える手助けをする、労働関連法規の教育をする、さらには外部で職業訓練をして賃金を上げていこうという活動をする。まさにこれらが「法的扶助」という言葉でまとめることができる課題です。

コミュニティ組織は団体交渉をする労働組合ではありません。けれども、経営者と労働条件の交渉をすることもあります。協力できる経営者といっしょに職業訓練もします。職業訓練を受講後に、資格を認定して、資格に見合った賃金の段階をつくるということもする組織が生まれています。

最後の「制度政策要求」には、「リビングウェッジ運動」の取り組みがあります。最低賃金レベルではなかなか生活できないから、人間らしい生活ができる時給を15ドルに設定して要求するとか、年収を2万5,000ドルに引き上げていこうというものです。職種別最低賃金法制化の運動もあります。チップをもらって働くようなレストランの労働者がそれに当たります。チップをもらうが故に最低賃金額が非常に低く設定されています。2ドル50セントとか、2ドル80セントとか。いわゆる連邦の最低賃金の外に置かれています。ですから、彼らの最低賃金を引き上げていくような運動もしているということです。

請負労働が増えているという話をしました。請負には請負元がありますが、請負元と請負労働者との契約関係を規制するように行政に求める運動もあります。今までの雇用労働を中心にした労使関係では抑えられなかった部分も範囲に入ってきているのです。そうしたことのなかに、雇用創出や、産業誘致によって、自ら仕事をつくり出していこうという活動もあります。

利害関係者を見つけ出し、話し合いのテーブルに引き出す

コミュニティ・オーガナイジングの「オーガナイジング」という言葉は、日本語で考えると、労働組合にとって慣れ親しんだオルグとしたくなってしまいます。けれども、オルグとは随分違う意味です。そもそも、英語では、組合を組織化しようがコミュニティを組織化しようが、どちらもオーガナイジングです。たとえば台所を整理する時にもオーガナイジングという言葉を使います。オーガナイジングという言葉には何かを整理するという意味くらいしかないのです。

それでは、コミュニティ・オーガナイジングと限定するとどうなるのでしょうか。簡単にいえば、「利害関係者を見つけ出し、話し合いのテーブルの上に引き出していく」ということになります(▼図表2)。労働組合でいう利害関係者は、労働者と使用者の2者だけでしょう。けれども、コミュニティの利害関係者は、様々にいます。そうした人たちをテーブルに引き出し、話し合いをするよう促していくことがオーガナイジングです。強いリーダーが運動をひっぱるという話ではなく、スタッフやオーガナイザーはあくまでそういう人たちを支えていく、引っ張り上げていくという役割になるわけです。

オーガナイザーに重要な仕事にはリーダーを育成することもあります。その手法は、地域の中からリーダーを探して育てていくということになります。

また、コミュニティの利害関係者が誰であるかをみつけるということも大事です。そうした仕事を担うオーガナイザーの養成も非常に大きなポイントです。

オーガナイザーは「コーディネイター・戦略家・戦術家」

コミュニティの利害関係者をみつけて話し合いのテーブルに引き出す、つまりは人と人、組織と組織をつなげた先のことも紹介しましょう。

それは、Social Change(社会変革)のためのダイレクト・アクション(直接行動)につなげていくということになります。

実際に私が参加して見てきたことをお話ししたいと思います。その組織の名前はミッドウェスト・アカデミーといいます。ここでは、戦略チャートというものを使います。戦略チャートは、Goal、Organizational Considerations、Constituents・ Allies&Opponents、Targets、Tacticsと六つのコラムにわかれています。▼図表3を見ながら説明します。ここでいうオーガナイザーとは、ただ人と人をつなげるだけでなく、ある目的を持って何かを成し遂げる、まさにコーディネイター、戦略家、戦術家としての役割を持っています。

GOALとは、何を成すべきかという実現可能な目標を置くように指導されます。たとえば社会をどういうふうに変えるか、ということではなく、変えるためのワンステップを起きます。たとえば最低賃金を15ドルにするために市議会を動かす、ということです。

Organizational Considerationsは、目標を達成するうえで現状の自分たちの組織の課題を洗い出すことです。どういう人員構成で、どういう予算構成になっているのか、どのような組織構造になっていて、民主的な仕組みになっているかどうか、ということを確認していきます。

Constituents・Allies&Opponentsは、ゴールに向かうに当たって、他の組織とどういう連携ができるか、どういう組織が敵対関係になるか、ということを確認します。

つづいては、Targetsです。ゴールに向かって何かを成し遂げるに当たって、決定権を持つような権力者がここに上がるわけです。アメリカの場合だと政治家ですが、日本の場合だと状況が変わってくるかもしれませんね。

Tacticsは、意思決定権者を動かしてゴールへとつなげていくために、具体的に何をするかという戦術を書き込みます。

コミュニティ・オーガナイジングとひと言でいっても、みんなで仲良くやっていけばいいよねという話ではなく、ある連携をもってゴールまで導くためものだと言えるでしょう。

▼写真4は、ミッドウェスト・アカデミーで、トレーニングに参加した人が戦略チャートを作成し、プレゼンをしている姿です。このように多くの人々が現在、コミュニティ・オーガナイザーになるための訓練を受けています。全員で50人程度の参加者のうち、労働組合からの参加者が3人ほどで、残りは環境保護関係の組織とコミュニティ組織からでした。行政関係から参加している人もいました。

コミュニティ・オーガナイジングと労働組合

コミュニティ・オーガナイジングと労働組合の関係は現在でも非常に緊密です。アメリカで、最大のコミュニティ・オーガナイジングへの寄与者は労働組合だといっても言い過ぎではないと思います。
▼図表4を見てください。コミュニティ・オーガナイジングの組織は、同種の産業や職業の労働者を組織する労働組合と提携しています。たとえば日雇い労働者を組織しているようなコミュニティ組織があるとすれば、建設労働組合と連携している。レストラン労働者の組織だとレストランやホテルを組織している労働組合と提携しているという形です。そうしたコミュニティ組織のなかに、ワーカーセンターと呼ばれるものがあります。労働組合ではないけれど働く人の権利を守る組織です。職業訓練をすることもあるし、こどもたちの教育の面倒をみることや、生活環境や住環境の改善もするというように様々なことをする組織だと思ってください。こういうワーカーセンターと労働組合の地方組織との提携関係も進んでいるわけです。

コミュニティ組織側も全国組織を形成していて、AFL-CIO、日本でいうと連合のような組織ですが、そこと提携契約を結ぶということも進んでいます。

労働組合自ら、ワーカーセンターやコミュニティ組織などのコミュニティ・オーガナイジングに関係した組織を立ち上げることも増えています。

コミュニティ・オーガナイジングを活用している組織

ここからはいくつか、実際にコミュニティ・オーガナイジングの手法を使っている組織を具体的に紹介します。

レストラン従業員を組織しているROCという組織があります(▼図表5)。ニューヨークで立ち上がり、今では全米中にあるだけでなく、イタリアや韓国とも提携関係を結ぶようになっています。チップをくすねるような使用者を訴えるとか、行政を巻き込んで最低賃金を引き上げていくということから活動が始まりました。今では、そこから1歩も2歩も進んで、協力できる経営者を見つけて一緒にレストラン従業員の能力を引き上げていく、労働条件を引き上げていくという活動に乗り出しています。自らレストランを経営したり、これはデトロイトのケースになりますが、農場経営するということも始まっています。そこでつくった野菜は提携できるレストランに供給しているのです。つまり、レストランの経営者と労働者、州や市の政治家、あるいは中小事業者団体などと提携関係を結び、それぞれの利害調整をするというコミュニティ・オーガナイジングの手法が使われているのです。

Domestic Workers Allianceという団体は、家政婦やベビーシッターなどを組織する団体です(▼図表6)。ここは日本と若干関係があります。1980年代から90年代に日本企業がアメリカ市場を席巻したとき、アジア系アメリカ人に対するバッシングがありました。そのうち、韓国系アメリカ人が自分たちの権利を守るための団体をつくり、その延長として家政婦やベビーシッターの権利を守る組織を設立したのです。すると、家政婦にはラテン系アメリカ人も多かったということで、人種にこだわらずに門戸を開いて活動を拡大していったわけです。そうした歴史をもつため、代表は今でも韓国系アメリカ人です。活動として何をしているかというと、家庭という閉ざされた空間で働く労働者の権利を守り、安全衛生や仕事の仕方に対する職業訓練を行っています。使用者と労働者は1対1の関係のため、働く側が面と向かって権利を主張しづらいということがあります。

たとえば、休みをとりたいと主張することでさえ、なかなか難しいわけです。だから、使用者とのコミュニケーションの取り方から始まり、権利の主張方法を教えていくのです。家政婦やベビーシッターはエージェントに登録して、家庭と契約するのですが、中間のエージェントが搾取をするということもよくみられます。だから、悪意のあるエージェントをリスト化して、行政にその公表を依頼するという活動にも取り組んでいます。権利を守る方法も独特のものがあります。雇い主は教会に通う人が多いので、司祭や牧師を通して、家政婦を人間らしく扱わなければいけないと伝えるのです。つまり教会とも密接な結びつきがあるわけです。

家政婦は雇用労働ではなく請負ですが、そこで労働条件について使用者と話し合う団体交渉に準ずる機会をもうける州法をつくらせるという運動も進んでいます。たとえばカリフォルニアやハワイではそうした州法が成立しています。

タクシー・ワーカーズ・アライアンスという組織もあります(▼図表7)。タクシー労働者である運転手も雇用労働者ではありません。タクシーを所有する事業主からタクシーを借りているのです。タクシーは営業免許で仕事をしていますが、営業免許の数は上限が規制されています。この免許をメダリオンといいますが、価格が高騰しています。高額なため一般の人がすぐに買えません。ですから、タクシー運転手はメダリオンを所有する事業主からタクシーを借りて、請負労働をしているわけです。リース料が高く、取り分が少なくて生活できないことから、リース料の設定を見直すように事業主にはたらきかけたり、行政と安全衛生基準をつくって働き過ぎを防ぐといった活動をしています。

新聞記者や編集者、デザイナー、プログラマーなど独立で働いている人たちのための組織に、フリーランサーズ・ユニオンがあります(▼図表8)。フリーランスで働いているが故に健康保険がない、年金がない、訓練を受ける場もない、拠り所もないという人たちの状況を助けるための組織です。新聞記者やデザイナーでなくても参加できます。請負で働いている人であれば参加できる組織で、現在では10万人くらいの組織に急成長しています。

次にWIRE-Netという組織があります(▼図表9)。これは、労働者の組織ではなく、中小企業事業主を中心とした組織です。ここにもコミュニティ・オーガナイジングが使われています。なぜ中小企業を組織するかということを考えてみてください。大企業を中心に日本と同じように仕事の発注元と受注元という関係がある。大企業が海外に展開してしまうと、自分たちも付いて行くか、残って仕事を請け負う先を失うことになるかの道を選ばなくてはいけません。ですから彼らは連携することによって相乗効果を生んで中小企業の活動を活性化しようとしているわけです。そのことで、地域の人たちの暮らしをよくしようとしているのです。

WIRE-Netはもともと、アメリカの民主党と労働組合のシンクタンクがつくりました。似たような組織は全米中につくられています。オハイオ州のクリーブランド市では、経営者間の情報共有やサプライチェーンの構築支援、従業員の職業訓練、中学や高校など教育の支援やコミュニティ活動の支援などを行っています。

メイク・ザ・ロード・ニューヨークという組織は、ニューヨーク大学やニューヨーク市立大学、フォーダム、カルドーゾというそれぞれ有名大学のロースクールと提携しています(▼図表10)。もともと法律関係の専門家がつくった組織です。賃金未払いの使用者、労働者を不当に扱う事業主を行政に通報・摘発する、そうした活動について記者会見を行うといった活動をしています。賃金を払わない事業主と交渉して、未払い額の支払いを減額させる代わりに労働組合をつくらせるというようなギリギリの交渉をしたりもします。制度・政策要求としては、賃金不払い防止法や、アメリカでは法制化されていない有給休暇の制度化のための運動があります。それ以外にも、学校教育の支援をするなど、多彩な活動をしています。

ついで、Working America(▼図表11)です。ここはコミュニティ・オーガナイジングの組織のうちで最大規模です。2003年に、アメリカのAFL-CIOが直接つくりました。会員数は現在のところ、11州だけで300万人います。向こう10年間で50州まで増やす計画なので、相当に増えていくと想像できるでしょう。何をしているのかというと、コミュニティごとに各家庭を訪問し、経済情勢や政府の施策、企業や経営者に関する情報を提供するだけでなく、そのコミュニティからリーダーを募ってコミュニティごとの活動をさせています。たとえばウォルマートやファストフードで働く労働者の賃金を引き上げることを求める運動では、Working Americaの赤い旗を持った人を必ず見ることができます。最低賃金の引き上げを求める運動でも先頭にたっています。▼写真5はこの組織を立ち上げた女性たちです。

▼図表12は、産業地域社会事業団という組織です。これはアリンスキーがつくった直系の組織です。先ほどお話ししたようにカナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリアに支部があります。写真右側の男性はロンドン市長選挙においてコミュニティ・オーガナイジングの手法を使って、革新派市長を支援した人です。

ジョブズ・ウィズ・ジャスティスは様々な組織をつなげる組織です(▼図表13)。ここも設立にAFL-CIOがかかわっています。私はボストンの組織を調査しましたが、信仰委員会、就業委員会、医療保険委員会、世界正義委員会、移民の権利委員会、学生ネットワークなどの様々な組織との連携を促す活動をしていました。信仰委員会は、イスラム教からキリスト教の各宗派、仏教というように、複数の宗派がかかわっています。こうしたネットワークにより、たとえば最低賃金を上げる運動であれば一気にそういう人たちを動員するということをやっています。

コミュニティ・オーガナイジングと労組の連携パワー

1970年代まではコミュニティ・オーガナイジングと労働組合は反目関係にあったといってもいいと思います。反戦・公民権運動派がコミュニティ・オーガナイジング側に多く、労働組合側にはあまりいなかった。

そうしたところに、スウィニーSEIU会長が労働組合幹部としてはじめてコミュニティ組織を取り込むことを試みたわけです。さらには彼がAFL-CIOの会長になったことで、その動きが進んでいきました。

そしてコミュニティ・オーガナイザーとして労働運動に参加した人の中には、Third Partyという政党をつくる人もあらわれました。アメリカの法律には政党に投票権を委任することができるという法律をもつ州があります。つまり、Third Partyを通じて投票権を委任するわけです。オバマをイリノイ州上院議員選挙で勝たせたのも、Third Partyだといわれています。Third Partyは途中で解散して、現在はWorking Family Partyと名前を変えています。コミュニティ組織と労組をつなぐ政党です。

ニューヨーク市長に革新派のデブラシオという人が昨年当選しましたが、彼の出身母体がWorking Family Partyです。もともとはニューヨークの民主党もデブラシオ氏を推していなかったのですが、Working Family Partyが推すことによって逆転現象が起きたのです。貧困層に対する住宅支援政策を充実させることを第一に掲げているなど、Working Family Partyが推す政策を実現しようとしています。

こうした運動はバラバラに動いているわけではありません。司令塔的な役割をするところがいくつかあります。たとえば、ウィスコンシン州立大学にあるCOWSです。ここの代表を務めるJoel Rogers教授は、行政と連携したコミュニティ・オーガナイジングの仕組みや労組との連携といった様々な戦略的アイデアを実行に移しています。コミュニティ・オーガナイジングは地域の小さな活動なのではなく、社会全体を巻き込んだ大きな絵を描いている社会運動なのです。

組織が官僚化し弱体化するのを根底からひっくり返す
自ら参加しているという実感を感じられる組織に

――コミュニティ・オーガナイジングは、目的をもって人と組織を戦略的につなげていく役割を持っているとのお話でしたが、今の日本の労働組合との大きな違いは何でしょうか? 職業訓練、再就職支援、各家庭への経済状況の聞き取り、組織自体をつなげていく役割の他にもありますか?

職業訓練には日本の労働組合はあまり関与してきませんでした。そこはアメリカと大きく違う点だと思います。アメリカの法律は、ヨーロッパも若干似ているところがありますが、職業訓練に労働組合を関与させています。というのは、労働組合が労働条件の引き上げに関与するといっても、背景には「どれくらい能力が伸びたら、どれくらいの職位に上がって、どれくらい賃金が上がっていくのか」ということが分からなければ、使用者と交渉するのが難しいからです。一体どういう職業訓練を受ければいいのか。それが分からないといけない。労働組合が職業訓練に関わることで、「どういう職業訓練をすればどの職位に上がるのか」が分かり、「それはどれくらいの労力によって得られるのか」も分かるのです。それにより使用者との交渉に迫力が出てくる。日本の労使交渉だとそこまでタッチできません。

労働組合が持っていた役割が縮小してくれば、そこから弾き出される人たちに職業訓練をすることで交渉力を高めて、企業側に賃上げを認めさせるという流れを取り戻さなければならなくなります。そうしたことをコミュニティ・オーガナイジングが担っています。それは日本の非正規労働の状況を改善していくことにも合致することだと思います。非正規の人たちの職業能力が高まらなければ、いつまでたっても賃金は上がらない。職業訓練の支援によって賃金を高めるという活動にコミュニティ組織が入っていくことは、まさに労働組合の活動範囲が狭まったからこそ展開している話です。

コミュニティの単位はなるべく小さく

もう1つは、労働組合とコミュニティ・オーガナイジングという手法との対比になっていくわけですが、たとえば働くといってもすべてが労働組合員ではないし、社会の構成員もすべてが労働者だけではありません。それにも関わらず、労働組合の意欲が産業あるいは資本の安定化、つまり自分の企業や産業の競争力が高まるということだけに集約してしまうと、社会全体を良くすることに目が向かなくなってしまうだろうという懸念です。そうした状況を見直して、働く一人ひとりにきちんと目を向けるということがコミュニティ・オーガナイジングにはあります。

だから、コミュニティの単位はなるべく小さくなっているのです。そうすれば直接参加の民主主義が実現できる素地ができる。一人ひとりの思いよりも労働組合や企業、経済、国家の利益が優先されるということが防げるかもしれない。だから組織と組織をつなげるといっても、産別と産別をつなげて何かしようということではなく、もっと目に見える範囲の話で、たとえば近所の小学校の先生たちと、そこで働く労働組合と、そこに子どもを送っているお父さん・お母さんたちをつなげて、一緒に体育館で話をしましょうとか、そういう案外、身の回りに結びつくような小さいことから始まっていくわけです。

組織が大きくなると官僚化しがち

それを労働組合にどういうふうにフィードバックするかということは別の課題です。アメリカでは労働組合でもコミュニティ・オーガナイジングを活用しているところがたくさんあります。労働組合でも、組織が大きくなれば官僚化していきますよね。そうすると一人ひとりが自発的に活動に参加しようという力はだんだん弱くなっていく。集会にもなんとなく惰性で出て行くとか、組合のイベントだから行かなきゃいけないとか、そういうことが起るわけです。そういうのを根底からひっくり返そうという、一人ひとりが自ら参加しているという実感を感じられる組織にしていこうという目的のために、コミュニティ・オーガナイジングが使われるようになっています。

ロンドン市長選挙にコミュニティ・オーガナイジングが活用されているとお話ししましたが、つまり、イギリスの労働党といった政党でも活用しているのです。労働党のような組織でも、上手く機能していないからです。それだけでなく、アメリカの様々な産業別労働組合でもコミュニティ・オーガナイジングの手法を使うための講習会が行われています。

非正規労働者の働く状況だけでなく
「生活丸ごとなんとかしなきゃ」

――私はこれまで日本がアメリカの真似をしているというイメージでした。先ほどアメリカが日本の影響を受けているという指摘をされていましたが、その点についてお聞きしたいです。

それは働かせ方の部分です。最近だと、雇用の流動化とか解雇しやすくしろという話が上がっていますが、どうしてもそこだけが注目されてしまう。その前にアメリカ企業が取り入れたこと、さらにはアメリカの行政機関までもが取り入れようとしたことに目を向けなければなりません。それは、一人が働いている範囲をなるべく広くして、人と人が連携し合うような仕組みをつくろうということでした。これは、まさに日本の影響を受けている部分です。

最近、よく日本でも取り上げられる言葉に「ジョブ型」と「メンバーシップ型」がありますね。雇用の仕組みが、日本はメンバーシップ型で、アメリカやヨーロッパはジョブ型だと。しかし実際にはアメリカでもメンバーシップ型に非常に近づいてきている。職種の数をどんどん減らして、働いている人同士や組織間の連携を大事にするようになっています。これは、一人ひとりが自分の仕事だけに責任を持つ「ジョブ型」ではなく、組織全体のために一人ひとりがいる、そうすることで自分の存在を確認するという「メンバーシップ型」に近づくことを促すものです。そのために、ヨーロッパでもアメリカでも、労働組合の活動のあり方が難しくなっています。

もともと労働組合は、職種を限定してそこに賃金を貼り付けることによって交渉していました。それが労働組合の基盤で、働かせる側にしても職種を限定して働かせる方が効率がよいという時代があったのです。ところが、チームワークで連携を高めることで企業組織を効率的に運営する日本企業が世界のトップに立ったことを見てしまったわけです。「それならうちも真似しなきゃ日本企業に追いつけない」ということになった。職場の隅々に日本企業と同じような働かせ方を入れていこうとした時に労働組合が邪魔になってきたのです。

そこで労働組合を崩していく作業が日本企業と同様の働かせ方を受け入れた1980年代から続いていきました。労働組合バッシングは、日本企業に勝つための手法だとも言えるかもしれません。それくらい日本の影響を受けているということです。

一方で、コミュニティ・オーガナイジングは、アメリカのオリジナルな手法でした。日本でいうならば、非正規で働いている人たちの働く状況だけでなく「生活丸ごとなんとかしなきゃ」という思いから生まれたものと近いでしょう。そのためには、コミュニティにいる人たちが自分たちで考えて変えていかなければいけない。地域にある学校や企業事業主、労働者も丸ごとひっくるめて自分たちで考えようとなったわけです。それが必ずよい結果を産むのだと、信念のように1980年代から90年代にかけて日本的な働き方の影響を受けて労働組合の力が落ち、移民の数も増えて、とても貧しい人たちが増えてきた時に、そうした人たちを支えようとして活動の範囲が広がってきたのです。

グローバル経済というとなんとなく「アメリカ型グローバル経済はイカン」と思うわけですが、その根っこには日本も影響を与えている部分があるのだと申し上げたい。なかなかそういうことは皆言いたがらないのですけどね。

コミュニティ・オーガナイジング組織の財政基盤

――とても刺激的で勉強になりました。とくに一人ひとりが主体的に活動する組織というのが印象的で、それ故に生活丸ごとになるんだろうと思います。それと同時に、極めて戦略的で、目的意識を非常に持っていて、日本の停滞気味な労働組合と対局を成すような気がしました。

非正規労働者の組織化には私たちも取り組んでいるのですが、このコミュニティ・オーガナイジングの手法と関わっていくつかお聞きしたいのは、この組織は労働組合が労働組合法などに規制されているのと同様に、コミュニティ・オーガナイジングないしはこうした組織に関わった法規制はあるのでしょうか?

また、こういう組織を運営するときの財政基盤はどうなっているのでしょう? たとえば非正規労働者の組織化をやろうとしたときに、現実的には非正規労働者を中心にすると労働組合が財政的に立ち行かないというのが非常に大きな悩みになっていると思います。そこがどうなっているのか。

そしてコミュニティということなのである程度の地域的なまとまりがあるのかなと思いますが、そのイメージがいまひとつ分かりません。それは地域によっていろいろなのか、たとえば東京で考えると、都で考えるのか区で考えるのか、あるいは都心部に多いのか地方に多いのか、その辺を教えてください。

まず法的規制ですが、日本とは随分違います。労働組合法のような法律はアメリカには存在していません。アメリカには全国労働関係法という法律がありますが、これは団体交渉の手続きが書いてあるにすぎません。そこに書かれてあるのは、労働者の組織、つまりWorker Organizationは団体交渉ができると書いてあるだけなのです。要するに、どんな組織でも団体交渉ができる可能性があるわけです。どういう組織に団体交渉ができる権利があるのかということを決めているのは、日本でいうところの労働委員会に当たる組織、全国労働関係委員会です。

つまり、労働組合にもコミュニティ組織にもいわゆる法的根拠はありません。ただし、内国歳入法という税制上の法律が一つの根拠になっています。皆さんは確定拠出型年金の401Kはご存知だと思いますが、これも内国歳入法の規定の一つです。この中で団体交渉を専らとする労働者のための組織に対して税制上の優遇措置が受けられることを定める条項があります。また、教育援助や職業訓練をするための組織についての条項もあります。たとえば大学も日本のような学校教育法というものは存在していないので、やはり内国歳入法だけが根拠となっています。

コミュニティ・オーガナイジングの活動をしている組織も内国歳入法以外にかっちりとした根拠はありません。政治活動をすると優遇措置から外れるとか、団体交渉をするためには異なる条項の適用になる、ということはありますが、現実の活動では境界は曖昧です。実際にはやっているでしょう。つまり様々な面で緩いということですね。

団体交渉をめぐる法律の違い

もう1つ言うと、団体交渉をするための法律も日本とは随分違います。たとえばある職場で労働組合をつくりたい場合があります。その場合は、職場で同じような仕事をしていて、同じような賃金の支払われ方をし、同じような時間帯で働いている人で団体交渉単位をつくります。範囲の認定は労働委員会がします。その単位の従業員が「自分たちを代表して団体交渉してほしい」ということを受けて従業員が投票し、過半数が取れれば労働組合が使用者側と団体交渉できるようになります。

ですから、一つの職場にいくつも労働組合があっても構わないのです。交渉単位が複数であれば、団体交渉も複数できるということです。たとえ投票で従業員の過半数をとれなくても、職場に入っている人が労働組合員であれば、それは労働組合員であることはできる。つまり交渉権はない労働組合もあり得るのです。そういう意味では日本と法律が随分違います。

財政基盤は、いくつか種類があります。1つは、メンバーからお金を取っているケース。その方が、自分たちのために自分たちのお金を使えますから活動基盤は盤石です。もう1つは、寄付金財団にお金を申請して、2年から3年単位で寄付を助成してもらっているケースです。もう1つは、政府の助成金をもらうケース。これはたとえば教育や訓練のための助成金が該当します。それによって何年間か仕事をすることができます。最後の1つは、労働組合がお金を出すケースです。直接労働組合が組織化する場合は、労働組合がかなりお金を出します。それが財政基盤になっています。

――どのケースが一番多いのでしょうか?

助成金と寄付金が半々くらいだと思います。労働組合は最初のキックオフのお金を出すケースが多いです。経常的に援助し続けることは難しいようですが、それでも一部のお金を負担することは珍しくありません。どの組織もメンバーシップで会費を徴収する組織に移りたいと願っています。そのほうが、自由に活動ができるからです。

また、地域のイメージについてですが、これは2種類あります。いわゆる目に見えるコミュニティ、住んでいる地域というのが一つ。もう一つはバーチャルなイメージでも存在しているものです。職種別とか産業別のイメージと近いものです。たとえば家政婦や日雇い労働者、フリーランスで働く人たちは職種別に非常に近い。それ以外に、住んでいる地域でまとまっていて特に職種を問わないというものも存在しています。

範囲はどれくらいなのか、ということですが、通常は、顔が見える範囲の組織が多いため、そんなに大きくはありません。それらを束ねて、市の代表ができたり州別の組織があったりします。その先には全国組織があり、他の組織とつながっていることもよくあります。

労働組合員こそが社会全体を支援する立場になり得る

――紹介されたアリンスキーの言葉は、労働組合のあり方に対して批判的な指摘だと理解すればいいのでしょうか?

アリンスキーの本は日本語に訳されています。『市民社会の組織論』という、絶版になった本です。時代的には1940年代です。まさに労働組合が伸びてくる時代だったわけで、労働組合=社会経済のために皆ががんばっているというイメージがあるわけですが、そうじゃない面がかなりあるのだということを指摘しています。たとえば労働組合が自分たちの賃金を守るために建設労働組合が住宅価格を引き下げないとか、医療機関の労働組合が自分たちの賃金を引き上げるために医療費の価格を引き下げないとか。社会の利益と労働組合の利益が対立する場合には、社会の方を取るべきだと言っています。

アリンスキーはコミュニティ・オーガナイジングの旗手を「ラディカル」と呼びます。想定しているのは、自由と人権をうたったアメリカ独立宣言の起草者トーマス・ジェファーソンです。労働組合員こそが社会全体を支援する立場になり得るんだということをアリンスキーは主張し、いまだ「ラディカル」は眠っていると表現します。

――先日、ファストフード世界同時アクションが取り組まれました。この取り組みはやはりコミュニティ・オーガナイジングと密接な関係があると考えていいでしょうか?

密接な関係があります。コミュニティ組織なしには語れません。Working Americaや公務員関係の労働組合なども、この運動には非常にコミットしています。

公共部門労組とコミュニティ・オーガナイジングの親和性

――コミュニティ・オーガナイジングと公務員の労働組合との関係はどうなっているのでしょうか?

▼図表14を見ていただきながら、公共部門の労働組合とコミュニティ・オーガナイジングがどうして親和性があるのか。また、なぜ使った方がいいのか、私が思っているところをお話ししたいと思います。

ヨーロッパでは労働組合が支持する政党が直接政権をとることが多いので、政策決定に直接に労働組合が関与できる機会が多くなっています。政策決定にも労働組合が組み込まれています。一方、アメリカや日本の公共部門の労働組合は、労働組合に不完全な権利しか与えられておらず、争議権もないので、団体交渉で賃金などの労働条件が決まったかに見えても、交渉相手に実権がない場合が往々にしてあります。「持ち帰って考えさせてくれ」と、議会や市長、州知事の裁定をあおがなくてはいけないというような政治的決着になるケースが非常に多くあります。

アメリカの連邦公務員には日本と似たような人事院勧告のような仕組みがあり、インフレや消費者物価に連動した計算を連邦労働省がするのです。それに基づいて賃上げが決定されます。とはいってもこの2年間くらいはオバマが連邦公務員の賃上げを止めていましたが。連邦公務員には労働組合がありますが、団体交渉権自体がありません。州政府もしくは市政府の公務員の団体交渉権は、州別には認められているところもありますが、おおよそどの州でも争議権はありません。団体交渉事項の内容も制限されています。

近年、公共部門の労働組合に対するバッシングが頻発しています。これも日本と似たような状況でしょう。アメリカの場合、保守の共和党からバッシングを受けるだけでなく、新自由主義経済を標榜する民主党の進歩派みたいな人たちからもバッシングを受けています。これも日本とちょっと似ているかなと思います。

背景にあるのは、民営化や市場主義だけでなく、柔軟な働かせ方の進展ということもあります。これは、職種をどんどん崩していってチームワークで働かせようということが一つあります。もう一つは、規制緩和で民営化するという流れです。

その1つに、チャータースクールの導入があります。これは、コミュニティ単位で学校の先生の雇用から評価、施設の運営など全てお任せしますというものです。教員免許がなくても、コミュニティがいいといえば教えることができます。杉並区の公立学校で塾が運営する夜スペみたいなのが、学校のすべてになってしまうという感じでしょうか。こうしたことが共和党、民主党の別なく起きているわけです。

メディアを巻き込んだバッシングもあります。公務員労働組合だけが健康保険も医療保険も整っているが、民間の労働組合員でもどんどん社会保障費が削られているのに、どうして公務員だけが安泰なのかといったような具合です。

デトロイト市の破綻と公務員バッシング

皆さんのご記憶にも新しい、デトロイト市が破綻したニュースがありますね。その原因は、自動車産業の衰退ではありません。もともとは1967年の黒人暴動が原因です。ずっと黒人のことをいじめていた白人たちに対して黒人が立ち上がり、白人の住んでいた地域を破壊したことがきっかけです。その後は、白人が市の中心から退去して、黒人に入れ替わりました。ミドルクラスが郊外に住むという意味では、アメリカではどこでもこのような都市をみることができます。もともと中心には工場やデパートや高級量販店があったわけですが、みんな出て行ってしまった。そうすると税金がとれない。人口は減り続けるし、税金は上がらないのに、街の規模はミドルクラスの白人がいた時期に設定され、公務員の数も決まっているのです。

それから50年経ち、公務員の数は減らしているけれど、健康保険と年金を負担しなければいけない、市職員の退職者の数が急に減るわけではない。だから、市の財政を退職公務員の健康保険と年金が圧迫する。それで破綻しましたと言われても、「そんなことが起きる前に、行政の問題は行政の中できちんとコントロールしなくてはいけない。州や市がなんとかしてくれよ」という話なのですが、その部分は無視して、自動車産業のせいにしたいわけです。その方がアメリカの荒廃ということでセンセーショナルに映るからでしょうか。実際は、日本でいえば夕張市のようなことが起きたわけです。そして、メディアは公務員の健康保険は手厚い、年金ももらえていいね、という報道しかしていないわけです。

公務員の年金は高いかというと、必ずしもそうではありません。アメリカでも月々せいぜい20万円くらいです。それをまた削ろうというわけです。批判する側はお年寄りがそれで生活できるのか、健康保険は大丈夫なのか、ということは考えていない。そういうバッシングが続いています。これは日本の共済組合年金に対するバッシングにも似ているのではないでしょうか。

公務員バッシングを跳ね返すには
コミュニティからの広範な支持が必要

ではどうすればいいのか。解決の1つの糸口は、結局は公務員労組が必要だということをコミュニティの人たちに支持してもらわないといけないということになります。コミュニティからの広範な支持が結局は世論を動かし、政治的な決着に影響を与えることになるからです。だからアメリカの労働組合は、AFSCMEというアメリカの州、市、町の職員組合や、AFT(American Federation Teachers)という教員労組などがコミュニティの活動にものすごく出て行きます。委員長や地区の代表などは必ずです。

それを「図で見るとどうなっているの?」というものが、▼図表15です。上の部分はかつての姿です。団体交渉と公務員労組を分けているのは、団体交渉がすべて認められていて争議権もあるのが民間労組で、公務員労組はもともと不完全な状態に置かれていたためです。それでも民間労組の団体交渉が機能している限り、それは日本と同様に健康保険にしろ、年金にしろ、労働条件にしろ、波及効果がありました。労働組合がない企業にも、公務員労組にも波及効果があったのです。その当時もコミュニティ・オーガナイジングのモデルはあったわけですが、1990年代になるに従って団体交渉が担っていた範囲がだんだん縮小し、社会への波及効果も薄れていくことになりました。

そうして、コミュニティ・オーガナイジング・モデルでカバーしなければいけないエリアがどんどん拡大したのです。組織の数も増えてきました。労働組合がない企業や、かつては雇用されていた請負労働者、非典型と書いていますけど派遣やパートで働く人たちをカバーするようになったのです。その一方で、公務員労組は、そうした人たちやグループの活動を支援することが市民の共感につながり、それによって団体交渉に良い影響をもたらすことを期待しているのです。それがアメリカの公務員労組の現在の姿です。

公務員労組が一般の人から支持得られる運動を

最低賃金を引き上げる運動というと、日本では「政治家を動かして政治的な決着をするとか、革新政党が政権をとれば最低賃金は上がるだろう」といったイメージがないでしょうか。そうした方法だと、選挙に勝たないと政策を通すことが難しいけれども、問題の解決は選挙の時が来ることを待ってくれるわけではないし、ましてや選挙で勝つという保障もない。だから、選挙で政権をとらなくても、社会を変えていく道を選ばなくてはいけない。

具体的にはどうするのか。たとえば保守系の政治家でも、中小企業事業者でも、最低賃金を引き上げることを支持するといった人を取り込んでいくのです。そういう人たちをまとめて、意思決定権を持つ政治家を突き動かしていく。それがコミュニティ・オーガナイジングの1つの姿です。

この方法にもっとも必要なことは、共通認識を持った人や組織を結集することです。シアトル市はつい先日、最低賃金を15ドルにする条例を可決しました。シアトルのシティ・カウンシルメンバーの全員が条例案に賛成しましたが、全員が革新派ではないでしょう。保守系の人もいるはずです。それを動かしたのがコミュニティ・オーガナイジングの手法でしょう。

そのうち、最大勢力の一つがが公務員労組AFSCMEだったということが、日本の公務員労組にとっても参考になると思います。それをワシントン州立大学の学生新聞が取り上げているわけです。

ワシントン州立大学には搾取職場に反対する学生連盟(United Students Against Sweatshop)という組織があります。この組織は、1990年代から急拡大し、今では全米の各大学に支部があって、AFL-CIOと提携契約を結んでいます。そのワシントン州立大学支部が15ドル最低賃金に引き上げるための運動に取り組んでいたところ、AFSCMEが参加したのです。州の公務員が学生、学内の労働者、地域と連携している。そして彼らの活動がシアトル市民に知られていく。そうなると、「公務員労組はいいことをやってるじゃないか」ということで一般の人の支持が得られる。そうしたことが効果としてあげられるわけです。

15ドル最低賃金だけでなく、ウォルマートに対して全米で起きた抗議デモの中でも、AFSCMEとかAFTという公務員労組が顔を出すようになっています。

コミュニティ・オーガナイジングの運動展開

▼図表16は、どういう形でコミュニティ・オーガナイジングの運動が展開されているのか?をあらわしたものです。

真ん中に「地域」を置き、左端に「労働組合」を置いています。労働組合が存在感を示すことによって全体像が動いていっているはずだ、という図です。「権利擁護、制度・政策要求」、つまり労働条件を守ったり賃金を引き上げていったりですね。「医療保険・年金」というのは健康保険や年金、社会保障を守るということ。そして「職業訓練、職業紹介」をして、それぞれが生活できる賃金に引き上げていくということ、こうしたことが求められているとするなら、それをどうやってサポートしていくのかが課題になります。労働組合員であるかどうかを問わず、そして雇われているかどうかも問わず、どうやって労働組合が存在感を示せるかが重要です。労働組合の方からすれば、このような広範な人たちから支持を受け、世論がちゃんと味方についてくれる仕組みということを意味しています。

シカゴにデュページ・ユナイテッドという組織があります。シカゴの近隣デュページ郡で雇用創出をすることを目的としたコミュニティ組織です。その運動に、AFSCMEも連携しています。労働組合の中で一番協力的なのはAFSCMEだとデュページ・ユナイテッドの人は評価しています。ただコミュニティ組織からすると、もっと存在感を出して欲しいとのことでした。

SEIU(サービス労働組合)が平和運動をしていたコミュニティ・オーガナイザーを自分たちの組織化担当に取り入れるという革命的な出来事が起きたのは、今までのアメリカでは想像ができなかったことかもしれません。ずっとこのまま続くかどうかは分かりませんが、現在はその流れにあると言っていいと思います。

産別組合員向けのトレーニングコース

――コミュニティ・オーガナイジングの手法にかかわっての質問です。公務員の労働組合だけでなく、民間企業の労働組合にも言えると思いますが、労働組合活動として組合役員の育成に悩んでいます。コミュニティ・オーガナイジングの手法を使うと、いろいろな人が参加して、その中で活動家が育っていくんだろうという感じはありますが、実際のところアメリカではどんな状況なのでしょうか?

私は、ミッドウェスト・アカデミーという学校のトレーニングに参加しました。ここは産別組合員向けのトレーニングコースをもっています。コミュニティ・オーガナイジングの組織に、インターフェイス・ワーカーズ・ジャスティスという組織があります。「信仰のための労働者の正義」となります。キリスト教系の組織ですが別にキリスト教のことだけをやっているわけではなく、教会をベースに働く人たちの権利を守る活動も行っています。ここでもオーガナイザーを育てています。大学生をインターンとして引き受けて、弱者を守るための仕事や、組織運営や財政も担当させる。そうやって2~3年育てたら地方に送り出しているのです。

こうした人材は、育成した後で労働組合に引き抜かれていると聞きました。その一つの理由は、コミュニティ組織の給与が低いということがあります。2万ドルそこそこあれば良いくらいです。日本円で年間200万円もらえるかもらえないかというレベル。それが労働組合のスタッフになると3万5,000ドルに跳ね上がります。それで賃金が高い方に引き抜かれちゃう。「それが悩みの種なんだ」という声が少なくないように、頻繁に移動が起きています。こうした活動に加わる人が増えれば人事交流ができるというか、いわゆるリクルートができてしまうということも起きています。そういう意味ではアメリカの労働組合も組合員の育成には苦労しているのだと思います。

スウィニー会長はAFL-CIOで1990年代に「ユニオンサマー」という講座を始めています。これは大学生のインターンを労働組合が引き受けるというもので、各州に労働組合の産別支部が引き受けています。集まった人たちを各産別に振り分けて組織化の最前線のような仕事を担当させています。その手法にもコミュニティ・オーガナイジングが使われています。非常に意欲のある人がある程度の年数トレーニングを受けた形で組合に入ってくるというサイクルがアメリカで存在しています。

優秀な人材が労働組合のスタッフに

――国公労連の各単組では、若い役員が本部に来ること自体が少ないのに加えて、労組専従期間は2~3年で、その後は職場に帰っていきます。労働組合の役員としてのトレーニングプログラムがきちんとあるわけではなく、ほぼOJTのような形になっていますが、そういうことはアメリカの労働組合も同じなのでしょうか?

そこは大きく違うところで、日本の労働組合もそうなればいいなと常々思っています。アメリカにはいわゆる企業別労働組合は存在しません。産別労働組合には選挙で上がってくる役員と、スタッフがいます。スタッフはかなり優秀な大学から採用されています。たとえば、ハーバードのロースクールを出て法務担当のスタッフになったり、経済学部を出て経済担当のスタッフになるといった形で多くの優秀な人材が加わっています。この層が結構厚いです。

――大学が労働組合の専門スタッフを輩出しているということでしょうか?

そういうことです。

――そのスタッフは高給なのでしょうか?

高給はもらえていないと思います。

――それでは、社会的意義があるから労働組合のスタッフとして働いているということでしょうか?

そうなりますね。労働組合の役員の給与は開示されていますが、日本の産別委員長のレベルと比べてもそう変わらないか、もしかしたら低いくらいですね。

日本の労働組合運動の硬直的な戦略・戦術

――コミュニティ・オーガナイジングは非常に戦略的なところが特徴で、Third Partyの主張もそこまでやるんだなと思いました。それに引き換え、日本の運動は戦略・戦術が非常に硬直的で、受け身で、主体性もなければ未だに動員もやっています。参加する方も参加してみて初めて集会の中身を知ったりする。組合員一人ひとりの主体性をどうつくっていくのかという、かなり根本のところから転換していく必要がありますし、むしろ民主主義の浸透の違いさえ考えてしまうほど衝撃を受けました。アメリカではおそらく、コミュニティ組織に入ってくる人がいろいろな問題を自分たちで解決したいと思って入ってきている。でも日本の労働組合の場合はそうではなく、なんだか分からないまま入ってくる。その違いは大きいと思います。どう克服したらいいのでしょうか?

また、地域の中でも、何か1つの組織に属することに対する消極性があるように思います。とくに今の若い世代は、労働組合などに帰属したくない、ましてや地域の中なんてとても、という感じです。それよりも自分の仲の良い人たちとつながっていれればそれでいいというところで、なかなか外に向かっていかない部分があると感じています。それをどう克服すればいいのでしょうか?

それから、戦略という意味では、むしろ経済界の動きが実に戦略的で、手玉に取られているところがあります。おそらく、政権を支えている勢力の方がコミュニティ・オーガナイジングを学んでいるんじゃないかと思うくらいです。そのような倒錯したような状況で、どこからどう手をつけていいのか見えてきません。何かアドバイスがあればお願いします。

民主主義とは一人ひとりが参加することで
確実に変化を起こすためのプロセス

政治的な部分でいうと、まさに私も似たような衝撃を受けました。要は、日本はまだ成熟した民主主義国家ではないのではないかという衝撃です。トレーニングではいろいろなロールプレイをさせられます。

たとえば「製薬会社が何か毒物を流しているかもしれないので、製品の薬物構成を明らかにさせるように企業に働きかける」みたいなものです。4~5人のグループに分かれていろいろ議論して、じゃあ、こっちのグループはある部屋の前でデモ行進をしてシュプレヒコールを上げよう、ある人は中に入って交渉しようという具合にロールプレイは進んでいきました。それを後で採点されるわけです。「このデモ行進やシュプレヒコールは誰に対してやったものなのか、全く効果がないから意味がない」とバサリ。

社長と交渉をするわけですが、グループでは交渉担当に母親を選びました。そこで、「社長に対してお母さんたちは利益関係があるのか?」と、またバサリ。それを見ていると、日本で様々な集会やデモをして気勢を上げるけれど、それは一体どこに向かうのだろうか?誰にインパクトを与えて誰を動かすためにやっているのか?ということがちゃんと戦略にのっとった戦術になっているのかどうかが気になるわけです。

小さなことを積み上げていってそれが国に届く

彼らにとって、民主主義とは一人ひとりが参加することで確実に変化を起こすためのプロセスといえるでしょう。いきなり国家、国政を動かすというようにはなっていないのです。小さいことを積み上げていって、いずれそれが国に届くというようになっている。それは最低賃金を15ドルに引き上げるということも同じです。「ウォルマートでストライキしてたなぁ」と思っていたらシアトルで最低賃金が引き上げられ、次は、ニューヨークでも、と運動が発展しているのです。すると今度は「全米レベルでどうするか?」となり、小さかったことが大きく育っていく。そしてそこには一人ひとりが参加しているという実感がある。そんなインパクトがあります。

だから、「どうすれば何を変えられるのか?」ということこそが、民主主義のひとつのポイントだと痛感させられたのです。投票して選挙によって政党や政治家が何かを変えてくれることを待っているだけでは、たぶん成熟した民主主義ではないのだろうということです。

戦略的になるということ

ちなみに、ロールプレイの中で働きかける意思決定権者として、共和党か民主党かということは問題にしていません。運動を主導しているのはリベラルな組織かもしれない。だけど、結論を出す意思決定者が、保守党であるか民主党であるかは関係ないということを盛んに言うのです。会社と交渉するならば、困るのは誰かということを重視する。それが、消費者なのか関連企業なのか行政なのか、そうした意思決定権者に働きかけられない運動は意味が無い、というトレーニングが展開されている。それを1週間続けると、参加者の頭に浸透していくのです。

戦略的になるということはゴールに向かってどのような戦術がもっとも効果的なのか、ということが重要な課題になる。つまり、「Eメールで署名を集めてそれを行政に出したら何が変わるのか?」ということの効果を考えるわけです。「がんばったけれど得るものはなかった。けれど、みんなで集まって声を上げる人が多かったことを確認できたから、これが第一歩だ」というように、結局は何も変わらないという方法は絶対にとらないわけです。

署名を集めれば、アメリカの場合は、政治家だったら必ず投票者の票になります。「この票があれば次の選挙で勝てるかもしれない」ということが、意思決定権者に対する圧力になるわけです。これはアメリカ的な方法ですが、それを日本的にどう展開できるのか考えなければいけないと思います。意思決定権者は誰なのか。そしてその人に圧力をかける方法もアメリカと日本では違うかもしれないけれど、そうした方法をコツコツとコミュニティ・オーガナイジングを活用して戦略的に考えることが必要なのだろうと思います。

アメリカの女性たちの運動

労働組合の戦略だけではなく、たとえば学校教育が非常に悪くなっていて何とかしなきゃと思っているお母さんたちにも応用がきく話です。実際にアメリカではそうしたお母さんたちの組織が似たようなことをやっています。

働く女性のための組織にMoms Risingというところがあるのですが、「こういう組織がどうして労働組合と連携するのか、コミュニティ組織と関係あるのか」ということを考えることによって答えに近づきます。Moms Risingという組織は、地域の学校の予算がカットされるという時に、戦略的なコミュニティ・オーガナイジングの手法を駆使して、バスをチャーターして州議会議員のところに乗り込み、直接話をするということをします。

そのときには、「私たちのバックには何千人いますよ」「あなたがこちらに賛成する、もしくはこの案に対して同意してくれれば何千票はあなたのところに行きますよ」ということをサジェスチョンしているわけです。単に署名して街中で訴えるだけではないのです。

こうしたことは、アメリカ社会や文化に根ざしたものだろうけれど、日本ではどうすればいいのかということは当然、これから研究しなければいけないでしょう。しかし、こうしたアメリカの手法は、ただ投票することで何かを変えようというものとは大きく異なっていて、参加型の民主主義が実現されているのだと感じます。

若い人にどうやって働きかけていくかは
より「外」の人たちを巻き込んで考える

「若い人たちにどう訴えていくか?」ということに関しては、アメリカで大学生の段階からこういう組織に参加する人が非常に多いということが参考になるのではないかと思っています。

そうしたアメリカでも、昔からうまくいっていたわけではありません。アリンスキーも壁にぶつかる時期がありました。自分の活動は貧困層には届いたけれど、その人たちを支援するはずのミドルクラスに届いたか?というと、実感がなかったからです。そのために、コミュニティ・オーガナイザーを育てるとか、大学生を巻き込んでいくという方向に変わっていきました。急に若い人たちが何かをできるようになるとか、アメリカやヨーロッパは日本と違ってうらやましいなあということでもありません。

若い人にどうやって働きかけていくか、という方法を考えるためには、大学の先生たちともっともっと連携することが必要です。どんな戦略や戦術を使うか、ということにおいても、一つの組織だけで考えるのではなく、より外の人たちを巻き込んで考える方がいい。そうしたことが必要じゃないかなと思います。

先ほどウィスコンシン州立大学の先生が戦略をつくっていると言いましたが、カリフォルニア州立大学でもニューヨーク州立大学でも、ハーバードでもマサチューセッツ工科大学でも、そこかしこに戦略を考える拠点の大学がアメリカにはあります。日本の場合、労働組合と大学の接点がどんどん減ってきていますよね。労働組合側から働きかけて、拠点の大学をつくるという活動が、若い人を巻き込み、戦略的な活動を行うことで力になることは、アメリカの例をみていれば、いうまでもありません。

コミュニティ・オーガナイジングの活動をまとめた本にこんなことが書かれています。「ある教会でビリヤード台だったかトランポリン台だったかが無駄なので片付けたいということになりました。しかしコミュニティ・オーガナイザーとして教会に入った人が、それは絶対に止めなさいと言った。どんなにつまらないことでも、人が集まるのには意味があるのだと。そこから何かが引っかかって変わるかもしれない」。

コミュニティ・オーガナイジングは戦略的に社会変革に取り組んでいるということだけではもちろんありません。たわいのないレクリエーションの時間やなにげない会話をするというような場をどれだけ持てるのかが大切です。日本の若い人に、それより上の世代の人たちと気楽につきあえるような場をつくりつつ、運動に関わっていける場の設定にコミュニティ・オーガナイジングは有効だと思います。

そのときに気をつけなくてはいけないことは、OBになっても、70代や60代、50代という年配になって、いつまでも先頭にたって運動をリードするということが、若者の育成にとってプラスにならないどころか、マイナスになっているということです。

コミュニティ・オーガナイジングの場合は、なるべくそうした年配者はサポートする側に回ります。たとえ20代のような若者でも、どんどん重要な役割を与えます。自立して活動をすることを促すためです。これをするだけでも組織がだいぶ変わってくるのかなと思います。年をとるほど助言者にまわる仕組みをつくることは、若い人を育てる上では必要なのかなと思います。

日本でも10年後や20年後を考えて
コミュニティ・オーガナイジングの活用を

たとえば、経済界が進めたいと考えている規制緩和にどのように対応すればよいか考えてみましょう。コミュニティ・オーガナイジングが最も目に見えた効果をもつのは、小さい単位です。最近は行政がどんどん仕事を民間委託したり、自治会に流してボランティアでやってもらうということが進んでいます。そういうところに労働組合が関わって、コミュニティをまとめていくという方法があるのではないかと思うわけです。そうすることで、市町村の単位で議会を変えていく。コミュニティ組織の力を使って変えていくのです。それが積み重なっていけば、気づけば大きな力になっているのです。

アメリカの例をみても、コミュニティ・オーガナイジングが始まったのが1930年代で、皆が知るようになったのはオバマが大統領になった2008年ころのことですからだいぶ長い時間がかかっているわけです。労働組合が提携しようかと言ってきたのも、2000年代になってからです。そうして、ついにコミュニティ・オーガナイザー出身の大統領まで出すようになったのです。

オバマ大統領は大学を出た後、シカゴのコミュニティ・オーガナイジング組織に入って公共施設のアスベストを排除する運動に携わっていました。それを何年かやった後、もう一度ロースクールに戻って大統領を目指すようになっています。

ヒラリー・クリントンは、大学の卒業論文がコミュニティ・オーガナイジングに関することでした。アリンスキーがまだ生きている頃にヒラリーは大学生で、実際にアリンスキーの元に行ってコミュニティ・オーガナイジングの話を聞き、「君はコミュニティ・オーガナイザーになりなさい」と言われたのです。彼女は政治の道を目指すと言って袂を分けましたが、そういう人たちの活動が表に出てくるようになったのが、2000年代になってからです。ですから、日本でも最低でも、10年後や20年後を考えて進めることが望ましいと思います。

若い人に大きな仕事を任せる場があれば
若い人の活躍の場は増えていく

――私は看護師をしています。アメリカにも医療の労働組合のコミュニティ・オーガナイジングが存在していますか? また、国立ハンセン病療養所などでは、患者さんの団体をつくり市民集会も開いています。そこには大学生なども勉強をしたいとボランティアで参加しています。そういう学生たちともっと密にコミュニケーションをとっていくことが大事なんだなと思いました。どこも今、新人を入れるには若い人の力が必要だということで先頭に立ってやってくれている青年がたくさんいますが、青年がやっているから年配は引っ込んで教えてくれないとか、逆に青年に任せられないからとどんどん自分たちがやってしまっている年配の人もいて、その辺はお互いに、皆が大事だから協力しながらやっていくことが大切だと思いました。青年の意見も聞いて年配の人の意見も聞いて、私はその間に立ってコミュニケーションを図ることが大切だなと思いました。

最も大きくなった組織がサービス従業員労組とくっついたと先ほど申し上げましたが、サービス従業員労組が一番成功したのは、看護師や介護士など医療、介護関係で働く人の組織化でした。そしてその組織化をやったのがコミュニティ・オーガナイザーでした。その人たちがもともとはどこにいたかというと、フロリダやニューオーリンズなど、労働組合の勢力があまり強くない南部でした。どうして介護分野で働いている人たちの組織ができたのか。コミュニティを組織すると、そこには貧しい人が暮らしているわけですが、日本と同じように年寄りや母子家庭の人たちが多い。結果として、そうした人たちを組織したことになるわけです。そうして家ごと地域ごと丸ごと組織する。歳をとった人たちは介護のケアを受けている人が多かったので、各家を組織すれば、そこを通じて介護労働者が組織できたのです。

つまり職場じゃなくても、いやむしろ職場ではないからこうした人たちを組織できたわけです。日本の場合は介護福祉施設があるので状況は違うかもしれませんが、日本では多くの施設に労働組合がないと思います。だから、アメリカの経験は非常に参考になる部分が多いと感じています。ケアを受けている人と介護労働者を丸ごと組織することもできるのではないかと思います。

介護労働者による労働者協同組合

ニューヨークにある組織で、日本でいえば訪問介護をする人たちが出資金を出して自分たちの会社(労働者協同組合)をつくっているところがあります。介護労働者のままでは給与が低いので、職業訓練をして、もしくは大学に送って看護助手、看護師などの資格を習得させることで賃金額を引き上げることを支援している組織です。高校しか出ていない人が多いので、資格を取得することはなかなか難しいのですが、こうした活動には労働組合も関わっています。つまり、労働者協同組合を労働組合が組織しているわけです。高度な職業訓練は労働組合が提供し、介護に関する教育訓練は労働者協同組合が行うというように分担しています。

この組織は、ケアを受けている障害者とその家族も組織して、丸ごとケアしています。なんとなくアメリカというと、新自由主義で困っている人は見捨てると思われがちなのですが、そうではない挑戦があちこちにあります。

若い人のことは私もなかなか実感がないので分かりませんが、ただアメリカの姿を見ていると、若いうちからかなりの仕事をさせています。入って2~3年くらいで組織のトップにするわけです。支部でいうとスタッフが4~5人のところのトップにボンボン入れています。

10年も経つとかなり経験がある人ができあがる。コミュニティ組織は、だいたい全部で100人いるかいないか、少ないところだと5人とか10人というように小さいところが多くなっています。大きな組織や労働組合は、多くの専従者やスタッフを抱えているので、若い人が責任のある部署を担当できるようになるまで、20年とか25年かかってしまいます。だから、活躍の場を求めて、コミュニティ組織に参加する人も少なくありません。ということは、若い人に大きな仕事を任せる場がいっぱいあればあるほど、若い人の活躍の場は増えていくということになるはずです。

労働組合の組織率が低下したことによって
相互扶助が必要になってきた

――コミュニティ・オーガナイジングのひとつの特徴として相互扶助というのがありました。これはアメリカ社会が公的医療制度が未発達なことの反映で、ここにニーズやある種の魅力があって、人が集まってくるということもあるのでしょうか?

その部分も、アメリカと日本で似ているところだと思います。たとえば日本の場合は、いわゆる年金というと国民年金ではなく厚生年金と共済組合年金が主流ですよね。雇用主が負担している、もしくは折半していることがほとんどです。アメリカの場合は事業主に対して、年金税がかけられています。雇われて働いていれば老後に年金がちゃんともらえるはずなのですが、雇われていない人や細切れで働いている人にはその機会が与えられていません。就労資格のない移民労働者も同様です。

したがって、制度はあるけれどもその網から溢れる人が多いのです。基礎年金の額は日本と同じくらいでそれだけでは生活できません。だから、上乗せ年金として企業年金があります。これは労働組合と企業が話し合いで管理しています。日本と違うのは企業が掛け金の全額を負担していることが多いということです。つまり、全体としては日本とよく似ています。

健康保険に関しても、労働組合があれば労働組合が交渉して健康保険の仕組みが整っています。健康保険や年金の恩恵に預かれない人というのは、雇われていないか労働組合に入っていないかのどちらかということになります。ということは、労働組合の組織率が低下したことによって相互扶助が必要になってきたということになるわけです。かつてのアメリカでは考えられなかったことです。

――日本でいうと、全建総連の建設国保を一つ大きな魅力と位置づけているところなどが似ているのかなぁという感じがしました。

現にそういうところもあって、オバマケアと一言で言っても、中小企業に対して助成金を出すだけではなく、請負労働者もオバマケアでカバーされます。フリーランサーズ・ユニオンは、オバマケアに関連した助成金をメンバーである請負労働者に流すという仕事にも関わっています。

日本では一般的に、労働組合が
社会的な活動をする組織だという認識がない

――いま青年の担当をしていて、ずっと公務員が減らされていますが、今年度はようやく採用者が増えました。組織としても新規採用者を組合に入れなければいけないと考え、パンフレットをつくって勧誘したり、集会やレクリエーションの案内をしたりするのですが、地域によって入ってくれる人の数がバラバラです。若い人に労働組合に入ってもらって一緒に何かやれるようになるためにはどうしたらいいか考えています。交流を深める場づくりもやっているのですが、何か、効果的に若い人に興味を持ってもらえるような仕掛けがあれば参考に聞かせてほしいのですが。

ニューオーリンズのコミュニティ・オーガナイジングの組織に行った時に、夜、集会があるので出てみないかと誘われたことがあります。日本でも地域に様々な組織があると思います。農業NPOとか、ワーカーセンターとか、環境保護NPOのような組織です。そういう組織に所属する人たちの集まる会が月に1回行われていて、労働組合も活動を支援しているのですが、そこに顔を出さないか、ということでした。それは、どこかの画廊みたいなところを貸切りにして、立食でワインとちょっとしたスナックをつまみながら、若い人たちが情報の交換をする場でした。NPOで活動をしている人たちは人脈づくりが大切だと思いますが、そうした交流の場は若い人にフィットするのではないかと思いました。

日本では一般的に、労働組合が社会的な活動をする組織だという認識がないと感じています。労働組合員のためだけの組織としか思われていない。けれど、若い労働組合員にとって、NPOの活動をしている人と交流することはお互いにプラスに働くのではないでしょうか。たとえば東日本大震災の被災地にいるNPOとか、地方にある環境保護のNPOの人たちが果たして労働組合のことをどれだけ意識しているだろうか?というと、存在に気がついていないか、メディアなどに作り上げられたイメージからむしろ労働組合を嫌っている人が多いのではないかと感じています。若い人同士の交流でNPO側の人たちの意識も変えられるかもしれない。そういう会を定期的に開いたり、若い人にNPOのボランティア活動に直接参加してもらうのもいいかもしれません。市が自治会に委託しているような行政の仕事にも、話し合いの場に労働組合として顔を出したり。そうしたことを通じて、「労働組合が社会とつながっているんだなぁ」と若い人に分かってもらうチャンスになるのではないでしょうか。

アイデアを言い出したら他にもいくつかあります。地域によっては、貧困などの理由から学習に困難を抱えるお子さんのいる家庭がありますよね。そうした子ども達に、労働組合員が勉強を教えるという活動ができないかと考えます。若い組合員に「労働組合ってこういうこともできるのだ」という印象を与える良い機会になるかもしれません。勉強を教わった子ども達には労働組合の存在や意義を知ることになれば、10年・20年のサイクルで考えると良いサークルが生まれるのではないかと思っています。

「労働組合は、もはや団体交渉だけでは生き残れない」

――コミュニティ・オーガナイジングの活動で、集会があるのかなと思っていたら、今の先生のお話だったので、社交の場などに若者に参加してもらうのは良い手法だなと思いました。また素朴な疑問で思ったのは、ナショナルセンターのようなところはバリバリの定期大会や中央委員会のようなことをやるのでしょうか?

ナショナルセンターの定期大会は当然あります。何年かに1回はやっていて、そこで「コミュニティとの連携をしましょう」ということをはっきりと方針に明記したわけです。他にも「リタイアした労働組合員をもっとNPO活動に参加させましょう」とか、「労働組合をNPO組織に登録させて、普段からNPO活動と交流しましょう」と、つまり「コミュニティ組織の活動と労働組合の活動を一体化させましょう」ということなどを決議しています。

こういう提案がよく通るなぁと思ったのですが、決議されてしまいました。AFL-CIOの会長自ら「労働組合はもはや団体交渉だけでは生き残れない」と宣言するといった、想像を超えたことも起きています。

それは、労働組合の強烈な危機感のあらわれです。さて、翻って日本をみるに、どれだけ社会的な活動と労働組合の活動が一体化できるか。これが、アメリカと同様に労働運動にとってのカギになると感じています。

――アメリカでは公務員の労働組合が一番コミュニティ組織に顔を出すという話がありましたが、それはやはり公務員バッシングを跳ね返すために地域との共同が必要だということで、公務員の組織が最もそうした社会的な運動に敏感だったという理解でいいのでしょうか?

公務員の組織も、と言った方がいいと思いますね。アリンスキーとの関係がもともとあった自動車や鉄鋼の労働組合にも、同じようにつながりがあります。最近でいうと、食品関係の労働組合や、サービス従業員の労働組合も近いところにいます。サービス従業員や食品関係の労働組合は、いずれ自分たちの労働組合員になってくれるだろうという思惑が働いていますし、自動車や鉄鋼はもともとアリンスキーに近いところにいたので、社会的な運動とつながりがありました。一方で、公務員労組は自らの存在にかかわる強い危機感からコミュニティ組織に近づいています。

まず地域から運動を始めよう

――日本の公務員の労働組合に引き寄せて考えると、企業別労働組合的なところがあって、自分たちの賃金に直接関わることなら動員がかかって動く。しかしそこで地域コミュニティに出て行けといった場合、なかなか今の状況では回路ができていないということがあります。実際にお金も人も出して地域コミュニティ運動にどうやって足を踏み出していくのか、なかなかイメージしづらいです。その辺何かアドバイスはありますか?

シカゴの教員労働組合ストライキを担当した人の話を聞くと、ご紹介した戦略チャートを使っています。彼もまたミッドウェスト・アカデミーでトレーニングを受けていました。彼が最初にぶつかった課題は、大衆の支持が公務員労組にないだけでなく、批判的な声が多いということでした。そうしたバッシングをどう跳ね返すか、ということからスタートして大衆を巻きこんだストライキにつなげていったわけです。そのためにすごい時間を費やしたと話していましたが、やはり日本の公務員労組にも同じことが言えるかと思います。

いま、日本の公務員労組は、どうして大衆の支持がないのか、どうして嫌われているのか、どこをどうすれば変えられるのか?ということを検討することから始めなければいけないと考えています。そうした状況を変えるといっても、いきなり国民全部というような話ではなく、地域から始めることが肝心です。職場が位置しているコミュニティと労組の接点を探して関わっていくことが欠かせない。教育の場合は地元の学校ということになるでしょう。

シカゴの教員労組バッシングで問題になったのは、教員に成績主義を導入して成績が上がらない教員はクビにするということでした。それをコミュニティの問題とどうやってつなげていくか。相当難しかったと思いますが、彼らはそれをやった。日本は日本独自に、自分たちのコミュニティと連携する具体的な方策を日本の公務員労働組合が考えなければいけません。

――とても興味深いお話の連続でした。本日は長時間のインタビュー、ありがとうございました。

★国公労連の月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)

▼『KOKKO』2015年9月号 創刊号
〈特集〉官製ワーキングプア
非正規国家公務員をめぐる問題――歴史、現状と課題
早川 征一郎 法政大学名誉教授
座談会 官製ワーキングプア 国が生む貧困と行政劣化
山﨑 正人 国土交通労働組合書記長
竹信 三恵子 和光大学教授/NPO法人「官製ワーキングプア研究会」理事
鎌田 一 国公労連書記長
ハローワークで働く非常勤職員
〈創刊記念インタビュー〉
根深い自己責任論と無責任な安倍政権の「安保法制」
――他の国に代えられない憲法9条による国際貢献を
平野 啓一郎 作家
〈連載〉国公職場ルポ 第1回
[日本年金機構の有期雇用職員]
8,000人雇い止めと外部委託で年金個人情報はダダ漏れ
藤田 和恵 ジャーナリスト
〈連載〉ナベテル弁護士のコラムロード 第1走
「ゆう活」に見える安倍政権のブラック企業的体質
渡辺 輝人 弁護士
〈リレー連載〉運動のヌーヴェルヴァーグ 藤田孝典⑤
労働組合はもう役割を終えたのか ―労働組合活動の復権に向けて―
藤田 孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事
〈連載〉スクリーンに息づく愛しき人びと その1
階級連帯の内と外──『パレードへようこそ』ほか
熊沢 誠 甲南大学名誉教授 ほか

▼『KOKKO』2015年11月号 第2号
〈特集〉2015年人事院勧告
国家公務員賃金の社会的な意味
森岡孝二 関西大学名誉教授
[連載]国公職場ルポ 第2回
[社会保険庁職員525人の不当解雇]
年金スキャンダルの報復とクビ切りの実験台
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2015年11月号 第3号
〈特集〉疲弊する研究現場のリアル
〈座談会〉悪化する研究環境とポスドク若手研究者の無権利
国立研究機関で働くポスドク当事者
榎木英介 科学・技術政策ウォッチャー
早稲田問題のその後
松村比奈子 首都圏大学非常勤講師組合委員長
国立大学の運営問題と人文系学部廃止騒動について
「戦争法」と急進展する軍事研究
――国立研究機関アンケートから研究者の社会的責任を考える
池内 了 名古屋大学名誉教授
[連載]国公職場ルポ 第3回
[年金機構の正規職員とブラックな外部委託]
メンタル疾患の悪循環と社員110人に賃金未払い
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2015年12月号 第4号
〈特集〉戦争法と国家公務員
インタビュー
戦争法廃止の展望と安倍政権の野望
渡辺 治 一橋大学名誉教授
SEALDs KANSAI塩田潤さんに国公青年が訊く
戦争法と各行政
無権利な自衛隊員と戦争法
安全配慮義務違反の戦争法発動
菅 俊治 日本労働弁護団事務局長/弁護士
[連載]国公職場ルポ 第4回
[ハローワークの非常勤とダンダリン(監督官)]
―非常勤をパワハラ雇い止めするハローワーク
ブラック企業に説教するブラック労働行政
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2016年1月号 第5号
〈特集〉国家公務員の働き方改革を問う
〈霞が関で働く国家公務員座談会〉
霞が関不夜城で3千人が過労死の危機
「ゆう活」実態アンケートの結果について
個人番号制度と国家公務員
[連載]国公職場ルポ 第5回
[国土交通省東北地方整備局]
―人と予算足らず「官から民へ」のPPPで震災復興
旭化成建材の杭打ちデータ偽装と同様の危険性も
藤田和恵 ジャーナリスト ほか

▼『KOKKO』2016年2月号 第6号
〈特集〉公務員のお給料
日本の公務員賃金
「決め方」「水準」「支払い方」と労働基本権
早川征一郎 法政大学名誉教授
国家公務員のキャリア組ってなに?

▼『KOKKO』2016年3月号 第7号
〈特集〉被災地の公務員
インタビュー
憲法9条を守るだけでなく「戦争とテロを止める国」へ
高遠菜穂子 イラク支援ボランティア
〈特集〉被災地の公務員
福島原発の廃炉・除染作業に従事する労働者を守るため奔走
富岡労働基準監督署の仲間たち
東日本大震災から5年、国土交通省の職場は ほか

▼『KOKKO』2016年4月号 第8号
〈特集〉国家公務員の職場って?
各行政の現場から
労働/厚生/医療/情報通信/法務/税関/
経済産業/司法/気象/公共事業/運輸/航空
〈VOICE〉国公職場で働く青年から
〈座談会〉民間から見た公務の働き方 ほか

▼『KOKKO』2016年5月号 第9号
〈特集〉再検証「官から民へ」
誰が「橋下徹」をつくったか
松本 創 フリーライター インタビュー
「ハローワークの民営化」問題
官製ワーキングプア化する委託労働者
対談「最低賃金1500円」の新しい波
藤田孝典 NPO法人ほっとプラス代表理事
小林俊一郎 AEQUITASメンバー ほか

▼『KOKKO』2016年6月号 第10号
〈特集〉国立大学クライシス
学生を苦しめる高学費・奨学金ローン地獄
国立大学法人化で論文数減
経済界主導の「大学改革」
止まらぬ教職員の非正規化 ほか

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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