政府統計で見てもアベノミクスは貧困激増政策=実質賃金2年2カ月連続マイナス、先進諸国で日本だけ下がり続ける賃金、非正規率過去最大、役員賞与・配当・内部留保は急増し過去最高額

  • 2015/9/23
  • 政府統計で見てもアベノミクスは貧困激増政策=実質賃金2年2カ月連続マイナス、先進諸国で日本だけ下がり続ける賃金、非正規率過去最大、役員賞与・配当・内部留保は急増し過去最高額 はコメントを受け付けていません

安倍政権が9月15日に閣議配布した2015年版「労働経済白書」。政府統計からもアベノミクスが庶民の暮らしを壊しながら「世界で一番企業が活躍しやすい国」づくりを着々とすすめていることが分かるグラフを紹介しておきます。(※以下のグラフはすべて2015年版「労働経済白書」に掲載されているものです)

下のグラフにあるように、2013年5月から実質賃金は下がり続けています。

厚生労働省が9月4日に発表した7月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、実質賃金は前年同月に比べ0.3%上昇したとのことで、マスコミは「実質賃金2年3カ月ぶりプラス」と喜々として報道していますが、日刊ゲンダイが指摘しているように、ピーク時から賃金は月10万円以上も下がっていますし、9月下旬に公表される確報値で実質賃金がマイナスに転じる可能性もあります。そもそも7月がプラスになったとしても安倍政権下で2年2カ月連続の実質賃金マイナスであったことはかわりないのです。

そして下のグラフにあるように、「雇用者報酬が1998年以降で落ち込む中、年金等の社会給付が消費を下支えして」いるのです。こんな状況にあるのに、安倍政権はさらに「年金等の社会給付」をも削減しようとしているわけですから、庶民の暮らしをどこまで壊せば気がすむのかという感じです。

雇用者報酬が下がり続ける主因は、下のグラフにあるように、アベノミクスが非正規雇用率を過去最高にしてしまったからです。さらに、今国会で安倍政権が強行採決した「生涯派遣・正社員ゼロ」の労働者派遣法改悪が本格化すれば、どんな惨状が広がることになるかは目に見えています。

庶民の暮らしを破壊しながらアベノミクスがプラスにしたものは、下のグラフにあるように、「役員賞与・配当・内部留保」です。

国際比較を見ても、下のグラフにあるように、アメリカもヨーロッパ諸国も労働生産性の伸びに比例して雇用者報酬も伸びているのにもかかわらず、日本だけは労働生産性が伸びても雇用者報酬は下がるという異常な国になっているのです。

安倍政権がやっていることは、「貧困と格差」を拡大させているだけなのに、いまだにアベノミクスへの幻想がまかり通っているのは、NHKはじめマスコミ等へのドーピング的なプロパガンダの総動員と、大企業・富裕層天国が日本経済を良くするなどといういまだにあるトリクルダウン幻想の刷り込みなどの安倍政権の「上層社会統合」の成果だと思います。アベノミクスの成果は、じつはマスコミドーピングプロパガンダとトリクルダウン幻想の刷り込みがいまだに成功しているということなんだと思います。

▼参考
貧困拡大する政府・財界への抵抗を沈静化させ中下層の政治勢力化防ぐ「上層社会統合」=社会の上層・高所得層への「利益供与システム」=年収100億円の富裕層は年収100万円の貧困層より税・社会保険料負担が低い

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学教職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員(教宣部長)、労働運動総合研究所(労働総研)理事、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者、日本機関紙協会常任理事(SNS担当)、「わたしの仕事8時間プロジェクト」(雇用共同アクションのSNSプロジェクト)メンバー。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)があります。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2021年の仕事納めってことで2021年に私がツイートしたものでインプレッション(ツイートがTwit…
  2. 国公労連は、#春闘2021 のハッシュタグを付けるなどしてツイッターでキャンペーンを展開中です。3月…
  3. 2020年で自分のツイッターアカウントにおいて、インプレッション(ユーザーがツイッターでこのツイート…
  4. 5月1日のメーデーで、国公労連と各単組本部は霞が関においてソーシャルディスタンスを確保しながらスタン…
  5. 京都総評
    2019年の自分のツイートのインプレッション(読まれた回数)を見てみました。15万以上読まれたのは以…

NEW

ページ上部へ戻る