安倍首相「17年ぶりの高い賃上げで景気は確実に回復軌道を歩んでいる」→事実はアベノミクスで実質賃金は激しく下がり続け消費支出は20カ月連続で落ち込みリーマンショックに匹敵する深刻な景気後退局面にある

安倍首相は、1月1日の年頭所感では「17年ぶりの高い賃上げ」1月4日の年頭記者会見でも「17年ぶりの高い賃上げも実現し、景気は確実に回復軌道を歩んでいます」と明言しています。

本当でしょうか? まず「景気は確実に回復軌道を歩んで」いるのか?という点です。

1月1日にテレビ朝日で放送された「朝まで生テレビ」で、森永卓郎氏がリーマンショックのとき初めて2年度連続でGDPがマイナスになったのだが、日本の歴史上、アベノミクスという自らの経済政策によって初めてGDPを2年度連続マイナスとする可能性が高くなっているという指摘をしていました。

これと同様の指摘をネット上で以下のように読むことができます。

戦後の日本経済を見ると、年度ベースでマイナス成長に陥ったのは過去5回しかない。

1回目は、第一次石油危機の’74年度、2度目は消費税を5%に引き上げた翌年の’98年度、3度目は不良債権問題で金融が収縮した’01年度、4度目はリーマンショックの’08年度、そして5度目が消費税率を8%に引き上げた昨年度だ。このうち、マイナス成長を翌年度まで引きずったのは、リーマンショック後の’08年度~’09年度の一度だけ。それが今回、2年連続のマイナス成長になろうとしているのだから、景気回復という言葉を誰も使えるはずがないのだ。

そのような現状を、11月17日の『ウォール・ストリート・ジャーナル』(電子版)でも、次のように評している。

「安倍晋三首相が3年前に政権に返り咲いてからは、2度目のリセッションだ。首相は日本経済の停滞に終止符を打つと公約したが、その目標は達成できていない。今こそ再考の時だ」

リセッションというのは、景気後退という意味だ。普通に統計を見たら、いまの日本経済は深刻な景気後退に陥っているのは間違いないのだ。

なぜ、景気後退に陥ったのか。確かに中国経済の減速という外的な要因はある。しかし、本質的な要因は二つだ。

一つは、昨年4月の消費税率引き上げの衝撃がとてつもなく大きかったということだ。’97年の消費税率の5%への引き上げは、その後15年間続く長期デフレに日本経済を陥れた。それを考えたら、今回も長期低迷が続く可能性は十分ある。だから、少なくとも再来年4月の消費税再引き上げは、やってはならない。
(森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 景気後退を無視する政府・日銀)

 

「景気は確実に回復軌道を歩んで」いるどころか、アベノミクスがもたらしているのは、リーマンショックに匹敵するリセッション(景気後退)ということです。

それから、内閣府「家計調査」の「消費支出」で、2010年を100として見たグラフが以下です。

上のグラフを見て分かるように、2014年4月から直近データの2015年11月まで20カ月連続で100以下となっています。これは東日本大震災以降よりも落ち込みが酷く、しかも直近の2015年11月の消費支出が91.8と2010年以降最も大きく落ち込んでいるのです。

次に賃金です。

上のグラフは、厚生労働省「毎月勤労統計調査」の中にある2010年を100とした場合の実質賃金の推移をグラフにしてみたものです。グラフを見て分かるように、「17年ぶりの高い賃上げ」の実現どころか、アベノミクスが2013年から実施されて以降、実質賃金は激しく下がり続けています。最低が2015年5月の93.5ですから6.5%も賃下げになっているのです。

共同通信社が昨年12月26、27両日に実施した世論調査によると、第2次安倍政権発足から3年間で、経済政策「アベノミクス」により景気が良くなったと「実感していない」との回答は73.7%に上っています。NHKはじめ多くのマスコミがアベノミクスを持ち上げ続ける中においてさえもこれだけの数字が出るというのは、まさにリセッション(景気後退)に陥っていることを証明するものでもあると思います。

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井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、国家公務員一般労働組合(国公一般)執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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