安倍首相「景気が良くなったから妻はパートで月25万円稼ぎ出し世帯収入増」→事実は賃下げ生活苦のためパート月6万円で補うもこの15年で月4万4千円も世帯収入減、この26年間で最も低い賃金にしたアベノミクス

昨日の安倍首相の国会答弁です。

民主党の山井和則議員がパートの増加や一人あたりの賃金の低下を指摘

安倍首相「え~私と妻。妻は働いていなかったけれども、『景気がそろそろ本格的に良くなって来たからそろそろ働こうかしら』と思ったら、我が家の収入は妻が25万円で私が50万円で75万円にふえるわけでございますから。2人で働くことから2で割ると平均の収入は下がっていく」

【安倍首相の「パートは月25万円稼げる」発言に批判殺到!ネット上で「計算してみろ」と怒りの声が相次ぐ!】

 

この安倍首相の国会答弁を少し検証してみましょう。まず「パートで月25万円稼げる」のかという点です。

上の表は、内閣府「家計調査」の「1世帯当たり年平均1カ月間の収入(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」の最新データです。直近の2014年の「世帯主の配偶者の収入」は、6万円です。安倍首相の言う「月25万円」の4分の1以下というのが客観的事実なのです。

次に「妻は働いていなかったけれども、『景気がそろそろ本格的に良くなって来たからそろそろ働こうかしら』」という点です。

今度は上の表にある「世帯主収入」を見てください。2000年は46万円だったのが、直近の2014年は41万円と、4万5千円も下がっています。事実は、景気が良くなったわけではなく、世帯主の月4万5千円もの賃下げで生活が苦しくなったため配偶者が働かざるをえなくなったのです。

それから、「我が家の収入は妻が25万円で私が50万円で75万円にふえる」という点です。安倍首相はアベノミクスで世帯収入が増えているから平均賃金が下がっても問題がないのだと言っているわけですが本当でしょうか?

上の表にある二人以上の勤労者世帯の「勤め先収入」を見てください。2000年は52万7,818円だったのが、直近の2014年には48万3,251円と、4万4,567円も世帯収入も減っているのです。

念のため、直近の数字も見ておきましょう。2015年11月の数字が内閣府公表の最新ですので、過去の同月と比較すると、二人以上の勤労者世帯の収入は、2015年11月で42万5,692円、2014年11月が43万1,543円、2013年11月43万6,293円となり、安倍首相の言う「17年ぶりの高い賃上げ」とはまったく逆に二人以上の世帯で見ても2015年は賃下げになっています。

冒頭に紹介した国会答弁の最後のところで、安倍首相は、「2人で働くことから2で割ると平均の収入は下がっていく」などと言っていますが、以上見てきたように2人以上の世帯の収入そのものが下がっているのですから、まったくのウソとデタラメであることが分かります。

それと、先日アップした「安倍首相「17年ぶりの高い賃上げで景気は確実に回復軌道を歩んでいる」→事実はアベノミクスで実質賃金は激しく下がり続け消費支出は20カ月連続で落ち込みリーマンショックに匹敵する深刻な景気後退局面にある」に対して、「賃金の実額で見たらアベノミクスで大幅賃上げになっているのにウソをつくな」という指摘がありました。どちらがウソなのか見てみましょう。

 

上のグラフは、厚労省「毎月勤労統計調査」の「現金給与総額」の直近データを見たものです。安倍首相が自慢するところのアベノミクスの成果が最も出ているであろう厚労省の最新データの確報が2015年10月の「現金給与総額」ですから、それで比較しました。グラフにあるように、2015年は26万6.426円で、賃金の実額で見ても「17年ぶりの高い賃上げ」どころか、17年間で最も低い賃金になっています。

厚労省「毎月勤労統計調査」の確報は2015年10月のデータが最新ですので、そこまでになりますが、以下の表にあるように、「年平均」「上半期」「下半期」「四半期」「月」「年度平均」などすべての項目において、アベノミクスは最悪の賃下げを行っているわけです。「17年ぶりの高い賃上げ」どころか「26年間で最も低い賃金」にしたのがアベノミクスなのです。

これでもさらに「賃金の総額は増えている」などと言ってくる人がいるので最後に指摘しておきますが、安倍首相が賃上げしたと豪語する資本金10億円以上の大企業のデータを財務省「法人企業統計」で見ても、賃金総額は2000年度の41兆9,300億円から直近の2014年度の41兆8,800億円へとマイナスになっています。大企業だけに限ったとしても安倍首相の言う「17年ぶりの高い賃上げ」はウソで、事実は賃下げとなってしまっているのです。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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