自公過半数ならず安倍退陣が衆院選の本当の結果=安倍政権の少数派支配を可能にする小選挙区制という魔法の装置

  • 2017/10/24
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今回の衆院選挙の結果について、「自民大勝」や「自民圧勝」などという見出しが全国紙を飾っていますが、相変わらず、実態は「安倍政権の少数派支配」にほかなりません。

 

上記の右の表は、Primus Pilusさんが「全国統一区で完全比例代表制(ドント式)で465議席だったら、各党の議席数が何議席になるか調べてみた。」ものです。そうすると、自公の合計で「215議席」になりますから、3分の2どころか、過半数の233議席にも届いていないのです。なので、選挙制度さえ民主的ならば、安倍政権は退陣だったわけです。

このことは、私が行ったインタビューの中で、中野晃一上智大学教授が次のように指摘しています。

少数派支配を可能にする「魔法の装置」=小選挙区制

小選挙区制の構造的な欠陥は、「多数派支配」という体裁はとっていますが、実際には「少数派支配」を可能にするシステムであるという点にあります。

小選挙区制での選挙結果のほとんどで相対多数の票は、絶対的に見れば少数なわけです。今回の選挙でも有権者の自民党への絶対得票率でみると、比例代表制は17%、小選挙区制は24%ですから、自民党に投票した有権者は4人に1人にも達していないわけです。それを小選挙区制は議席の上では多数派に変えてしまう。そういう意味では小選挙区制は「魔法の装置」といえます。

この「魔法の装置」による結果をもって「多数派支配」だとか、「圧勝」だと言われても、本当の意味での民意が表出されている議席ではないわけです。

民主主義とは別物の小選挙区制

民主主義というのは、みんなで決めようということが原点にあるわけですから、そもそも民主主義は単なる「多数派支配」とも違います。もちろん実際にはみんなですべてを合意するのは難しいから、多数決を便宜的な手段とすることに一定の合意がある場合もあります。しかし、多数決でさえなく少数決になってしまう小選挙区制の選挙結果はもう民主主義とはまったく別物であると言わざるを得ません。ここに小選挙区制がもたらす大きな問題があると思います。

[安倍政権の少数派支配 – 多数決さえなく少数決となる小選挙区制は民主主義とは別物|中野晃一上智大学教授]

 

今回の衆院選の「自民大勝」「自民圧勝」という結果も、この「魔法の装置」である小選挙区制によって作られた「安倍政権の少数派支配」です。安倍政権は「少数派支配」にもかからず、この間、憲法違反の戦争法や共謀罪などを強行してきたわけで、この点からも安倍政権は民主主義の破壊者です。加えて指摘すると、こうした民主主義とは別物の小選挙区制度下の今回の選挙においても、上の表の左にあるように、自公は318議席から313議席へと前回より減って、改憲阻止勢力は38議席から69議席へと今回は増えているのですから、そういう意味でも今回の選挙結果の内実は「自民大勝」「自民圧勝」などではないのです。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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