「結婚の障害」は貧困と雇用劣化で男女とも約8割と過去最高、子どもを持てない理由も同様、そして安倍政権の「働き方改革」は「結婚の障害」「子どもを産み育てることの障害」をさらに増大させる

TBSの報道です。

「独身の交際相手なし」過去最高、男性7割 女性も6割
TBS系(JNN) 9月15日(木)19時40分配信

結婚していない人のうち、異性の交際相手がいない人の割合が男女ともに過去最高になったことが分かりました。

国立社会保障・人口問題研究所が去年6月に18歳から34歳の未婚の男女およそ5000人らを対象に調査した結果、結婚願望がある人が男女ともに8割を超える一方、「異性の交際相手がいない」人の割合が男性で7割、女性で6割と、5年前の前回調査から1割近く増えて、ともに過去最高でした。結婚のハードルとしては男女ともに4割以上が「結婚資金」を挙げています。

夫婦を対象にした調査では生涯に持つ子どもの数が前回に続き2人を下回り、1.94人と過去最低になりました。一方、妻が1人目の子どもの出産後も仕事を続ける割合は、これまでの4割程度から、53.1%に増えています。

 

この報道に対して、「お金の問題、貧困の問題を理由にするのは間違いだ」とのコメントが寄せられたのですが、本当でしょうか? 元データの国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」を見てみましょう。

まず、結婚の意思のある未婚者に聞いた「結婚の障害」です。

これを分かりやすい形でグラフにしてみたものが以下です。

男女ともに、「結婚の障害」は、お金・住居・仕事という大くくりすれば「経済的理由」が8割近くと圧倒的に多いのです。これは、昨日も紹介した世帯の平均所得が激減し、相対的貧困が広がっていることが「結婚の障害」になっていることを明確に示していると思います。(※参照→「所得格差が過去最大、平均所得93万円減(2002-2014)、中間層が細り低所得層が増え貧困に陥る恐れのある人が増大」)

加えて、子どもの数も減っています。

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そして、理想の子ども数を持たない理由も「経済的理由」です。

こうした中で、男女ともに理想のライフコースは仕事と結婚・子育てを両立する「共働き」が過去最高となっています。

このことは、男性が結婚相手の女性に求める「経済力」「職業」が過去最高になっていることにも見てとることができます。

そうすると、男女ともに働き続けながら子育てが可能となる社会の側の両立支援制度が重要になってきています。

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また、「結婚の障害」としての「仕事の問題」には、日本の長時間労働の問題もあります。

以上、見てきたように、「結婚の障害」「子どもを産み育てることの障害」は、ベースにある相対的貧困の増大と、非正規雇用の増加をはじめとする雇用・労働条件の劣化、公的保育や育児休暇など子育て支援の不十分さ、世界で最も高い教育費など子育てにお金がかかり過ぎる「子育ての自己責任社会」にあると思います。

そして、雇用・労働条件のさらなる劣化をもたらす、「残業代ゼロ・過労死促進法案」などの「働き方改革」を進める安倍政権によって、「結婚の障害」「子どもを産み育てることの障害」が一層増大する方向となっているのです。

▼参照
#与党が勝つと残業代ゼロになります #与党が勝つと過労死・過労自殺・心の病が激増します 今でも日本の男性の労働時間はフランスの2倍以上

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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