自衛隊員の皆さんへ呼び掛けます「君死にたまふことなかれ」|日本労働弁護団会長声明

  • 2015/9/19
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※写真は「陸上自衛隊HPより」

(※日本労働弁護団の会長声明を紹介します。※関連→「「小さな子どもが2人いる、父親を持って行かれたらどうなるのか、自衛隊員の命を大事にしない安倍さんを許せない」 – 安倍政権は自衛隊員と家族の声を聴き「戦争法案」を廃案にせよ」、「安倍政権は殺到する自衛隊員と家族の声を聴け「侵略戦争で殺され」「子ども殺す命令の拒否で処罰する戦争法案やめよ」「家族はデモへ」」)

日本労働弁護団は、本日の憲法違反の安保法制成立を受けて、実働者となる自衛隊員の皆さんへ呼びかける会長声明を発表しました。憲法違反の法律で追加された外国のための防衛出動で、あなたの命を危険にさらすべきではありません。「君死にたまふことなかれ」、私たちは心の底から訴えます。~以下、声明本文~

自衛隊員の皆さんへ呼び掛けます「君死にたまふことなかれ」
2015年9月19日
日本労働弁護団
会長 鵜飼良昭

本日成立した安保法制は違憲の法律であると共に、その実働者となる自衛隊員の人権を一顧だにしないものです。

私たちは、9月12日、15日、「自衛隊員と家族・恋人のための緊急相談」を実施しました。そこには、多数の家族・恋人の方から相談が寄せられましたが、その内容は、与謝野晶子の「君死にたまふこと勿れ」(注)と同じ切実な思いでした。

私たちは、自衛隊員の皆さんに、①「新たな法律により追加された外国のための防衛出動命令」が発せられたときにはこの命令に服従するとの同意書や誓約書等の提出を求められても、これを提出しないこと、及び、②「新たな法律により追加された外国のための防衛出動命令」が発せられても、これには従わないことを訴えます。

同意書や誓約書等の提出を拒否し、外国のための防衛出動を拒否する皆さんの選択は、正しいものであり、皆さん方の家族、恋人と共に、私たちは、皆さんの選択を全力で守ります。

皆さんは、任官に際して宣誓をされています。また、少なくない皆さんは海外で任務を遂行することへの同意書を既に提出されています。

皆様方の災害における献身的な働き、また、我が国に万一のことがあり日本国民の生命が危険にさらされるときに身を挺して働くとの決意には敬意を表します。

しかし、今回の法律により新たに追加された外国のための防衛出動は集団的自衛権の行使によるものであり、皆様方がすでにされている国民を守るとの宣誓や平和維持活動のための海外任務についての同意とは質が異なるものです。

皆様方は外国のための防衛出動命令に応じる義務はありません。

米軍と共同した集団的自衛権の行使は、いかなる理由があるにしても、先制攻撃であり、皆様方が決意されている、日本が攻撃をされ日本国民の生命を守るために皆様がやむにやまれず出撃される場合とは大きく異なります。

さらに、この法案は日本国民の多数が、日弁連が、憲法学者のほとんどが、歴代の法制局長官が、元最高裁長官まで、違憲と断じている法案です。成立したとしても、この法案に基づく行動は、違憲と評価される可能性が高いものです。そればかりか、この法案にしたがった行動を取ることは、今まで専守防衛に徹することで築かれてきた、日本の国際社会における「平和国家」としての地位を壊す、日本の「国益」に反することでもあります。

新たな法律で追加された外国のための防衛出動で、あなたの命を危険にさらすべきではありません。

「君死にたまふこと勿れ」

私たちは心の底から訴えます。

(注)与謝野晶子(1878~1942)の1904年の詩。日露戦争の旅順戦に従軍していた弟を嘆いて詠んだもの。以下、全文を記載する。

君死にたまふこと勿れ
(旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて)

あゝをとうとよ君を泣く
君死にたまふことなかれ
末に生れし君なれば
親のなさけはまさりしも
親は刃(やいば)をにぎらせて
人を殺せとをしへしや
人を殺して死ねよとて
二十四までをそだてしや
堺(さかひ)の街のあきびとの
舊家(きうか)をほこるあるじにて
親の名を継ぐ君なれば
君死にたまふことなかれ
旅順の城はほろぶとも
ほろびずとても何事か
君知るべきやあきびとの
家のおきてに無かりけり

君死にたまふことなかれ
すめらみことは戦ひに
おほみづからは出でまさね
かたみに人の血を流し
獣(けもの)の道に死ねよとは
死ぬるを人のほまれとは
大みこゝろの深ければ
もとよりいかで思(おぼ)されむ
あゝをとうとよ戦ひに
君死にたまふことなかれ
すぎにし秋を父ぎみに
おくれたまへる母ぎみは
なげきの中にいたましく
わが子を召され家を守(も)り
安(やす)しと聞ける大御代も
母のしら髪(が)はまさりけり
暖簾(のれん)のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻(にひづま)を
君わするるや思へるや
十月(とつき)も添はでわかれたる
少女(をとめ)ごころを思ひみよ
この世ひとりの君ならで
あゝまた誰をたのむべき
君死にたまふことなかれ
──「明星」明治三十七年九月号──

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学教職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員(教宣部長)、労働運動総合研究所(労働総研)理事、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者、日本機関紙協会常任理事(SNS担当)、「わたしの仕事8時間プロジェクト」(雇用共同アクションのSNSプロジェクト)メンバー。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)があります。

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