安倍首相「景気回復で安倍家は私が50万円と妻25万円で総雇用者所得は75万円に増えるが平均賃金は減る。しかし大切なのは総雇用者所得が増えていることだ」→事実は総雇用者所得もアベノミクスで激減している

先日、指摘した「安倍首相「景気が良くなったから妻はパートで月25万円稼ぎ出し世帯収入増」→事実は賃下げ生活苦のためパート月6万円で補うもこの15年で月4万4千円も世帯収入減、この26年間で最も低い賃金にしたアベノミクス」の件が、きょうの国会でも問題になっていました。

「The Huffington Post」は次のように報じています。

安倍首相が反論「妻がパートで25万円とは言っていない」
The Huffington Post 2016年01月12日 11時58分

安倍首相は、1月8日の国会答弁で「安倍家の収入」の例え話をした際に、パートで働き始めた妻の月収を「25万円」と受け取られたことについて、「妻がパートで25万円とは言っていない」と反論した。

1月12日の衆院予算委員会で、民主党の西村智奈美議員の質問に対して、安倍首相は次のように答弁した。

「私の答弁の答弁書を正確に見てください。いいですか、パートということを申し上げたのは、いわば一人当たりの実質賃金が下がっているではないか?ということの説明において、景気回復局面において今まで働いていなかった所得がゼロだった人たちが働き始めると。その中においては、パートから働き始める人がいますよと。私と妻との関係では、私が50万円で、妻がパートで25万円とは言っていません。パートというのは前の説明でしょ」

西村議員は「総理は『雇用が増加する過程において、パートで働く人が増えていく』『一人当たりの平均賃金が低く出ることになるわけだ」と明確に答えているわけですよ。文脈がそういう風に受け取れる」と、安倍首相の発言を追及していた。

■安倍首相の「パート発言」とは?

1月8日、「民主党政権に比べて、第2次安倍政権の方が実質賃金の減少率が高い」と民主党の山井和則議員に指摘された安倍首相は次のように答えた。

「ご指摘の実質賃金の減少についてでありますが、景気が回復し、そして雇用が増加する過程において、パートで働く人が増えれば、一人当たりの平均賃金が低く出ることになるわけであります。私と妻、妻は働いていなかったけど、景気が上向いてきたから働こうかということで働き始めたら、(月収で)私が50万円、妻が25万円であったとしたら、75万円に増えるわけでございますが、2人で働いているわけですから、2で割って平均は下がるわけです」

パートで働き始めた妻の月収が25万円という文脈に読めることから、「社会の貧困の実態に無理解すぎる」などと批判する声がネット上で出ていた。

 

私はこの「The Huffington Post」で報道されなかった安倍首相の国会答弁について指摘しておきます。(というのも、しつこく「総雇用者所得で見ればアベノミクスで大幅賃上げになっている」と安倍首相と同様のことを私に言ってくる方がいらっしゃるのでこの際、この点についても明確に指摘しておきたいと思います)

安倍首相はきょう、民主党の西村智奈美議員の質問に対して、次のようにも国会答弁しています。

総雇用者所得で見なければならない。大切なのはそこだ。平均の賃金はそのときの経済を正しく見るものではない、ということが言いたかったことだ。景気回復局面には働き始める人がゼロから例えば25万円になると、総雇用者所得と、一人当たりの平均賃金の違いを説明しただけで、例えば安倍家で私が50万円と妻が25万円で総雇用者所得は75万円と増えたが一人当たりの平均賃金は減る。しかし最も大切なことは総雇用者所得が増えることだ。

それから、自民党議員のおべんちゃら質問に対して安倍首相は、「2年連続で賃上げ率は大きく伸び、明らかに収入がよくなって経済の好循環を作り出している」とも上機嫌で国会答弁していました。(※安倍首相の国会答弁は私の簡単な要旨メモですので一字一句同じではないこと御了承ください)

さて、「この26年間で最も低い賃金にしたアベノミクス」についてはすでにデータを示して指摘していますので、安倍首相が最も大切だという総雇用者所得が本当にアベノミクスで増えているのかを見てみましょう。

上のグラフは、財務省「法人企業統計」にある全産業の「従業員給与」の直近データです。全産業の「従業員給与」ですから、安倍首相が言うところのまさに最も大切な総雇用者所得になるわけです。上のグラフを見て分かるように、2013年からスタートしたアベノミクスによって安倍首相が最も大切だという総雇用者所得も民主党政権時代の2012年の数字にどれ一つとして勝っていないのです。アベノミクスで平均賃金も総雇用者所得も減ったのです。安倍首相はまさにヒトラーの「ウソは大きいほど良い。大衆は、小さなウソより大きなウソにだまされやすい。なぜなら、彼らは小さなウソは自分でもつくが、大きなウソは怖くてつけないからだ」を真似て実践しているとしか思えません。

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井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、国家公務員一般労働組合(国公一般)執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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