違憲の安保法制を廃止するための野党共闘vs自公政権という全国的な対決構図つくらなければ野党は必ず夏の選挙で惨敗する|中野晃一上智大学教授

  • 2016/1/12
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「時事通信」の配信記事です。

1人区、民主に一本化を=岡田氏
時事通信 2016年1月10日 13:00

民主党の岡田克也代表は10日のNHK番組で、夏の参院選1人区での野党協力に関し「野党が2人も3人も出せばうまくいかないのは当たり前だ。民主党の候補者が最有力という選挙区が多いので、それぞれよく考えてほしい」と述べ、競合する他党に候補者取り下げを検討するよう求めた。

これに関し、共産党の志位和夫委員長は「全国規模で1人区の調整をやるなら、政党と政党の真剣な協議と合意が必要だ。ぜひ話し合いをやろう」と民主党に呼び掛けた。東京都内で記者団に語った。

 

――こうした状況についての中野晃一上智大学教授の指摘を以下紹介します。【※この指摘は中野教授がfacebookに昨日(1月11日)投稿したもので、中野教授ご本人に了解を得た上での転載になります】

野党共闘ではなく、野党が選挙に勝つことが、最も重要な目標だと主張する人たちがいるようですが、私はそれはちょっと違うと思います。なぜか。最も重要な目標は、野党共闘そのものでも、野党が選挙に勝つことでもなく、違憲の安保法制の廃止と閣議決定の撤回だからです。

近視眼的に選挙しか見ていない人はそこを見誤るのかもしれません。しかし少し考えてみてください。なぜ民主党執行部はここまで頑なに共産党と協議することを拒否するのか。それは日米安保ムラの前原氏、長島氏などの党内右派(なかには旧民社系の流れの日本会議も含む)に遠慮しているからです。

そんな民主党が仮に勝ったとして(勝てませんが)、選挙前に違憲の安保法制を廃止せよと声をあげる市民よりも日米安保ムラの同僚のほうを気遣っていた政党が、選挙後に安保法制廃止に動くわけがありません。

これは、昨年夏に安保法制に国会で反対票を投じた議員でも同じことです。可決することがわかっていたときに反対票を投じたからと言って、一旦成立した法を廃止するために汗をかくとは限りません。政治家の多くはそういうものです。

野党共闘を私があくまでも求めるのは、選挙を通じて民主党を安保法制廃止にコミットさせるためです。ただし、全ての選挙区で同じように共闘せよなどとは言っていません。

民主党執行部が日米安保ムラや日本会議系議員を黙らせることよりも、共産党との違いを強調することに熱心なのはおかしいだろ、と言っているだけです。共産党と同じになることではなく、安保法制廃止のために協議し、地域ごとに見合った選挙の戦い方について合意を探ることを求めているだけです。

もう一つ、説得力のある野党共闘vs自公政権という全国的な対決構図ができなければ、野党は必ず惨敗します。投票率が上がらず、組織票が大きくものを言い、ただでさえ自民党が圧倒的に有利な一人区で惨敗するからです。
説得力のある野党共闘は、違憲の安保法制廃止、閣議決定撤回、個人の尊厳を守る政治の実現を声高く掲げて、自公政権に明確に対峙すること以外にないと考えます。小異を捨てて、これらの点で一致できるはずの野党が、日米安保ムラや日本会議議員に遠慮していては、有権者に広くアピールするなど夢のまた夢です。

このままのしょぼいアプローチなら、自民党の思うツボ、投票率は最低記録をさらに更新するでしょう。過去の分散した野党候補票を足して固めて与党候補を上回れば勝てるというのは空想の産物です。

積極的に野党候補に投票したくなるような説得力のある対決構図を作らなければ野党は惨敗するでしょう。安保法制廃止への道のりは果てしなく険しく遠いですが、そこへの第一歩は安保法制廃止などを一致点とした野党共闘態勢を作ること以外にないと私は考えています。このままでは勝負にさえなりません。

中野晃一上智大学教授のfacebookの近況アップデートから】

――以上が中野晃一上智大学教授の指摘です。関連して直近の世論調査を紹介しておきます。以下はJNNが2016年1月9日~10日に実施したものです。

上の世論調査結果にあるように、「野党は統一候補を立てるべき」が56%となっています。

選挙は単純な足し算ではありませんが、一つの判断材料として上の政党支持率を比較してみると――

自民39.0%+公明3.4%=42.4%
民主9.1%+共産4.7%+維新0.9%+生活0.8%+社民0.5%=16% ←支持なし32.4%

この直近の世論調査からも考えてみると、中野教授の指摘は、「野党は統一候補を立てるべき」と野党共闘に期待する56%の国民と支持なし32.4%の国民が、「積極的に野党候補に投票したくなるような説得力のある対決構図を作らなければ野党は惨敗するでしょう」ということになるのではないでしょうか。

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井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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