月270時間無給労働で使い捨て!「ガイアの夜明け もう泣き寝入りしない!~立ち上がった働く若者たち」

(※2014年9月23日にテレビ東京で放送された「ガイアの夜明け もう泣き寝入りしない!~立ち上がった“働く若者たち”」を観て書いたものです)

昨夜(9/23)、テレビ東京で放送された「ガイアの夜明け もう泣き寝入りしない!~立ち上がった“働く若者たち”」を観ました。

番組の冒頭で取り上げられた大手カフェチェーンの雇い止め問題。この大手カフェチェーンというのは、シャノアールのことなのですが、今回の「ガイアの夜明け」の“主役”であった神部紅さん(首都圏青年ユニオン事務局次長)は、私が編集している月刊誌『国公労調査時報』2月号で、このシャノアールの問題を次のように書いてくれています。

「ブラックバイト」に喰い潰される

神部紅(じんぶあかい)首都圏青年ユニオン事務局次長

 

「鮮度が落ちる」と雇い止め

(株)シャノアールが全国チェーン展開する喫茶店「CAFFE VELOCE」(カフェ・ベローチェ)は、5,000人をこえるバイト・パート従業員に対して、改正労働契約法の悪用と、「鮮度が落ちる」という驚くべき理由で不当な雇止めを強行。私たちは千葉店で働く首都圏青年ユニオンの組合員を原告として、シャノアールを昨年7月に提訴した。

それぞれの店舗に社員が1~2人が配属。1~2年で社員(店長)は配転されていく(千葉店の店長はこの6年間で6人も入れ代わっている)。一方、ユニオンの組合員をはじめ、長年勤務するバイト・パートは業務を熟知しているため、シャノアールは「時間帯責任者」なる“称号”と過大な責任や膨大な業務を担わせ酷使していた。

新人育成、シフトの管理や調節、不足商品の発注。営業時間中に4回に渡って売上金の計算を行い、銀行入金や本社への報告も行う。営業に必要な備品、店舗で提供する食材の在庫がなくなれば自腹で買いに行かされることもある。雨が降るなどして入客数が少ない日は、売り上げが落ちる。そんな時は現場をまわしている「時間帯責任者」が、ほぼ同じ待遇のバイトやパートに帰宅の指示をすることが強要される。忙しいときはその逆で、シフトの有無を問わず出勤の指示をさせる。スタッフ同士の人間関係が悪くなるのは必至だ。6時間にわたるシフトに入ったら、まだ15分しか働いていないのに30分の休憩時間を指示するといった、非効率でずさんな時間管理が横行し、バイト・パートを物のように削ったり増やしたりと、調整弁として使っている。

さらには、店舗を解・施錠する際に店長(社員)が不在だと、「鍵持ち」任務を負わされた学生たちがシフトに入っていない日でも出勤する。もちろん賃金や交通費は一切支給されない。有給も認めず、早出出勤や残業代も支払わない。パートの雇用保険の加入は恣意的に行っておらず、週20時間を超えないようにシフトコントロールされていたケースもあった。

シャノアールは、「バイト・パートに休まれると店舗が回らなくなる」と労働強化をつづけていたのにかかわらず、“雇用の安定を図る”という法改正を脱法的に逃れるため「4年で使い捨て」を強行した。人事部長は、意図的に女子大生を雇っていたと発言してはばからなかったが、「学生アルバイトを中心とした、低コスト・低価格の気軽でライトな雰囲気のカフェ」「定期的に店舗従業員が刷新する体制を構築」する。これが“彼ら”の論理だ。

最初は労働組合のない、非正規労働者が多くを占める職場からこのような労働条件の大きな変更が始まる可能性が高い。雇用も生活も破壊つくされ、奪いつくされ、骨の髄までしゃぶられ棄てられていく若者を、指をくわえてながめているだけでいいのだろうか。
私が編集している月刊誌『国公労調査時報』2月号より一部転載

 

会社側はアルバイトは歯向かわない都合のいい存在だと思っている

今回の「ガイアの夜明け」の中では、シャノアールとたたかう彼女の「会社側は私が裁判をすると思っていなかった。アルバイトはどんなことをしても絶対、自分たちに歯向かわないし、都合の悪いことは起こらないと思っていると団体交渉の中で分かったので、私が何がイヤだったかを明らかにできるのは法廷しかない」という言葉がとても印象的でした。

厚生労働省認定の「若者応援企業」がじつは「ブラック企業」だった

つづいて、IT企業を相手に裁判に立ち上がった24歳の女性のたたかいが描かれていました。

この24歳の女性が訴えたIT企業。なんと厚生労働省から「若者応援企業」として認定されていたのですが、とんでもない「ブラック企業」であることが番組の中で指摘されていきます。

「ルールは会社側にある」

最初に彼女は会社の研修を1カ月間受けることになります。会社の研修で渡されたのは100ページを超えるマニュアル。このマニュアルには、「第1節 ルールは会社側にある」とあり、「皆さんが普段使っているルールは、ビジネスの世界では何の価値も無いのです。」と明記。また、「第10節 3年間は絶対続ける、絶対辞めない」として、「無駄なことは考えずに、ただひたすら頑張って下さい。」と書かれています。

「時間は関係ない」「残業代という考えは捨てろ」

そしてもっとも驚くべきことが「第19節 勤労観と労働観」で「労働とは苦役のことで、本来奴隷が行う仕事です。お金のため、食べていくために苦しみながら身体を労して働くことです。一方、勤労とは、働くことを通して、心身を磨き、自分を成長させることです。」とあり、だから「時間は関係ない」と彼女は会社側から言われ、「残業代という考えも捨ててください」と言われたのです。

研修期間は25日間で休日は1日のみ、賃金は一切支払われず

研修ではこのマニュアルを使った会社の理念のほかITの専門知識を教えられました。この研修期間は25日間もあったのにその間の休日は1日のみで賃金は一切支払われませんでした。この研修の後、正社員として彼女は契約。最初の3カ月間は試用期間として月給は18万円。朝8時50分から夜11時30分まで毎日14時間は働かされ2週間後、彼女は帰宅後に倒れてしまいました。それでも2カ月間、懸命に働きましたが、からだをこわしドクターストップがかかり休職を余儀なくされました。そして彼女はNPO法人POSSEに相談しブラック企業被害対策弁護団(代表=佐々木亮弁護士)とともにたたかっていくことになります。

「試用期間中に具合が悪くなるのは、私にもともと原因があるからだと言われました。これは、ガタがきたらいらないと言われ、私は使い捨てだったんだなとそこで気づいて、すごく悲しかったのですが、自分が悪いと思ったから泣き寝入りをしたんです。でもすごく悔しかったから泣き寝入りをせず、声を上げたいと思いました」との涙の訴えを受け止めたブラック企業被害対策弁護団は彼女と一緒にたたかっていきます。

残業代一切払われず月65時間分の賃金カット
研修期間の月の労働時間は270時間で無給

彼女の労働実態を調べていくと、228時間以上働いていた月の給与明細に163時間しかカウントされていなくて残業代は一切払われておらず、65時間分もの賃金がカットされていることが判明。さらに研修期間だった月の労働時間は270時間に及び、しかもこの月は賃金が一切払われていません。また、会社側は病気による半年の休職後に復職できなければ自然退職だとする書類を送ってきたり、社長みずから退職を迫る電話をかけてくるなどプレッシャーを彼女に与え続けていたのです。

「研修期間の無給と残業代を払っていないという2点と、彼女が休職になってしまった原因は会社の働かせ方、労務管理の仕方に問題があるのではないかという問い方ができる」と語る佐々木亮弁護士。このIT企業に対して通知書を送付しますが「ゼロ回答」であったため、裁判でたたかうことになります。

「私はモノではないし、ゴミでもない」

「私はモノではないし、ゴミでもない。ちゃんと人間扱いをしてほしいと思っています。未払い賃金や残業代、精神的侵害のお金を会社に支払ってもらうだけが裁判の目的ではありません。会社に奪われた自信と自尊心を取り戻して、私は前向きに進んで行きたいという思いから裁判をすることを決意しました。そのために泣き寝入りをせず声を上げたいと思います。ただの被害者で終わらせず、大きな声を上げて社会を変えていきたいです。会社の責任をしっかり追及していきたいと思っています」と24歳の女性は提訴時の記者会見で涙ながらに訴える様子が番組で描写され、今後裁判闘争が続いていくことなどが紹介されていました。

10時間以上トイレに行けない「すき家」のワンオペ

それから、今年話題となった牛丼チェーン「すき家」の閉店問題。アルバイトが集まらないなどの理由で、およそ2千ある店舗のうち約250店舗が一時閉店に追い込まれ、その原因は過酷な労働条件にあったこと。そしてその象徴が「ワンオペ」と呼ばれる深夜の一人勤務で、10時間以上トイレに行けないケースなどがあったことが指摘されていました。この「すき家」問題に火をつけた労働組合として首都圏青年ユニオンが紹介され、「すき家」の労働条件改善に声を上げたアルバイトたちが首都圏青年ユニオンに加入し会社とたたかったことの大きな意義が番組で強調されていました。

最低賃金以下の時給594円で働かされていた青年

また、取材中に首都圏青年ユニオンに警備会社で働く青年からの労働相談があり、この問題も番組は紹介。青年の労働相談は次のようなものでした。

夕方5時に始業して終業が翌日の朝9時の16時間。そのうち深夜0時から午前5時までが休憩になっています。しかし実際は一人で勤務しているため休憩は取れていません。基本給は9,500円で16時間で割ると時給は約594円になり、東京都の最低賃金869円を大きく下回っていたのです。

首都圏青年ユニオンの団体交渉で過去2年分の差額43万円を会社に支払わす

この状態に疑問を持った青年は、首都圏青年ユニオンに加入し、最低賃金を下回っていた過去の賃金を取り戻すために会社と団体交渉を実施。警備会社は最低賃金を下回っていた事実を認め、過去2年分の差額の支払いを約束し、要求通り警備会社は差額分の43万円を青年に支払い、勇気を出して団体交渉をしたかいがあったことが描かれていました。

おかしいことはおかしいと一緒に声を上げよう

「おかしいことにおかしいと言えないと、労働条件は間違いなく、どんどん悪くなりますから、一人で抱えずに一緒に声を上げていけたらいいと思います」と語る神部さん。弱い立場にいる若者非正規労働者も声を上げれば労働条件を改善することができることが描かれていました。

今回の「ガイアの夜明け」では、首都圏青年ユニオン事務局次長の神部さんが“主役”でしたが、同じ首都圏青年ユニオンの事務局長の山田真吾さんに私、インタビューしたことがありますので、最後に山田さんのインタビューの一部を紹介しておきます。

ブラック企業が広がり、「違法の3点セット」などが横行する職場で苦しむ若者からの労働相談を受け、社会的な労働運動を進める首都圏青年ユニオン事務局長の山田真吾さんにお話をうかがいました。

――首都圏青年ユニオンに寄せられる労働相談にはどういった特徴があるのでしょうか。

私たちに寄せられる労働相談はそもそも法律が守られていない、労働基準法がまったく守られていないものが大半です。

今日も昼間に労働相談があったのは、女性の方で、ハローワークで仕事を紹介されて就職したけれど、パワーハラスメントの被害にあって、そのことを訴えたら、会社から「3月末で雇い止めだ。3月末までまだ間があるが、出社したくなかったら会社から休業補償はするから出勤しなくてもいい」と言われたというものでした。パワハラや暴力の被害にあう若者が多くなっていて、夜中の12時に来るメール相談などもよくあります。

「違法の3点セット」と乱暴な解雇

首都圏青年ユニオンに寄せられる労働相談の特徴を「違法の3点セット」と言っています。「違法の3点セット」というのは、1つは残業代や深夜割り増しが払われていないこと、2つは社会保険や雇用保険に加入できるのに入れてもらえないこと、3つは有給休暇を使うことができないということです。この「違法の3点セット」に加えて、「もう明日から来なくていい」とか、「来月で雇い止めだ」などという乱暴な解雇や雇い止めの相談が増えているのが特徴です。

アルバイト1万人超の残業代未払いを是正

――それぞれの具体的な事例はどういったものがあるのでしょうか。

残業代・深夜割り増し未払いでの大きな事件は、牛丼チェーンのすき家です。すき家のアルバイトは変形労働時間制というシステムが違法に運用されていて残業代がきちんと払われない中で働かされていました。シフトを入れてもそのシフトが大きく変更されたり、労働時間がそもそも1カ月固定的ではなくて、お店の売上が悪かったら途中で労働時間が変更されたりするなどで、残業代が未払いになっていたのです。首都圏青年ユニオンによる団体交渉などによって残業代の未払いを是正させ、変形労働時間制をすき家から撤廃させることができました。その結果、1万人以上のアルバイトの残業代を適法なものに変えさせることができたのです。

残業代の未払いというのは本当に大きな問題だと思います。たとえば私が街を歩いている人の財布からお金を盗んだら、私はすぐに警察に捕まりますが、残業代の未払いは、労働者の財布から経営者がお金を盗むことと同じであるのに、職場の中ではそれが窃盗という認識がないまま恒常的に行われているわけです。市民社会ではあり得ないような違法な状態が、職場では常に横行しているのです。サービス残業ももちろん違法ですが、そもそも正当な対価を払わないということにものすごく憤りを感じますね。

社会保険・雇用保険に加入させない

それから、社会保険は標準的な労働者の4分の3以上、雇用保険は週20時間以上働いていれば加入できることになっているのに、それをアルバイトだから入れないとか、パートだから入れないとか、働き方の名称で勝手に決めつけて社会保険・雇用保険に加入させないという事例が多くあります。

いま寄せられている労働相談は、「社会保険に入れてください」と言ったら「その分、あなたの給料から保険料が天引きされるから、いまも低い給料なのに保険料を払うのがきつくないですか」「給料から保険料が天引きされるから、あなたは入らないほうが得なんじゃないですか」などと会社に言われたというものです。本当だったら社会保険に加入させなければいけないのを分かっているにもかかわらず、そういう言い方をしてくる会社が増えています。

また、労働者が「社会保険と雇用保険に入れてください」と言うと、「いまはあなたの働き方を見極めているところだからまだ入れられません」とか、「正社員じゃないと入れない」などと会社に言われて、労働者の方も法律を知らないのでそれを信用してしまってそのまま働いているケースも多いのです。

一方で、「社会保険も雇用保険も自分は健康だから病院に行かないし保険料を払うのはもったいない」とか、「年金なんてそもそも自分の世代でもらえるかどうかわからないから払うだけ無駄でしょ」という声もあるなど、社会保障の位置づけがきちんと広まっていない中で、若者が社会保険・雇用保険に入ることのメリットをなかなか感じられないという問題もあります。

「有給休暇を使いたい」と言ったら解雇

有給休暇の未取得の問題については、そもそも有給休暇の使い方がわからないといった相談から、「学生アルバイトの私が有給休暇を使えるのでしょうか?」というものもありますし、「有給休暇を使いたい」と会社に言ったら、「そんなに休みたいなら会社を辞めろ」と言われて解雇されてしまったという相談なども多く寄せられています。

会社が余裕のある人員配置をしないために、1人でも抜けたら職場が回らないような状態になっていて、有給休暇は労働者がからだを休めるためにある制度ですが、「有給休暇を使いたい」と言った途端に、「あの人は私たちが忙しいのに勝手に休む人間なんだ」という扱われ方を同僚からもされてしまうような状況も広がっています。

「義務を果たしていないのに権利だけ主張するな」という言い方をする経営者もいて、有給休暇は義務を果たすとか何かをしなければ使えない制度ではまったくないにもかかわらず、有給休暇を使わせない事例が多くあります。休みたくても休めないというのは本当に深刻なもので、からだが悲鳴をあげているにもかかわらず、それを無視して働かせるということは、結果的にはからだを壊す、心を壊す、ひどくなると過労死・過労自死(自殺)というような状況になるわけです。労働力を再生産するために休暇を取ることが必要なのに、それをさせない会社が増えているのです。

こうした「違法の3点セット」をすべて行っていない会社を探す方がむずかしいような状況が広がってきています。

すき家の団体交渉拒否問題

――先ほどすき家の残業代未払いを是正させた事例がありましたが、団体交渉拒否の問題についてもお聞かせください。

すき家で変形労働時間制を適法にさせたことで会社は残業代を払いましたが、残業代は過去2年までさかのぼって請求することができるので、マスコミ報道を見た全国のすき家の労働者が首都圏青年ユニオンに加入して、すき家に対し団体交渉を申し入れました。そうすると、それまでは団体交渉を行ってきたすき家が掌を返して「首都圏青年ユニオンのような合同労組は労働組合ではない」「組合員の全員の名簿を出せ」「出席者を限定しろ」など理不尽なことを言って団体交渉を拒否してきたのです。

この団体交渉拒否をめぐっては2つの闘いがありました。1つは、団体交渉拒否は労働組合法違反ですから、私たちは不当労働行為の救済申し立てを東京都の労働委員会に行いました。東京都の労働委員会では当然、すき家の団体交渉は違法だという扱いで命令が下ったわけです。中央労働委員会でもすき家は断罪されたのですが命令取り消し訴訟をすき家は東京地裁に起こします。しかし、東京地裁・東京高裁でもすき家の主張は認められず、私たちが完全勝利して、最高裁に移ったわけですが、昨年12月にすき家が上告を取り下げたという行政訴訟の団体交渉拒否事件が1つです。

もう1つが、私たちの団体交渉を拒否していることで組合員の組織拡大ができない、組合員の要求が通らないということでユニオンからすき家に対して損害賠償請求の裁判を起こしていました。この件も団体交渉拒否の解決と同時に私たちが勝つことができました。

現在は、すき家に対して団体交渉を申し入れていますが、すき家がのらりくらりとした対応をしていて、今の時点ではまだ団体交渉は開かれていませんが、これを機に全国のすき家のアルバイトの労働条件を改善しくていくことと同時に、すき家は一時期「すき家強盗」といわれるぐらい深夜帯の強盗が多かったので、こうした問題に対しても深夜帯に働く人たちの適正な人員配置をせよということを盛り込んで要求書をつくっています。

若者の生活困窮問題を含めトータルに解決していく

――貧困が広がっているなか、労働相談だけで問題を解決していけるものでしょうか。

それはむずかしいですね。首都圏青年ユニオンには労働相談票があるのですが、そこでは「持ち家か借家か」「手持ちの現金や借金の有無はあるか」という項目があって相談の中で必ず聞いています。なぜ聞くかというと、労働問題を解決しても、その人の貧困状態が必ずしも解決されるわけではないからです。

たとえば、残業代の未払いがあってそれを会社にきちんと払ってもらいたいという相談があったとします。その人に20万円の残業代の未払いがあったとして、ユニオンで交渉して解決し会社から20万円が払われるまでたとえば2カ月ぐらい要するとします。そうしたときに、20万円を取り戻す間にアパートの家賃を滞納していて住む所を失ってしまっては大変なことになります。そうした状況にならないように労働問題だけでなく、その人のトータルな生活の困窮状態を解決していく必要があるのです。たとえば借金があれば顧問弁護団を通じて債務整理をするとか、住む所がない状態のときにはいっしょに生活保護の申請をするというように、労働問題だけでなく生活の困窮問題も含めてトータルに解決していくことが重要なのです。

そもそも働き方が崩れている中で、今の多くの若者は新卒で入社して定年まで1つの企業で安定的に働けるような状況にありません。仕事が変わることは当然になっていて、その上、先ほど話したように「違法の3点セット」などが横行しているため仕事が変わるたびに貧困な状態を引きずったまま働かなければいけない若者が多くいます。

青年ユニオンに来る相談者の多くは仕事を何回も変えた経験があるわけです。一般的な企業別労働組合は、そこの会社に所属している間は労働者を守りますが、その会社から出てしまって別の会社に転職したときに、新しく勤めたところに労働組合があればいいですけれど、大手ではない限り、転職先に労働組合がないことが今はほとんどなので、企業別労働組合の場合には自分の労働問題を相談する場所がなくなってしまうわけですね。青年ユニオンの場合は、たとえば先月まではガソリンスタンドで働いていたけど今月は仕事を変えてコンビニエンスストアで働いているという形の人でも継続して加入することができるので、その人のライフスタイル、人生設計を考える上で労働組合がいっしょに何かあったときにはサポートできる態勢として青年ユニオンは動くことができるので、1つの会社で働きづらくなったとしても、そこを辞めて別の職場へ移ってもユニオンで支援することができるという形で、生活問題、労働問題をいっしょになって考えています。

反貧困の運動と連携しながら

――生活保護申請などを首都圏青年ユニオンで行うという場合、ほかの反貧困運動との連携などはあるのでしょうか。

首都圏青年ユニオンは、反貧困ネットワークや反貧困たすけあいネットワークのとりくみなどと連携しています。生活保護の問題は労働問題と密接に結びついています。今、生活保護の改悪がねらわれていますが、きょうも生活保護改悪反対の国会議員要請などに青年ユニオンの組合員も参加しています。そうした形で青年ユニオンだけの運動で終わらせずに、さまざまな反貧困の運動や困窮している方といっしょになって貧困のない社会に変えていくための運動をユニオンとしてとりくんでいます。
山田真吾首都圏青年ユニオン事務局長談

▼山田真吾首都圏青年ユニオン事務局長へのインタビューはネットで視聴することができます。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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