被害者である「慰安婦」たたく「愛国心」を最後の隠れ家とする安倍政権――今も続く戦時性暴力、米軍に戦後殺された日本人1,088人、日本を守ってなどいない米軍

  • 2015/8/17
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(※2013年2月25日にまとめたものです。上の写真は著作権フリーサイトの「GATAG|フリー画像・写真素材集」 DoD photo by Airman 1st Class Trevor Rhynes, U.S. Air Force.「米軍兵士」から)

昨日(2013年2月24日)、「慰安婦」問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会の主催で、「林博史さんと考える「慰安婦」・沖縄・米軍基地―今も続く戦時性暴力」が開催されました。

いつもお世話になっている、石川康宏神戸女学院大学教授が講演内容を連続ツイートしてくださっていて、石川先生からそのツイートまとめの転載を快諾いただきましたので、以下紹介します。

「林博史さんと考える「慰安婦」・沖縄・米軍基地―今も続く戦時性暴力」(2013年2月24日開催、主催:「慰安婦」問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会。石川康宏神戸女学院大学教授の連続ツイートから)

「林博史さんと考える「慰安婦」・沖縄・米軍基地」の集まりですが、事前の申込み106名に対して、すでに資料130部がなくなっています。盛況ですね。共同代表の西先生が開会のご挨拶をされています。事前に原稿を用意しての内容の濃いご挨拶です。

林先生のお話 「日本軍『慰安婦』制度と米軍の性暴力」がはじまりました。神戸出身。関西の取り組みはがんばっている。それだけ逆流も強い。講師依頼をうけた後に安倍内閣ができた。大量のレジュメだが、はしょりたい。不足はよく読んでほしい。

そもそも軍隊の存在を考える必要がある。命は大切。軍隊はそのモラルを180度転換させる存在。国民のためと単純に楽観できるものではない。軍隊には軍人の世話をする人が必要だった、昔であれば町そのものの移動。近代になると男だけの集団に。そこから軍隊と「売春」の問題が。

性病で兵力が奪われる。「売春婦」を一括管理(公娼制)するヨーロッパのやり方に19世紀から批判が。日本もこのタイプ。アメリカは兵士を守る上で公娼制は失敗だとの判断を。買春しないのがいいと。基地周辺に「売春婦」をいれないなど。20世紀初から今日までの公式政策。

「男らしさ」、一方でマッチョ、他方で感情を理性的にコントロールする力(痛がらない、泣かない、太らない)。

安倍内閣が再び。強制連行を証拠づける公文書はないと。ウソは大声で堂々といえ。そうすれば信じる、少なくとも事実を疑う人は出る。北朝鮮の拉致問題評価とのダブルスタンダード。刑法226条、力ずくもだましも刑の重さは同じ。

1937年3月大審院(いまの最高裁)で有罪判決、女性を「売春」目的で海外に移送しようとした、「女給」「女中」とだましながら。7月から中国との全面戦争、大量に「慰安所」を。38年2月内務省警保局(いまの警 察庁)はこれを「黙認」する通達を府県知事に。国家犯罪。

最初から最後まで軍が取り仕切っている。それを「業者」がやっているように偽装しなさいとの指示までも。強制連行についてのいくつかの証拠文書も。たくさんの将兵による証言・回顧録も。日本の裁判所での事実認定(裁判は却下だが)・拉致・監禁・強姦を。これも立派な日本の公文書。

「慰安婦」集めの業者は軍から証明書をもらう。地元の警察に提出して集める。警察所長が身分証明を発行する(とりしまれるのに)。外務省が旅券を発行(後にいやがるようになるが)。醜業に関する婦女売買禁止条約(1910・21年)-未成年者は本人同意があっても海外移送禁止。

外務省・軍の資料で未成年がたくさん。わかっていて「慰安婦」に。軍だけでなく警察・外務省などもふくめた犯罪。「慰安婦」は高給取りだというデタラメがネット世界に。ムン・オクチュさんビルマで2万数千円(当時)の貯金。ほとんどが45年になっての収入。1800倍のインフレ。

しかも軍票。太平洋戦争についての基礎的な知識の問題。同じようなて制度はナチスだけ。軍による「売春婦」管理はアメリカ・イギリスなどにもあった。占領地で食糧をもっているのは軍しかない。「売春」で食糧を得ることはあちこちで。軍が性病検査を。日本軍は計画立案から強姦まで。

公娼制は当時世界で当たり前だったか。イギリスは廃止していた、アメリカも公娼制は認めていない(ほとんどの州で)。日本でも廃止の動きが20世紀になって。戦前に廃止した県は14県。女性に選挙権・被選挙権がない社会でも。21世紀に安倍氏が当然だったというのはどういうことか。

いまの政治家がいかにひどいか。1937年鹿児島県会「事実上の奴隷制度なり」。「慰安婦」制度導入の理由、強姦予防、戦陣訓は本来そのために、明言するのははずかしいので曖昧に。他の国に「性病予防」はあったがドイツをふくめても「強姦予防」はなかった。強姦は減らなかった。

「慰安所」はカネがかかるが強姦はタダ。むしろ「慰安所」は兵士のゆがんだ欲望を促進した。安倍氏アメリカにいっているが、今回もマイクホンダ氏が「河野談話」の見直しするなと。他にも様々な政治家が。なぜいま、その背後にあるのは戦時性暴力とのたたかい。不処罰の連鎖を断ち切る。

過去の犯罪を野放しにしたことへの国際的な反省。日本だけの問題でなく、ダルフール、ヨーロッパ、アフリカなど各地の現在の問題を解決するために。その反省は日本をアジアと世界のリーダーに。これがEUやアメリカの「慰安婦」決議。過去の問題ではない、くわえて人類の各地での問題。

南京虐殺についても日本軍の格別の残虐でなく、多かれ少なかれ各地で同じような問題。人類がかかえている問題。なぜそういうまちがいを、どうすればそれをなくせるかという大きな視野から問題に。「慰安婦」問題も。

なぜ安倍首相がいま日本人に受け入れられるか。かつての自民党の政治家は一応国民のくらしも考えたが。国民サービスを切り捨てる時には愛国心がつかわれる。愛国心は悪党の最後の隠れ家。妬み・嫉妬の政治学。自分よりちょっとだけ暮らしが良くみえる人を引きずり降ろそうと。

そういう人たちの不安感をたばねるのが「愛国」。ネットは人前ではいえないことを言わせる道具にもなっている。匿名で批判されずに。被害者である「慰安婦」をたたくことによって安心感をもとうとする。「いじめ」ともつながる問題。学校・こどもの問題だけでなく社会全体の問題。

米軍と戦後東アジア。米軍は今も公的には「売春」否定。実態は違う。なぜか。第二次大戦で米軍は20数万から1200万に増える、冷戦期に200~300万、いまで140万くらい。ペニシリンの発明で性病治療がより簡単に(44年から治療に)。軍務につきながら治せるように。

アメリカ本国は「売春」を認めない。保守派の人々につよい思想。リベラルの方が「自由なセックスを」と。従軍チャプレンも怒る。日本のRAAも在日従軍チャプレンたちの決議をもとめ、アメリカ本国政府を通してつぶされていく。立入禁止に。

兵士は性病になると詳細な報告書をつくる。そこは立入禁止なる。こまって地元が性病管理をしっかりするようになる。そこで立入禁止をとく。こういうやり方での「黙認・管理」政策。戦後の日本でも。

戦中は日本の公娼制が東アジアに広められた(性売買、人身売買)、戦後はアメリカの基地を拠点とした性売買の新しいネットワークがつくられる。地域への大きな影響。米兵はむしろ若い女性と仲良くなって、お金も出してもらってというやり方。性売買にはお金がかかる。

在日米軍による日本人死者、1952~2010年度で1088人。どこが日本国民を守っているのか。去年サンフランシスコで発掘した資料。45年4・5月の沖縄での海兵隊員によるレイプ、軍法会議の資料。現地で裁判して、ワシントンが罪を確定する。占領直後はすべて無罪に。

現地の軍はとりしまったのに、ワシントンが無罪にした。最大限の抵抗がなかったからなど。これが大きな影響。レイプは犯罪とみなされないという理解が広く兵士に。戦後の沖縄民政府も強姦は女性の心構えの問題だと。46年米軍は軍女性に駐留地から離れる時にはピストルを所持せよと。

「われわれ自身の兵隊(米軍)たちから(米軍女性を)守るために」。沖縄戦の軍隊は朝鮮戦争にも、そこでも。韓国の米軍向け「買春街」はいまは一般市民むけに。中東ではかなり気をつかっている。現在米軍の15%が女性。女性兵士への性犯罪が80年代から大きな問題に。

被害の軍女性が訴えた中でも有罪は10%程度。2002年の調査で女性兵士の3%が性的暴行、6000人になる。在日米軍の犯罪、公務中は米軍が、公務外は日本側が裁くことになっている。それにもかかわらず9割程度は日本側が放棄。世界全体ではもっとひどい。アメリカのやり方。

公務中の犯罪は米軍が裁くことになっているがほとんど軍法会議にかけられていない。刑罰をほとんど受けない。懲戒程度。米軍の訓練方式の問題。青年の価値観と行動を「命は大切だ」を「命を奪う」に転換させる。躊躇なしに人を殺す。イラクの誤射は誤射でない。訓練どおりのこと。

自衛隊も自殺率が高い。戦前日本軍も自殺率が非常に高かった。1938年憲兵隊の調査で自殺率世界一と。スポーツ社会の体罰も日本の軍が植えつけたもの。メディアは何もいわないが。米軍との共同作戦、米兵と同じように平気で人が殺せないと。

米退役軍人(もともと貧困者が多い)にはPTSD、犯罪者、ホームレスが多い。日本の自衛隊員にもこのサイクルが生まれかねない。戦後日本は軍隊を考えてこなかった。「軍隊なくせ」だけで研究してこなかった。軍隊と人・犯罪・暴力との関係などをしっかり。

「慰安婦」問題は日本軍の体質からうまれる問題。「強制連行」があったかなかっただけの問題でなく、その総体をとらえる必要がある。今日であれば自衛隊の軍としての悪い問題をどう制御していくのかという問題意識が必要。

競争社会をのぞむ人は力を肯定しやすい、共存型社会をのぞむ人は平和的な解決を志向。「慰安婦」制度は女性への暴力だが、男をバカにした制度でもある。性欲を管理してやればいうことを聞くという具合に。日本軍「慰安婦」制度は孤立した問題でなく、日本社会全体と深く結びついている。

林先生企画は152名の参加で、熱気溢れる学びの場となりました。

石川康宏神戸女学院大学教授の連続ツイートまとめ)

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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