27分ごとに発生する米兵の性暴力で女性兵士の3割がレイプ被害 – 軍隊は女性も住民も兵士自身も守らない

  • 2015/8/16
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(※2013年3月に書いた記事です。上の写真は著作権フリーサイトの「GATAG|フリー画像・写真素材集」 U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Kenneth Robinson「米軍女性兵士」から)

この3月20日にイラク戦争開戦10年を迎えるなか、「軍隊は女性を守らない」どころか、「軍隊は女性に性暴力を強制する」ような現実となっていることが報道されています。

女性兵士の33.5%が米軍内でレイプされ
63.8%が性的いやがらせを受けた

『毎日新聞』(3月19日付)の「イラクは今:開戦10年 米女性兵3割レイプ被害 軍内部、公聴会ようやく」という記事によると、「米英軍主導の侵攻から20日で10年を迎えるイラクや国際部隊の駐留が続くアフガニスタンに派遣された米女性兵士延べ28万人の3割以上が、上官らから性的な暴行を受けていたことが分かり、米国内で『見えない戦争』と問題視されている。連邦上院の軍事委員会で13日、『軍内性的トラウマ(MST)』と呼ばれる心的ストレスに関する公聴会が初めて開かれた。新たな被害を恐れ沈黙を余儀なくされてきた被害者は『風穴が開いた』と歓迎している」、「カリフォルニア州図書館調査局が昨年9月に発表した実態調査によると、イラクとアフガニスタンに派遣された女性兵士の33.5%が米軍内でレイプされ、63.8%が性的いやがらせを受けたと回答した。国防総省も問題を認めている。軍内での性的暴力は2010年だけで、男性の被害も含め推計1万9,000件にのぼる」とのことです。

被害申告が出ているのは17%にすぎない
その上、軍内性暴力の申請の32%しか認められていない
ホームレスの女性退役軍人のうち39%が性暴力被害者

さらに、この記事では、「被害申告が出ているのは17%にすぎない」ことや、イラク戦争で上官から性的暴力を受けたコーリン・ブッシュネルさん(39)が「上官を訴えても自分を助けてくれる人がいると思えなかった」と精神的なバランスを崩し、06年に退役。2人の子供がいる家には帰れず、「自分が恥ずかしく、行く場所がなかった」と5年近くホームレス生活を続けたことなどが告発されています。その上、退役軍人庁の2011年の統計によると、ホームレスの女性退役軍人のうち39%が軍内性暴力の被害者になっているのですが、軍内性暴力の申請の32%しか認められていないとのことです。

米国防総省が今年1月、
女性兵士の最前線での直接戦闘を決定

いちばん驚いたのが、「米国防総省は1月、直接戦闘地域への女性派遣を禁ずる規定の撤廃を発表した」とのこと。ようするに、女性兵士も戦場の最前線で戦闘せよということです。「米軍の母親兵士6万人が戦った史上例なきイラク・アフガン戦争、26歳の女性兵士は12歳のイラク人少年を撃ち殺し自分の子どもを愛する感情も戦場に奪われた」で紹介したように、これまでの後方任務においても女性兵士は戦争によって心を壊されているのに、「直接戦闘地域への女性派遣」が何をもたらすかは火を見るよりも明らかでしょう。

イラク戦争で米兵自殺過去最高、戦死者を上回る
凶悪な性犯罪は倍増

また、防衛省によると、3月14日現在で、イラク特措法によってイラクに派兵された自衛官のうち、帰国後自殺した人が26人に達しています。そして、1月15日付の『ワシントン・ポスト』によると、2012年に自殺した米兵が349人と過去最高に達し、2012年のアフガニスタンでの戦死者229人を上回ったことも報じられています。

1月18日に発表された米陸軍報告書によると、陸軍兵士の自殺率は、イラク戦争が始まった2003年が11.5であったのに、2009年には21.9へと1.9倍と大幅に上昇していることや、陸軍兵士が加害者となった凶悪な性犯罪が、2006年の665件から2011年の1,313件へと、ほぼ倍増していることなどを報告し、長期の戦闘が兵士の心身を蝕んでいる問題を指摘しています。

自衛隊という密室 – いじめ・暴力・腐敗が蔓延、自衛隊員の死因トップは自殺」の中で紹介したように、「女性隊員のうち18.7%が性的関係の強要を受け、強姦・暴行および未遂は7.4%にものぼり、自衛隊全体で700人以上が強姦・暴行および未遂の被害を受けているのです。」今でもこうした実態にある自衛隊が、米軍と同じように海外で戦争できる軍隊となって戦争をすれば何をもたらすかはすぐに想像できるでしょう。

米兵の性暴力は1日平均52件
米軍基地の外の一般住民に及び、沖縄は世界最悪

さらなる大きな問題は、米兵の性暴力というのは、軍内性暴力だけに限らないということです。米国防総省の「米軍の性暴力に関する年次報告」(2011年度版)によると、2011年度内に申告された性暴力は3,192件で、過去10年間で最悪だった2009年度の3,271件に匹敵しています。しかもこの米国防省の報告では、申告されていない性暴力も含めれば約1万9千件になり、1日平均で52件にも達することが指摘されています。1日平均52件ということは、米兵による性暴力は27分に1件も行われていることになります。

2012年6月に米海軍省が公表した報告書によると、2011年度に沖縄の海兵隊基地群で申告された性暴力事件は67件で、2番目の件数となる他国の米軍基地の発生率の2倍以上にもなっています。米軍基地内の被害者の多くは女性兵士ですが沖縄の米軍基地には多くの日本人従業員が勤務しており、日本人が被害者となるケースも生まれています。

米軍基地内に蔓延する性暴力は基地の外の一般住民にも及んでいます。警察庁によると、1989年から2011年までの23年間で、米兵による強姦事件の検挙件数は全国で55件(67人)となっていて、半数を超えて集中している沖縄県29件(33人)、神奈川県12件(18人)、長崎県6件(8人)と続いています。

以上、見てきたように、軍隊は女性も住民も兵士自身も守らないのです。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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