公務員バッシングすればするほど政府・財界の“思うツボ”、政府・財界・特権官僚による悪政から目をそらす“うっぷん晴らし”の代償は“自分で自分の首を絞める”民間・公務労働者共倒れ貧困社会の到来

  • 2015/12/10
  • 公務員バッシングすればするほど政府・財界の“思うツボ”、政府・財界・特権官僚による悪政から目をそらす“うっぷん晴らし”の代償は“自分で自分の首を絞める”民間・公務労働者共倒れ貧困社会の到来 はコメントを受け付けていません。

(▲イギリス全土で政府の悪政に抗議しストライキでたたかう公務員200万人=ロイター

真実を探すブログ」や「日刊ゲンダイ」は日頃、反権力的な記事が目立つのに、こと「公務員バッシング」の問題に関しては、政府・財界・特権官僚の“思うツボ”にはまって、「公務員バッシングを煽る側」にまわってしまっています。なので、2012年1月31日に書いた古い記事ですが、現時点でも重要な指摘ですので紹介します。

昨日、ジャーナリストの斎藤貴男さんの講演を聴きました。「あたごくらぶ新聞びらき」の新春セミナーで、消費税増税問題をテーマにした講演だったのですが、質疑応答の中で、政府が消費税増税の前にやることがあるとして「身を切る」ための国家公務員給与削減を狙っている問題をどう考えるか、私が質問しました。以下、斎藤貴男さんの回答要旨です。(文責=井上伸)

国家公務員の給与削減は、政府・財界にとって「一石二鳥」をもたらします。なぜなら、公務員給与削減は、結果として公務員と民間労働者を共倒れさせることができるからです。

非正規労働者が増え、貧困が広がるなかで、相対的には少しだけめぐまれている公務員に対して意図的に攻撃を加えるのは、民間でひどい目にあっている人たちの感情を公務員バッシングにもっていくことで、事態の本質から目をそむけさせるためです。今は一般の人たちも悲しいかなそれにまんまとだまされてしまっています。

多くの民間労働者、非正規労働者が苦しい生活を強いられている事態の本質は、企業の収益がどんどん株主に回り、経営者たちが何億円、何十億円の報酬を手に入れる一方で、民間労働者の賃金をカットし続けていることにあります。民間労働者が怒りをぶつける本来の相手は、そういう理不尽な報酬を手に入れている経営トップたちです。また、今の格差社会をつくった政治や特権官僚に対して怒りを向けるべきです。そうしてこそ、労働者にまともな賃金と権利が保障されていく、まともな社会、公平な社会に変えることができます。

ところが、今の事態は、すべて公務員が悪いからだと問題をすりかえ、問題の本質を見えなくさせられてしまっているわけです。これはかつての国労バッシングと同じで、問題の本質をすりかえるために、つねにスケープゴートを作り出す手法で、今は公務員そのものがバッシングにさらされていて、それが橋下徹大阪市長のようにさらにエスカレートする傾向になっています。

しかし、民間労働者と一般市民が、公務員バッシングをやればやるほど、政府・財界の“思うツボ”にはまってしまうことになります。公務員の給与が下がったら民間労働者には何が起こるでしょうか? そのときは一時的に“うっぷん晴らし”ができたということでうれしいかもしれない。ところが大変な事態に気づくことになります。多くの経営者は当然のように「公務員の給与が下がったんだから君らの賃金はもっと下げますよ」と言います。結果的に、“自分で自分の首を絞める”ことになってしまうのです。

消費税増税が強行されれば、多くの中小零細業者はつぶされます。政府・財界は中小零細業者をつぶすために消費税増税をやろうとしているとも言えるのです。国鉄の分割民営化を見ても分かるように、政府・財界にとって労使一体ではない労働組合は許せないので、つぶしたいのです。公務員の労働組合が労働者の権利と労働条件の向上のために声をあげ運動していることを、政府・財界は許せないのです。だから、公務員バッシングによって、公務員と民間労働者を敵対させて、公務員の労働組合を解体したいのです。

公務員の労働組合は、自らの労働条件を守るためには、民間労働者に理解してもらう方向の運動をする必要があります。民間労働者、一般市民に理解を広げて、公務員給与削減や公務員バッシングを跳ね返す必要があるのです。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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