そりゃあんまりだ! 厚生労働省はブラック官庁=勝手に労働時間延長・非正規切り・民間企業以上の非正規率46%・ハローワーク職員の6割が官製ワーキングプア・ブラック企業なくす労働Gメン数はドイツの3分の1

きょうの「毎日新聞」に掲載された東海林智記者による記事です。

毎日新聞のサイトでも読めるので貼っておきます。

厚労省
「まるでブラック」非正規相談員の労働時間延長
毎日新聞2016年2月18日

労働基準監督署で解雇や賃金不払いなどの労働問題に関する相談業務にあたっている「総合労働相談員」について、厚生労働省が、賃金を変えずに一部相談員の労働時間を1日15?30分延長する契約更新を提案していたことが分かった。

労働契約法は労働条件の変更には労使の合意が必要と定めている。しかし今回は何の説明もなく通知文を送られた相談員もおり、ルール違反ともいえる手法に労組や職員が「ブラック企業と同じやり方」と反発。厚労省は17日、提案を撤回した。

相談員は各地の労働局と雇用契約を結んだ非正規職員。勤務は月15日で日給制。1年契約で2度更新できる。全国の約770人が年間100万件を超える相談を受けている。

労働局ごとの契約で相談員の1日の勤務時間が6時間半?7時間半とまちまちだったため、厚労省は4月1日付の組織改編を機に、7時間にそろえることにした。これに伴い勤務時間が30分短くなった人がいた一方で、東京、埼玉など7局の相談員217人は6時間半が7時間に延び、賃金が変わらないため時給に換算すると実質100円近い賃下げになる局もあった。

厚労省はこうした労働条件の変更を1月中旬以降に通知。口頭で説明した労基署もあったが、ファクスで通知文を送っただけのケースもあった。

ある相談員は「非正規労働者が契約更新の際に労働条件を厳しくされたという相談をよく受けるが、厚労省も全く同じことをしている」と反発。労組が団体交渉で問題点を指摘し、毎日新聞が事実関係を取材したところ、厚労省は17日に方針を撤回した。

厚労省は「労働条件が変更されるのに説明が十分ではなかった。問題ある対応なので撤回した」と説明。2016年度は現行のまま契約更新するという。

ブラック企業対策プロジェクト事務局長の嶋崎量弁護士は「今回のやり方は非正規労働者の弱い立場につけ込むブラック企業のやり方そのもの」と話している。【東海林智】

 

それから「連合通信・特信版」(2016年2月20日付No.1182)の記事です。

経験者いるのになぜ求人?/ハローワークの非常勤職員/雇用不安煽る公募制度
連合通信・特信版」(2016年2月20日付No.1182)

年度末が近づくと、首都圏のハローワークで働く浜田恵さん(仮名、48歳)は不安に襲われた2年前の日々を思い出す。「公募」によって、やっと慣れてきた仕事を失いそうになったからだ。失職を想定して次の仕事を探さなくてはというあせりと、でも辞めたくないという気持ちの狭間で心が揺れた。幸い、雇用は継続できたが、浜田さんはいま「雇用の安定をめざすべき労働行政が、足元で雇用不安を煽るなんておかしいと思います」と語る。

●人事院が公募強要

公募制は2010年に導入された。それまで「日々雇用」で不安定だった非常勤職員の雇用を、3年までは更新して働けるという期間業務職員に切り替えたのだ。ただし、4年以降も働くには公募を経なければならない。努力義務なのに、各省庁に対して一律に公募実施を強要している人事院の存在が背景にある。

公募には当然、一般の求職者たちも応募してくる。同じように面接を受け、結果を待たなければならない。「仕事は引き続きあるし、私も自費で資格を取るなど努力してきたつもり。なぜ公募しなければならないのか、本当に分かりません」と浜田さん。

●経験が大事な専門職

業務は、高校生の就職支援が中心だ。卒業予定者に対する職業相談や紹介、学校を訪問して職業講話やガイダンスも行う。

浜田さんは「高校生たちは仕事や社会のことがよく分かっていません。それを一方的に教えるのではなく、自分で考えてもらうように持っていく。若い子たちはその気になれば、どんどん成長する。すごく可能性を感じます」という。自分の一言が彼ら彼女らの人生を左右しかねないと思うと、責任の重さを痛感する。無事に就職できて、尋ねてきてくれたときには「本当にうれしい。社会に出て歩き始めた子らの姿をみると、本当にやってて良かったなと実感します」

経験がものを言う、貴重な専門職なのだ。

最初の1年間は、仕事の流れを覚えるだけで精一杯だった。一人前になるには最低3年はかかる。そんなときに公募が待ち構えているのである。

●心が揺れる日々

「公募で落ちたときのことを考えて、早く次の仕事を探しておいた方がいいとは思いました。でも業務中の職探しは無理。休みを取って検索機を使えば、仕事を探していることがみんなにばればれです。『彼女は転職する気なんだ』って思われたらまずいです。だから動きにくい。本当は辞めたくないんだし」

心が揺れる毎日。そんな日々を経て、雇用継続が確定し、やっと落ち着いた。でも、気持ちは複雑だった。当時、公募には自分を含めて10人が応募した。9人は一般求職者である。

●こんな制度はやめて!

経験もあり、ノウハウも身に着けてきた自分が採用されるのは、ある意味当然とは思う。だが、そんなことを知らない一般求職者が「身内の人間を採用する気なら、なぜ私たちに無駄足を踏ませるのか」という気持ちになっても不思議ではない。実際、職場では「結局、ハローワーク内の出来レースじゃないの」と嫌味を言われた職員もいる。

浜田さんは「彼女たちのことを考えると、自分の雇用継続を素直には喜べません。なぜ労働行政がこんなひどいことをするのか、全く意味不明です」と怒る。

来年の年度末には、再び公募が予定されている。「こんな制度はもうやめてほしい。民間企業に対しては、非正規の無期化や正社員化を指導しているのに、足元の非常勤職員にやっていることは全く逆。自らも職業安定所の名にふさわしい存在であるべきです」

 

これまでも「そりゃあんまりだ! ハローワーク職員は官製ワーキングプア」や月刊誌『KOKKO』の創刊号でも厚労省がブラック官庁であることは告発してきました。じつは、毎年『国民春闘白書データブック』で省庁別に非常勤職員数と全職員に占める割合を計算しているのですが、今回、内閣官房のデータ発表が遅かったため、『国民春闘白書データブック2016』には、2014年のデータしか掲載することができませんでした。なので、以下に2015年のデータをアップしておきます。

上の表から、非常勤職員数が500人以上の省庁でグラフをつくってみたものが以下になります。

一目瞭然、厚労省が非正規率46.2%と断トツです。民間企業の非正規率は、総務省の「労働力調査」の直近データで2015年12月時点で38.1%です。労働行政を担う厚労省職場の方が、民間企業より8.1%も非正規率が高いという笑うに笑えない実態にあり、しかもハローワーク職場に限ると非正規率は6割にものぼるのです。そして、ブラック企業なくす労働Gメン数はドイツの3分の1。「そりゃあんまりだ!労働行政を担う厚生労働省が最悪のブラック官庁」ってことになります。

▼関連
ブラック企業なくす労働Gメン「ダンダリン」の人数はドイツの3分の1、ブラック企業撲滅どころかブラック企業に栄養を与え続ける安倍政権

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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