4歳の女の子、7歳の男の子、ロイター記者も「無差別殺人」が米兵のイラク戦争の日常=「戦争法案」がもたらす日本の若者の近未来

  • 2015/9/4
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(上の写真は著作権フリーサイトの「GATAG|フリー画像・写真素材集 3.0」U.S. Army photo by Sgt. Michael J. MacLeod から)

高遠菜穂子さん緊急報告会「安保法制で日本と世界は平和になるか?――イラク支援の現場から」(市民社会フォーラム第157回学習会、2015年8月8日開催)を聴きました。ほんの一部ですが要旨を紹介します。(※文責=井上伸)

米兵士イーサン・マコードが語る目撃談
(ウィキリークスの「無差別殺人」という映像の紹介)

米軍の「無差別殺人」はロイター記者も罪のない子どもたちにも向けられた

――ホワイトハウスの記者会見 2010年4月

[記者からの質問]アメリカのヘリコプターがバグダッドを攻撃しましたね、2007年に。こうした活動を適切だと思われますか?

[アメリカ政府]もちろん、これは、とても生々しいものですし、非常に悲劇的です。我が国の軍隊は、あらゆる予防措置を講じて守ります、一般人の安全と治安、特に、いわゆる危険区域から報道する人々、報道機関の特派員を。

[ナレーション]米陸軍は、当初、標的は「反イラク勢力」だと主張していたが、ロイター記者や罪のない子どもたちを殺害した。

【米陸軍の交信】「くそ、ふんづかまえたら、即、ぶっ殺せ」「了解」「みんな狙い撃ちだ。よし、撃て」「撃て。撃て。撃ち続けろ」

[ナレーション]その中に、ロイターの特派員が2人いた。サイード・クマフとナミール・ヌア=エルディーン。彼らのカメラが武器と誤認された。

自分たちへの命令は、360度、全方位連続射撃
――これがイラクの日常だった
[米兵士イーサン・マコードが語る目撃談]

人は誰かに恐怖を感じたら、誰でも相手を攻撃できるということ。多くの兵士が恐怖を感じていました。ただ相手が自分を見てるというだけで。だから射撃する、誰にでも、自分を見てる人を。恐怖を感じていたからです。自分たちは言われてました。「万一、人に兵器を向けなくてはならなくなって、査問にかけられても、上官たちが守ってくれる」と。自分たちへの命令は、360度、全方位連続射撃。「IED(仕掛け爆弾)で攻撃されたらいつでも撃て」と戦車コマンダーは命じました。

これがイラクの日常です。自分は見ました、ブラッドリー(武装乗用車)が子どもで満員のヴァンを破壊するのを。IEDが漠発した時、ちょうどそこを通ったのです。普通のイラク市民に対する破壊は、日常茶飯事として起こっています。市場へ行こうとしている人たち、仕事に向かう人たち、庭で遊んでいる子どもたち。これは、あの日の自分の体験です。

4歳ぐらいの女の子、7歳ぐらいの男の子にも、全方位連続射撃

「俺が攻撃したヴァンの中に子どもがいた!」「子どもの泣き声が聞こえました」「痛くて泣いてるんじゃなく、ひどい悪夢から覚めたばかりの小さな子どもみたいな声。自分ともう一人、20歳の兵士は歩道側からヴァンに近づき、なかをのぞきました。一緒にいた兵士は、わなわなふるえて、嘔吐しはじめ、急いで逃げて行きました。ヴァンをのぞくと、見えました。4歳ぐらいの女の子がベンチシートの歩道側にひどいケガをしていて、傷口はガラスだらけで、内蔵までひどくケガをし、ガラスが髪の毛にも目の中にも。隣には、床板に身体を半分、頭をシートに乗せて、7歳ぐらいの男の子がいました。動かなかったし、頭の右側にひどいケガをしていたので、はじめ死んでいると思いました。運転手は父親に違いないと直感したのですが、子どもたちを守るように背中を屈めて覆いかぶさっていました。父親の生存はありえませんでした。自分は直ちに女の子を抱き上げ、衛生兵を大声で呼びました。衛生兵と自分はヴァンの後ろの家に入って行きました。衛生兵と自分はできる限り、目からガラスを取ってやりました。まばたきができるように。ずっと考えていました。畜生、一体この子は何なんだ、畜生! 自分の息子は、2007年5月31日生まれで、まだ会っていませんでした。娘はこの女の子よりほんの少し大きいだけ。ヴァンに戻り自分は男の子を胸に抱き寄せました。そして叫んでいました。「この子は生きてる」、この時、少年が僕を見上げました、白目を向いて。心臓がへこみました。大丈夫、僕がついてる、もう大丈夫。死ぬな。死ぬな。自分はいっそう強く抱きしめました。

小隊リーダーは言いました。「くよくよ考えるな、そんなガキどもの安全なんか!」

軍服に子どもたちの血がついていました。軍服の血を落とそうとしながら涙と戦いました。あんなことを見てしまった涙と。感情が昂ぶって、軍隊に戦場ではこれだけはやるなと、教え込まれたことに走りました。人間性と人類みんなに対する愛が、すべてを押し退けて浮かび上がって来たのです。心がぐらつき、ぐらついた心が自分の中の答えを支配している。自分にはカウンセラーが必要だと思いました。

直属の二等軍曹に会い、話を聞いて欲しいと頼みました。自分の感じていること、うまく折り合いがつけられないこと、自分が目撃したものを話しました。軍隊流の答えはこうでした。「くだらないことでくよくよするな」「女々しいこと言ってると膣を掘ってやるぞ。精神科のセラピーなんかにかかったらいつまでも忘れられなくされるだけだ」――信じられませんでした。誰かと話をすると犯罪になるとは。ものすごく腹が立ってきました。みんなに怒鳴りました。腹が立ちました、自分の兵隊、自分の家族、国の一般市民…特に、自分自身に腹が立ちました。自分が許せませんでした、あんなことに加担した自分が。

何日も、夢を見ました。イラクでIEDやスナイパーがこの苦しみを絶ってくれることを。あの日から、自分をさいなむ光景と生きています。頭に焼き付いていて毎日見ています。子どもたちの泣き叫ぶ声が聞こえます、目をつむれば。臭いがします、静かな時は。殺戮が見えます、スライド映写のように。いつか、一晩ぐっすり眠りたい、よみがえってくる記憶に取り憑かれることなく。無邪気さが失われました。友達が失われました。できることなら、いつか怒りが消えますように。できることなら、いつか、みんなが、自分だけが貴い価値を持つものではないと知る世界が来ますように。(ウィキリークスの「無差別殺人」の映像はここまで)

「戦争法案」強行されると自衛隊員が「良心の傷」を深く負うことに

[高遠菜穂子さんの指摘]

アメリカのイラク戦争は、「戦争犯罪のオンパレード」でした。対テロ戦争というのは、正規軍を相手にするわけではありませんので、イラク戦争において米兵は結局動くものは何でも撃てということになってしまったのです。そうすると、先ほどの映像にあったように、子どもたちも撃ってしまうことが多く起こることになりました。そもそもイラク戦争に大義がない。その上、イラクだけでも4千5百人の米兵が命を落としてしまい、それだけの命をかけて成果がない。成果がないというより結果としてテロを拡散してしまいました。これは兵士にとってものすごい負荷だと思う。大義はなく、成果はあがらず、かえって世界を危険にしてしまった。このことがものすごく兵士個人を追い詰めている。実際にイラクはますます酷い状況になっています。この大義がなく成果があがらないというのは、対テロ戦争のトラウマの特徴といえる「良心の傷」を深く負ってしまう大きな要因です。トラウマを治療する病院も基本的にはアメリカ政府の病院なので、基本的な前提として「正しい戦争」ということで診断されカウンセリングされるので、「君は名誉の兵士なんだよ」と言われ余計に傷つく。「良心の傷」がより深くなってしまう。日本で万が一、「戦争法案」が成立させられて対テロ戦争に日本の若者、自衛隊員が駆り出されていったとき、自衛隊員のトラウマは心配だし、その受け皿は日本には何もありません。「戦争法案」は許してはいけないのです。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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