ブレンディの史上最悪セクハラ人権侵害CM=女子高生の性を搾取するJKビジネス礼賛、高校生を家畜あつかいし殺戮と人身売買肯定、ジェンダーギャップ指数105位でブラック企業が世界で一番活躍する日本賛美

https://twitter.com/freie_Herz/status/649592399274991616

Yahoo!ニュース個人のオーサーをやらせてもらっていたとき、セクハラCMについて何度か書き、随分読まれていました。以下は2015年3月21日にYahoo!ニュースに書いた記事です。そして、今回のブレンディのCM。これは女性蔑視だけなく人身売買や高校生と労働者の人権侵害なども含む史上最悪のセクハラ人権侵害CMだと思いますので、このCMの制作関係者の謝罪とCMの撤回、このようなウルトラ人権侵害CMを制作した経緯をきちんと検証した上で、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしてもらいたいと思います。

◆【動画】コーヒー「Blendy」のCMの若者蔑視・差別表現をめぐり外国人記者らドン引き状態
◆アイドルになりたい少女や「関係性の貧困」で孤立する女子高生につけ込むJKビジネス=売春目的の人身売買|仁藤夢乃さん

ルミネのセクハラCM 働く女性のリアルな日常=セクハラ相談1年で6千件・セクハラで精神障害4年で3倍

(朝、出勤してくる男性社員と女性社員)
男性社員「顔が疲れてる。寝てないの?」
女性社員「普通に寝ましたけど」
男性社員「寝て、それ?」

(2人の前に巻き髪に膝上スカート姿等派手な格好で単に男性に媚びているような存在の同僚女性社員があらわれる)
男性社員「やっぱかわいいなあ~、あの子」「大丈夫だよ~、ヨシノ(女性社員の姓)とは“需要”が違うんだから」

文字テロップ「【需要】この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華』ではないという揶揄」

ひとりになった女性社員ヨシノ、鏡の前で顔を眺め「は~」と溜め息し「変わりたい、変わらなきゃ」というナレーションが流れ、ルミネのロゴ表示

いま問題になっているルミネの動画CMの内容です。そして、その末路です。

JR東日本の子会社で商業施設を運営する「ルミネ」(本社・東京都)は20日、インターネット上の動画サイトで公開していた動画CMについて、不快に思われる表現があったとして、ネットから削除したことを明らかにした。削除したのは、「働く女性を応援」をテーマにした約1分間の動画CM。登場人物の男性が、会社の同僚である2人の女性について容姿を比較するような発言をしている。18日から公開していたが、動画を見た人たちから批判が寄せられ、20日午後に削除した。ルミネは「不快に思われる表現があったことを深くおわびする。今後は十分に注意する」(広報担当者)としている。

出典:毎日新聞3月20日付 <ルミネ>「不快に思われる表現」動画CMを削除

ルミネの制作意図は以下です。

働く女性のリアルな日常を切り取り、女性の変わりたい気持ちを応援したかったというのが一番にありました。

出典:ウートピ【ルミネ炎上CM】広報へ制作意図を直撃 「女性の変わりたい気持ちを応援したかった」

上記のルミネの制作意図からすると、これが「働く女性のリアルな日常」なのだから、女性が変わりたい気持ちを抱くのは当然で、それをルミネは応援して、女性が「職場の華」に変われればハッピーだよね、というようなストーリーってことなんでしょうね。

では、まず「働く女性のリアルな日常」という点をデータで見てみましょう。

セクハラを受けて精神障害になった労災の決定件数は直近4年間で3倍以上に増加

厚生労働省が毎年発表している「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」の直近データは2013年度です。これによると、セクハラを受けて精神障害になった労災の決定件数は、2013年度で52件です。2012年度の45件から増えています。厚労省サイトでさかのぼって確認できるのは2009年度までなのですが、2009年度の決定件数は16件です。この4年間で、セクハラを受けて精神障害になった労災の決定件数は3.25倍に増加しているのです。そして、厚労省サイトで確認できる限りでは、直近2013年度が過去最悪の数字になっています。

2013年度のセクハラ相談件数6千件超
これは氷山の一角、厚労省が職場のセクハラを初の実態調査中

それから、各地の労働局に2013年度に寄せられた相談は、セクハラが6,183件で、マタハラが3,371件。この膨大な件数についても、厚生労働省は、氷山の一角であり、泣き寝入りしているケースも多いとみられるとして、まず実態を調べる必要があると判断し、職場のセクハラ・マタハラの初の本格実態調査を現在おこなっているところです。

 

そして、全労連が全国各地で取り組んでる労働相談件数は、直近の2014年で1万7,848件で、その労働相談内容を割合で見たものが上のグラフになります。「賃金・残業代未払い」17.8%に次いで、「セクハラ・いじめ」12.9%となっています。前年と比べると「賃金・残業未払い」「解雇」が減って「セクハラ・いじめ」「労働時間・休暇」が増加しているのです。

ルミネの言うとおり、確かに「働く女性のリアルな日常」は、セクハラ、マタハラの人権侵害にさらされ続けているということが各種データで裏付けられます。しかし、ルミネはこの「働く女性のリアルな日常」が人権侵害のセクハラにあたるとは思ってもみなかったようです。その証拠に、ルミネは制作意図として「女性の変わりたい気持ちを応援したかった」と言っているわけですから、この男性社員の発言は「職場の華」をめざして「女性の変わりたい気持ち」を後押しするものとしてセクハラどころか肯定的に描かれていることになります。

しかし、これは明らかにセクハラ動画CMです。昨年の7月1日に男女雇用機会均等法が改正施行されているのですが、今後は「性別役割分担意識に基づく言動」、いわゆる「女はお茶汲みをすべき」とか「家庭に入って子育てに専念すべき」など、性の違いによる固定観念を押し付ける言動のこともセクハラを助長するものとして規制対象に明記されているからです。下の二つの画像は厚労省サイトでその部分を説明しているものです。

女性社員を、男性社員の“需要”で品定めすることを肯定するだけでなく、男性社員の“需要”である「職場の華」をめざして「変わりたい、変わらなきゃ」と思うことが女性社員の役割であり、これを応援するのがルミネですと宣伝しているわけで、これは明らかに「性別役割分担意識に基づく言動」です。

もっと言えば、職場の女性社員の役割は、男性社員の“需要”に基づき「職場の華」に変わることがベストなのだ、それでこそ、男性社員は職場で頑張れるのだ、ということでしょう。女性社員は男性社員に「職場の華」としてよく見られなければいけないし、「職場の華」としてよく見られようと「変わりたい、変わらなきゃ」と女性社員自身が頑張るのがベストの女性の役割なのだということでしょう。その男性に「よく見られたい」という気持ちを応援するのがルミネの役割ですから、ルミネの“需要”は「職場の華」をめざしてくれる女性が存在する必要があるという関係にもなるのでしょう。

女性社員は「単なる仕事仲間」ではなく、「職場の華」として、男性社員の“需要”を満たそうとすることを女性社員自身が内面化させて――あるいは内面化させられて(多くの場合、性別役割分担は女性自身も内面化させられているケースが多い)――その男性社員の“需要”に寄り添いながら、自分だけでも「寝て、それ?」とか「職場の華としての需要はない」などと男性社員に言われないで、「やっぱかわいいなあ~」と言われる女性社員をめざすことになります。これは、女性に「強制された自発性」とも言えるものでしょう。

このセクハラ動画CMは、男性の“需要”に奉仕する性としてのみ女性を描き出すことによって、男性の側のセクハラ行為はむしろ女性を応援しているのだと言わんばかりに肯定され、「職場の華」をめざすためのルミネの“需要”を生み出し、社会的に容認させ、流通させることで、セクハラの土壌となる固定的な性別役割イメージを再生産するものだと思います。

(※参考:政府の「男女共同参画白書 平成26年版」にも掲載されている「ジェンダー・ギャップ指数」(下表)でも日本は105位という低い位置にいる「女性差別大国」です)

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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