安倍首相の国連発言「女性雇用90万人増」→事実は年平均で正規22万人減・非正規激増、「女性が輝く社会」「1億総活躍社会」=「女性が貧困になる社会」「1億総貧困社会(1%の富裕層のみ豊か)」

  • 2015/10/1
  • 安倍首相の国連発言「女性雇用90万人増」→事実は年平均で正規22万人減・非正規激増、「女性が輝く社会」「1億総活躍社会」=「女性が貧困になる社会」「1億総貧困社会(1%の富裕層のみ豊か)」 はコメントを受け付けていません。

先日、「安倍首相「雇用100万人増、2年連続賃上げ」→政府統計で「正規雇用74万人減、実質賃金2年2カ月連続マイナス、GDP2年連続マイナス(年率換算)、貧困激増させ戦後最大の大企業・富裕層だけ豊かさ享受」」で、安倍首相が雇用について公言していることがいかにデタラメなものであるかについて、政府統計をもとに明らかにしておきましたが、今度は女性の雇用についてです。

安倍首相が9月27日、第70回国連総会「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するグローバル・リーダーズ会合」で次のスピーチを行いました。

私は総理就任以来、女性の輝く社会の実現を、政策の大きな柱に据えてきました。その結果、この約3年間で、新たに90万人を超える女性が労働市場に参加しました。

安倍首相の国連本部でのスピーチ(第70回国連総会「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するグローバル・リーダーズ会合」)

 

この安倍首相が言う「90万人」はどこから出て来たのでしょうか?

今の安倍政権は2012年12月26日に発足していますから、2012年のデータと同時期の直近データを比較する必要があります。以下が、総務省「労働力調査」の数字です。

女性雇用者数は正規2万~22万人減、非正規85万~105万人増と、
正規が減り、非正規が激増している

▼総務省「労働力調査」の四半期の女性雇用者数データ

2012年1~3月平均 全体2,273万人 正規1,031万人(45.4%) 非正規1,242万人(54.6%)
2015年1~3月平均 全体2,358万人 正規1,015万人(43.0%) 非正規1,343万人(57.0%)
→全体85万人増【正規16万人減、非正規101万人増】

2012年4~6月平均 全体2,278万人 正規1,057万人(46.4%) 非正規1,221万人(53.6%)
2015年4~6月平均 全体2,381万人 正規1,055万人(44.3%) 非正規1,326万人(55.7%)
→全体103万人増【正規2万人減、非正規105万人増】

▼総務省「労働力調査」の年平均の女性雇用者数データ

2012年平均 全体2,288万人 正規1,041万人(45.5%) 非正規1,247万人(54.5%)
2014年平均 全体2,351万人 正規1,019万人(43.3%) 非正規1,332万人(56.7%)
→全体で63万人増【正規22万人減、非正規85万人増】

上記にあるように、女性雇用者数は全体で63万人~103万人増えていますが、いずれのデータで見ても、正規は2万~22万人減、非正規は85万~105万人増と、正規が減り、非正規が激増しています。安倍首相が「この約3年間で、新たに90万人を超える女性が労働市場に参加」と言ったのは、上記の63万人~103万人という幅のなかで2015年平均はまだどうなるか分からないこともあって「90万人を超える」としておこうという程度のものだったのだろうと思われます。

あわせて男性のデータも見ておきます。

▼総務省「労働力調査」の四半期の男性雇用者数データ

2012年1~3月平均 全体2,867万人 正規2,304万人(80.4%) 非正規563万人(19.6%)
2015年1~3月平均 全体2,888万人 正規2,251万人(78.0%) 非正規636万人(22.0%)
→全体21万人増【正規53万人減、非正規73万人増】

2012年4~6月平均 全体2,868万人 正規2,313万人(80.7%) 非正規554万人(19.3%)
2015年4~6月平均 全体2,886万人 正規2,259万人(78.3%) 非正規627万人(21.7%)
→全体20万人増【正規54万人減、非正規73万人増】

▼総務省「労働力調査」の年平均の男性雇用者数データ

2012年平均 全体2,865万人 正規2,300万人(80.3%) 非正規566万人(19.7%)
2014年平均 全体2,889万人 正規2,259万人(78.2%) 非正規630万人(21.8%)
→全体で24万人増【正規41万人減、非正規64万人増】

上記にあるように、男性雇用者数は全体で20万人~24万人増えていますが、いずれのデータで見ても、正規は41万~54万人減、非正規は64万~73万人増と、正規が減った分、非正規が増加しています。

先に、「菅官房長官の「子ども産んで国家に貢献を」→日本で子ども産めば世界最悪の女性賃金差別=男性のわずか39%、OECD30カ国平均の半分」で紹介しているように、安倍政権になって非正規雇用割合が史上最大となり、男女ともに低賃金で不安定な雇用が激増し、日本は働けば働くほど貧困に陥るワーキングプア大国になってしまっているのです。

安倍首相は、「女性雇用90万人増」によって「女性が輝く社会」「女性活躍社会」が到来しつつあるかのように言っていますが、客観的な事実として、ただただ「女性の貧困」が深刻化しているにすぎません。安倍首相の言う「女性が輝く社会」「女性活躍社会」「1億総活躍社会」というのは、「女性が貧困になる社会」「女性貧困社会」「1億総貧困社会(1%の富裕層のみ豊かな社会)」にほかならないのです。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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