豪雨災害危険地域6~8割未着手の日本政府、安倍首相が「国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜いていく」と言うなら命奪う「戦争法案」廃案にし過去最大の軍事費削って国民の命守る防災対策こそ推進すべき

  • 2015/9/11
  • 豪雨災害危険地域6~8割未着手の日本政府、安倍首相が「国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜いていく」と言うなら命奪う「戦争法案」廃案にし過去最大の軍事費削って国民の命守る防災対策こそ推進すべき はコメントを受け付けていません。

(※上の写真は今朝7時のNHKニュースより)

栃木県・茨城県・宮城県等で豪雨災害が発生しています。豪雨災害に関連する2014年10月にインタビューした記事を紹介します。安倍首相は「国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜いていく。そのための新たな安全保障法制を整備してまいります」などと言って、「戦争法案」を今国会で強行し、あわせて過去最大の軍事費投入軍事研究・武器開発等の推進を経団連とともに狙っていますが、災害列島日本において安倍首相は今すぐこう訂正すべきです。「国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜いていく。それにまったく逆行する他国の市民の命奪い自衛隊員の命奪われ日本へのテロの危険高める『戦争法案』など廃案にし、人の命を奪う過去最大の軍事費は直ちに削って、人の命を守る防災対策をこそ整備してまいります」と。

豪雨災害・火山災害と
国土交通行政の役割
山﨑正人 国土交通労働組合書記長インタビュー

広島の豪雨災害や、戦後最悪となった御嶽山火山災害など、大きな災害が続いています。防災や復興の問題にかかわる国土交通行政の役割について、国土交通労働組合の山﨑書記長にお話を伺いました。(聞き手=国公労連調査政策部・井上伸、※ここでは豪雨災害についての部分だけ紹介します)

豪雨災害多発は、土地開発や地球温暖化も影響

――この8月の広島豪雨災害など各地で豪雨災害が発生しています。こうした豪雨災害はどうして連続して発生しているのでしょうか?

前線に向かって湿った空気が流れ込み、中国地方や九州北部地方を中心に8月19日の夕方から大量の雨をもたらしました。この雨は、20日未明になってさらに強さを増し、広島県三入では、午前4時までの1時間に101ミリを記録しました。また、20日17時までの24時間の降水量は257ミリに達しています。

こうした状況の中で、広島市安佐南区で発生した土砂崩れは、山にへばりつくように建てられた住宅を次々に飲み込み、最終的には、4,562棟の住宅被害、死者73人という多くの尊い人命を奪うことになってしまいました。

これまでにも広島市付近では、近年だけ見ても、1999年「6.29豪雨災害(死者32人)」、2004年「台風18号(死者5人)」、2006年「台風13号(死者2人)」、2010年「庄原ゲリラ豪雨(死者5人)」と、繰り返し豪雨による災害が多発しています。

この要因は、広島市の地形・地質的なものがあります。広島県全体では約70%を山地が占めており、その多くは花こう岩が風化した「マサ土」となっています。マサ土は、水を非常に通しやすく崩れやすいために斜面崩壊や土石流を引き起こします。また、地形的な関係でこの地域は平野が少なく、人口が集中する平野部において住宅地が十分に確保できないために、山肌近くまで土地開発を行い、住宅を建てていることも特徴です。

このような要因が重なることで、災害が多発しています。その一方で対策は、1967年に「昭和42年7月豪雨」を機に定めた「傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」、1999年には「6.29豪雨」を機に「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)」が制定されていますが、皮肉なことにこれらの法律は、いずれも広島で起きた災害を契機に定められた法律です。

地球温暖化が叫ばれて久しいですが、私たちが日常的に生活している感覚でも、昔に比べて暑くなったとか、「ゲリラ豪雨」といわれる局地的大雨が多くなったという感覚があります。これらが、全て地球温暖化の影響であるとは言い切れませんが、要因の一つとなっている可能性は大いにあると思います。

行政職員の人手不足と受注業者の人手不足、
地方への予算削減などで進まない防災事業

――この豪雨災害から国民の安全を守るためには、どういったことが必要でしょうか?

こうした現状のもとで、国として何をすべきかを真剣に考える時期が来ています。これまで、全く手をこまねいていたわけではなく斜面崩壊や土砂崩れに対する対策は、行われてきました。

国の砂防事業費では、9.57億円(2010年)から1,040億円(2013年)まで膨らみ、一方、地方への補助金は132億円(2010年)から112億円(2013年)と縮小しています。トータル的には毎年1,000億円程度の砂防事業予算は確保されていますが、用地買収の困難性をはじめ、工事現場に住宅地が隣接していること、また、発注者である行政職員の人手不足と受注業者の人手不足など、いくつかの要因が重なり思うように進捗していないというのが現状です。現に今回災害が発生した広島市安佐南区付近においても砂防工事は実行中でしたが十分なものにはなっていませんでした。「もし」はありませんが、この工事がもっと早く、十分に行われていたならば、ここまで被害が大きくならなかったかもしれません。全国的に見てもこの状況は変わりません。

土石流危険渓流=約78%未着手
山腹崩壊危険地区、崩壊土砂流出危険地区=約60%未着手
地滑り危険箇所=約65%未着手
急傾斜地崩壊危険箇所=約68%未着手

国土交通省の砂防事業政策は、全国52万カ所の土砂災害危険箇所を、国費及び国費補助金と地方自治体負担で砂防堰堤や法崩れ対策等を行うことを前提としています。実際に豪雨によって土石流が発生し、砂防堰堤で土砂を受け止め効果を発揮した事例がありますが、2005年度までの整備水準はというと、土石流危険渓流における砂防設備の整備状況は、地震発生により家屋密集地区に被害を及ぼす可能性が高い土石流危険渓流において、約78%の渓流において砂防設備の整備に未着手という状況です。山腹崩壊危険地区、崩壊土砂流出危険地区における保安施設の整備状況も全国では約60%が未着手です。地滑り危険箇所(地区)における地滑り防止施設の整備状況も全国で約65%が未着手です。急傾斜地崩壊危険箇所における急傾斜地崩壊防止施設の整備状況も全国で約68%が未着手です。こうした状況でお分かりのとおり、国と地方自治体の財政難から全国の施設を整備する時間と資金はいくらかかるのか不明です。言いかえれば、国や自治体が行う急傾斜地対策、砂防・地すべり対策が十分ではないということです。また、そもそもこのような長期的な国土交通省の政策方針が適切だったのかどうか、疑問を拭えない状況と言えます。

国の住宅政策の問題点
土砂災害警戒区域は34万9,844区域(66.6%)
土砂災害特別警戒区域は20万1,828区域(38.4%)も存在する

加えて、今回のような危険地域に住居を構えなくてはならない、国の住宅政策にも問題があります。全国には土砂災害危険箇所は、52万5,307区域もあります。そのうち土砂災害警戒区域は、34万9,844区域(66.6%)あり、土砂災害特別警戒区域は、20万1,828区域(38.4%)あります。土砂災害防止法に基づいて、都道府県は土砂災害警戒区域と特別警戒区域指定を行うことになっていますが、2つの区域とも指定を完了しているのは、青森・山梨・福岡の3県だけです。土砂警戒区域のみ指定を完了しているは、福井県・山口県・栃木県だけです。

広島県は、県土の7割が山地を占め、土砂災害危険箇所数が全国最多の3万1,987カ所に上ります。こうした状況下で、31人が死亡、1人が行方不明になった1999年の広島豪雨災害を契機に土砂災害防止法が制定されました。

広島県は同法に基づいて、土砂災害の恐れがある土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や、特に危険の高い土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定作業を続けています。ただ、今回被害の出た安佐南地区八木などは、まだ指定に向けた作業が行われていませんでした。

住民の安全・安心を守るためには、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域を指定し、住民に丁寧に説明し、その上で都市計画では建築を制限することが重要です。しかし、自治体の声としては土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定することで土地価格などの不動産価格に極めて大きな影響がでることから、指定することに反対する住民や不動産業者があることも事実です。

地震・豪雨・火山などによる自然災害から国民の生命や財産を守るためには、あらゆる災害を想定し危険箇所に住まわせない政策への転換が求められている

日本は、地震・豪雨・火山などによる自然災害が多発する地形となっていますが、現在の政府の方針は誰でも自由にどこにでも住めるように、「防災事業」として構造上の補強や補修が困難な箇所へ莫大な予算を投入しつづける政策を続けています。そのような政策が果たして正しいことなのかどうなのかを総括し、財政制約もあることから住民合意のもとで、危険な土地の利用には一定の制限をかけるように方針を転換することも検討すべきです。地震・豪雨・火山などによる自然災害から国民の生命や財産を守るためには、あらゆる災害を想定し、危険箇所に住まわせない政策への転換が求められています。

一方、阪神淡路大震災、東日本大震災でも問題となっているのは、国民が災害に遭った場合には、災害対策基本法で「生業」が再建できるだけの資金を提供できることになっています。しかし、現在の政府は「前例がない」という何の根拠もない理由で資金を提供していません。これでは自然災害の多い日本に住む国民にとって、不幸にも被災した場合の生活再建の救済にはなりません。

この方針を、法律に規定されている通り生業資金を提供する方針に転換させることが必要です。この方針が転換され、生活再建資金を支給できる方針となれば、今回の豪雨災害でも危険地域であることが明確となった箇所を土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定し、既に住んでいる方々に移転費用の補助を実施するなどの政策も可能となります。こうした政策へ転換することができれば、砂防施設等の大型公共事業を相当な年数と莫大な費用をかけて整備するよりも効率的となる可能性も大きく期待できます。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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