派遣法改悪で貧困国と富裕国の2つの国つくる安倍政権=財テク大儲けの富裕国と最低賃金で交通費なしゼロ回答と派遣労働者収奪の貧困国

  • 2015/9/8
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(※2014年12月6日に書いた記事です)

東京新聞は11月23日付で次のように書いています。

「貧困国と富裕国の2つの国をつくっているようだ」

「貧困国と富裕国の2つの国をつくっているようだ」。立命館大学の高橋伸彰教授が言う。設備投資や輸出が増え、雇用や賃金も改善する好循環が軌道に乗らない中、富裕層や大企業に富が偏り、中低所得者は豊かさを実感できない。金融資産を持つ余裕のある人は69%に低下、「貯金ゼロ」の人が増える。小泉政権下の派遣法改正は格差拡大のきっかけとなった。アベノミクスは金融資産も含め格差を広げており、大和田滝恵(たきよし)上智大教授は「日本を支えてきた中間層がさらに縮小するおそれがある」と指摘する。

出典:東京新聞11月23日付「<安倍政治 2年を問う(上)> アベノミクス・くらし」

 

 

アベノミクスでつくられた「富裕国」の住人である大企業は、上のグラフにあるように(※それぞれのデータは財務省「法人企業統計」より)、労働者の賃金は切り下げ続け、設備投資も減らして、内需を冷え込ます一方で、配当を3.52倍にし、財テク収益(営業外収益)を2倍近くも増やしているのです。(この配当を受け取るのが「グローバル・カストディアン」を中心とする外国資本が大きな比重を占めている構造もまた大問題なのですが)

少し詳しく上のグラフを見ておくと、1998年度から2013年度までの15年間で、資本金10億円以上の大企業が保有する有価証券総額は、80.9兆円から222.5兆円へと141.6兆円も増えています。有価証券の売却益や有価証券利息、投資先企業からの受取配当金など財テク収益(営業外収益)も6.8兆円から12.9兆円へと6.1兆円も増えています。このとき、子会社・関係会社からの受取配当金には課税されないなど大企業優遇税制も活用しながら、大企業は財テクで大儲けをしているわけです。

大企業が設備投資をして本業を拡大するのではなくて、財テクで大儲けをするのは、実体経済を縮小させるもので「経済の悪循環」をもたらしています。(三菱UFJ&コンサルティングでさえ、「企業は設備投資の抑制や人件費の削減を進めることで収益力を高めてきた」「結果的に、日本経済の供給力を低下させる要因となった」と指摘せざるをえないわけです)

 

そして、上のグラフにあるように、大企業は内部留保を増やし続けています。この内部留保を大企業は財テクに回しているわけですが、これでは「経済の悪循環」でグラフにあるように貧困率も高まるばかりです。安倍自民党政権は、法人税減税をすると言っていますが、こうした「経済の悪循環」を転換しなければ、またしても大企業の内部留保が増大して財テクで大企業が大儲けするだけの話になってしまいます。

これに加えて、安倍首相は、「私がドリルになって規制という岩盤を打ち破る」などど言って、今でもブラック企業やブラックバイトで苦しむ労働者をさらに日本列島総ブラック企業化する「生涯派遣・正社員ゼロ」「過労死促進・残業代ゼロ」などの労働法制全面改悪(=「岩盤規制」の打破)を強力に推進するとしています。

こうしたアベノミクスの方向は、東京新聞が指摘するように「貧困国と富裕国の2つの国」をつくろうしているとしか言いようがありません。

安倍首相が繰り返し発言しているアベノミクスで「経済の好循環」が生まれているというのは、じつはアベノミクスが作り出した(安倍首相の頭の中だけにある妄想に過ぎないのですが)日本における「富裕国」の話をしているのではないかと思ってしまいました。

さらに東京新聞は告発します。

「2年で時給は10円上がっただけ。物価は円安や消費税でどんどん上がる」
「250円」の旗がはためく。金融緩和を繰り返す日銀に近いJR神田駅の商店街。格安弁当を求める人たちが店の外にあふれる。「2年で時給は10円上がっただけ。物価は円安や消費税でどんどん上がる」。焼き肉店のアルバイト男性(21)は節約のためここで昼食を済ます。200個の弁当が20分で完売した。

出典:東京新聞は11月23日付「<安倍政治 2年を問う(上)> アベノミクス・くらし」

 

月収15万円。時給900円前後と最低賃金すれすれ。食費上昇などで生活は苦しく「交通費だけでも支給を」と要求したが…【派遣社員として運送会社で働く男性(45)】
「結局、ゼロ回答でした」。派遣社員として運送会社で働く男性(45)が言う。月収15万円。時給900円前後と最低賃金すれすれ。食費上昇などで生活は苦しく「交通費だけでも支給を」と要求した。だが、派遣先の運送業界も円安による燃料費上昇で倒産続き。要求は簡単に拒否された。

出典:東京新聞は11月23日付「<安倍政治 2年を問う(上)> アベノミクス・くらし」

 

安倍首相は「一人一人に果実を行き渡らせる」と公約、円安などで企業に稼がせ、恩恵を労働者にもたらすはずだった。だが、頼れる労働組合もない不安定な派遣、パートなど非正規労働者が13年は前年から93万人増え、労働者の約37%に達した。

出典:東京新聞は11月23日付「<安倍政治 2年を問う(上)> アベノミクス・くらし」

 

それから、この2年間のアベノミクスの「矢」を政府統計等で押さえた上で、安倍自民党政権による「この道の先」=「未来予想図」を以下のように作ってみました。(※「未来予想図」というほどのものでもありませんがf(^_^;)…)

 

上の図を見て分かるように、そもそも大企業や富裕層が儲かれば庶民にもその儲けが滴り落ちるという安倍自民党政権が信じて疑わない「トリクルダウン」はまったく起きていません。

「トリクルダウン」がまったく起きていないどころか、貯蓄ゼロ世帯数とワーキングプア数は過去最大になり、雇用者報酬も消費支出も大幅に落ち込んでいるのが事実ですから、大企業と富裕層、そして自民党への企業献金の大幅増という形で、労働者・庶民が収奪されているだけの話です。安倍自民党が言う「トリクルダウン」というのは、労働者・庶民を収奪することだったわけです。

安倍首相が繰り返してる「この道しかない」というのは、労働者・庶民から収奪して、大企業・富裕層・自民党が富を独占する道しかない、と言っているのです。だから、「世界で一番企業が活動しやすい国」を目指すと安倍首相は政権発足以来、繰り返し公言してきたわけですね。

労働者・庶民から収奪して、大企業・富裕層・自民党が富を独占する道しかない、と言って、さらにこのアベノミクスを「強力」に「本格化」して「加速」すればどうなるかは、上の「未来予想図」が示す矢印の通りだと思います。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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