津田大介さんが語る市民運動とSNSの可能性、共感広げ社会的運動の参加へ人々の背中を押すツール

  • 2015/8/31
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▲写真は昨日の「巨大な抗議行動」を伝えるロイターのサイトから

(※2012年10月に書いた記事です。昨日(2015年8月30日)、取り組まれた、違憲立法・戦争法案の廃案と安倍政権の退陣を迫る「国会10万人・全国100万人大行動」においても、津田さんが指摘するSNSの可能性を感じたのでアップします)

2012年10月8日、市民社会フォーラムの主催で「津田大介が語る 市民運動とソーシャルメディアの可能性」が開かれました。ごく簡単な私のメモですが興味深かったところを紹介します。(文責=井上伸)

ソーシャルメディア現象を読み解くキーワードは、5つあります。(1)リアルタイム、(2)共感、(3)リンク、(4)オープン、(5)プロセス、です。それぞれについて考えてみましょう。

(1)リアルタイム
速報性と爆発的な伝搬力

ツイッター、フェイスブックは、「いま考えていること」、「いまやっていること」を発信しますから、リアルタイム性が高く、情報の速報性につながります。その上、ツイッターはリツイート、フェイスブックはシェア、というワン・クリックするたけで、情報の共有が簡単にできますから、爆発的に情報が流通する速度が速くなったのです。ソーシャルメディアのリアルタイム性の高さが速報性と爆発的な伝搬力へとつながっているのです。

(2)共感
感情や思考をテレパシーのように
共有し合う「共感・協調のメディア」

その人の思いが広がっていくので、感情や思考をテレパシーのように共有し合うことができます。ソーシャルメディアは、「共感・協調のメディア」なのです。

(3)リンク
感情や思考がリンクし具体的な行動につながる

リツイートやシェア、コメントで、感情や思考が結びついて人が動き始めます。いちばん分かりやすいのは、原発再稼働反対の官邸前抗議デモです。共感の感情や思考がソーシャルメディアで可視化されて共有されつながり具体的な行動が促進されるのです。ソーシャルメディアで感情や思考がリンクすることによって、具体的な行動につながっていくのです。

(4)オープン
気軽に参加できる敷居の低さ

誰でも見られるオープンなところ、誰でも気軽に参加できる敷居の低さがソーシャルメディアの特徴です。

(5)プロセス
面白いプロセスが興味を喚起する

ソーシャルメディアは完成品を見るものではないのです。議論のやりとりの透明性が確保された中で、その面白いプロセスを見ることによって、興味喚起にもつながっていくのです。

こうしたソーシャルメディアの特徴を活用することが大事です。ソーシャルメディアが革命を起こすわけではありません。ソーシャルメディアはツールとして、具体的な行動のきっかけをつくれる、具体的な行動へと人々の背中を押してくれる、「動員の革命」のツールです。「いいね!」をクリックしているだけでは世の中は変えられません。

脱原発デモなどによって、ソーシャルメディアによる「動員の革命」は実感できるところですが、オールドのメディアと言いながらもマスメディアの影響力はまだ圧倒的に強いものがあります。テレビの視聴率1%は100万人に相当し数千万人へと情報を流すことができるのです。テレビや新聞は「プッシュ型」で視聴者や読者のところへ届けられるわけですが、ネットは自分から情報を取りに行かないといけない「プル型」です。自分から情報を取りに行かないといけないからネットの人数は少なくなるのです。ちなみにブログのギネス記録は1日23万人で、これはテレビの視聴率でいえば0.2%に過ぎないわけです。そうした量からだけ見るとオールドと言いながらもマスメディアは圧倒的な力を持っています。

しかし、ツイッターだけは別物だと思っていて、これほど情報を瞬時に届けることにたけたメディアはありません。リアルタイム性では、メディアの中では今までと違ったポテンシャルを持っています。レディー・ガガは世界で一番フォロワー数が多く2千6百万人です。2千6百万人に瞬時に情報を届けることができるのはツイッターだけです。

こうしたオールドメディアにはないポテンシャルも待ったソーシャルメディアを、個人や市民団体が持てるようになったのです。工夫次第では個人や市民団体が数百万人単位に情報を届けることができるのです。電波を独占しているマスコミに対抗しうる発信力を市民は手にしているのです。

市民運動によるソーシャルメディアの発信で課題になる3つの要素は、(1)共感、(2)リアルタイム、(3)新規性、だと思います。

市民運動の発信が多くの人から「共感できる」ものになっているのか? いまここで起こっているいろんな事件に「リアルタイム」できちんと市民運動がコミットしているのか? ずっと同じようなことを言っていると思われない「新規性」があるのか? この3つを意識して市民運動がしかけられるかというのが大事だと思います。

 ▼質疑応答

 ――「感情が瞬時に広がる」というのは危険な面があり、逆に難しい社会問題への共感などは広がらないのではないでしょうか?

津田 社会問題での情報戦では、情報の出し方、情報の「料理の仕方」を工夫すべきだと思います。その工夫によって、複雑で難しい社会問題でも共感を広げることは可能だと私は思っています。そしてそれこそがソーシャルメディアでやるべきことだと思います。

危険性に対しては、逆にソーシャルメディアにはカウンターがあると思っています。危険な情報や、ひどい情報も流れるけれどもそれに対するまともなカウンター情報もきちんと流れます。

2ちゃんねるとソーシャルメディアの違うところは、2ちゃんねるは、たったひとりでもその場を支配することができるのですが、ツイッターやフェイスブックではひどい情報では支配できないところです。まともな発信がない人にフォロワーが増えることがないからです。ですから、まともな発信をしない人の影響力を行使しえないという点で、ツイッターは2ちゃんねるを超えているのです。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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