日本の賃金(総コストに占める割合)は世界最低、さらにアベノミクスで過去最低を更新、貧困大国アメリカを上回る「ワーキングプア大国日本」、世代間格差でなく上位10%と下位90%の格差が拡大し続けている

OECDのデータを見ていたら、いくつか新しいデータとレポートがありましたので、紹介しておきます。

いちばん驚いたデータ(OECD生産性統計)をグラフ化してみたものが以下です。

上のグラフにあるように、日本の賃金(総コストに占める割合)はOECD35カ国でデータがあるものの中で、最低です。しかも、直近の2014年に過去最低を更新しています。まさにアベノミクスによって賃金が最も少ない割合になってしまっているのです。

上のグラフだと分かりづらいので、直近の2014年の数字だけでグラフ化してみたものが以下です。

上のグラフにあるように、日本は断トツで最下位です。

それから、OECDは2016年11月に所得不平等に関するレポートを発表しています。いくつか分かりやすくするため以下グラフ化してみました。

下のグラフは、1年を通して働いているにも関わらず貧困状態に置かれるというワーキングプア率を、OECDの主要国で見たものです。日本は「貧困大国アメリカ」を1.8ポイントも上回る13.3%で主要国最悪の「ワーキングプア大国」であることが分かります。最初に見たOECDの中で最も低賃金であることが「ワーキングプア大国」につながっていると言えるでしょう。

 

上のグラフにあるように、日本はアメリカに次ぐ貧困大国であるにもかかわらず、昨年の国会答弁で安倍首相は世代間に不公平があって、高齢者だけが現役世代や若い世代より得をしているかのような発言を繰り返しました。これも大ウソであることが、OECDのデータを見るとよく分かります。

 

 

上のグラフにあるように、子どもの貧困も、現役世代の貧困も、高齢者の貧困も、どの世代をとっても日本の貧困は深刻なのです。安倍首相が言う高齢者だけが得をしているなどという事実はありません。(※ここで、よくあるのが、高齢者は貯蓄をしているから所得の貧困率だけで見るのは間違いだというものですが、この点については、以前「高齢者が貯蓄を独り占め?→事実はアベノミクスで高齢者も若い世代も同じように貯蓄ゼロが激増、社会保障など老後の備えが欧米と比べて極めて劣悪な日本」というエントリーをアップしていますので参照ください)

世代間不公平や世代間格差などを根本的な問題とする安倍首相の主張が間違っているとしたら、どこに格差の問題は存在するのでしょうか? この点にもOECDのレポートは答えを用意しています。

 

上のグラフにあるように、日本はアメリカほどではないにせよ、富裕層上位と所得下位の格差が拡大している「格差大国」なのです。そのことは、ピケティ氏らによる「世界の富と所得のデータベース」が昨年12月20日にリニューアルされてより分かりやすくグラフ等が作れますので、富裕層上位10%の所得シェア推移を、日本とアメリカとフランスでグラフ化してみました。

当たり前ですが、富裕層上位10%の所得シェアが右肩上がりになるということは、一方の下位90%の所得が減っていくといことです。一目瞭然、日本はアメリカの富裕層を追いかけている「格差大国」「貧困大国」です。そして、世代間格差が根本的な問題ではなく、富裕層上位10%と下位90%の格差、そしてこの格差拡大の主な原因である日本の低賃金とワーキングプア増大こそが日本の根本的な問題なのです。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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