女性を風俗で「活用」、「産む機械」として「活用」する安倍政権 – 男性優位社会によって男性の性暴力が許される社会、橋下発言=「レイプ神話」を受容する日本社会の空気を変えたい

  • 2015/8/17
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(※2013年5月23日に書いた記事です)

「慰安婦」をめぐるこの間の日本政府や橋下徹氏の発言が、世界から見れば人権侵害にほかならないということが国連などの動きを伝えるマスコミ報道で知ることができます。

▼慰安婦めぐるヘイトスピーチ、国連委が日本に改善求める(朝日新聞5/22)

 国連の社会権規約委員会は21日、日本に対して、従軍慰安婦をおとしめるような行為をやめるよう求めた。一部の排外主義的グループが「従軍慰安婦は売春婦だった」という趣旨のヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返しているのを受けたもので、政府に改善を求めている。

同委員会は発表した見解の中で、日本政府に対して「公衆を教育し、憎悪表現や汚名を着せる表現を防ぐ」ことを求めた。さらに元慰安婦の「経済、社会、文化的な権利や補償への悪影響を懸念する」としたうえで、「必要な全ての措置」をとることも要請した。

今回の見解では、朝鮮学校が国の高校無償化制度の対象外となったことについても、「差別にあたる」と批判し、改善を求めている。

同委員会は、人権を保障するための国連の条約「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」の締約国を対象に、定期的に見解をまとめている。今回は4月下旬に日本政府と市民団体の双方から意見を聞いたうえで、発表した。法的な拘束力はないが、政府は誠実に受け止める義務がある。

(中略)審査は、日本維新の会共同代表・橋下徹大阪市長の慰安婦発言や、西村真悟衆院議員(同党から除名)の「韓国人の売春婦はまだうようよいる」発言の前だった。委員会が政治家の発言を直接批判したわけではないが、元慰安婦について日本社会で理解が深まっていないことを懸念しての言及とみられる。

委員会は日本が包括的な差別禁止法をつくることも求めた。「殺せ」と連呼するデモのように、きわめて差別的な表現行為が放置されている日本の現状は、今後も厳しい批判にさらされそうだ。

慰安婦めぐるヘイトスピーチ、国連委が日本に改善求める(朝日新聞5/22)

▼橋下発言で日本政府の見解要求 国連拷問禁止委、近く対日勧告(共同通信配信5/23)

 国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は21、22の両日、ジュネーブで対日審査を行い、従軍慰安婦は必要だったとの日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長の発言に関し、日本政府の見解を求めた。

日本政府側は、慰安婦問題は太平洋戦争での出来事で、1987年に発効した拷問禁止条約の対象にはならないと主張。その上で「心が痛む問題で、アジア諸国に多大な損害を与えたという事実を謙虚に受け止めている」と説明した。拷問禁止委は政府回答や追加質問を基に、近く日本政府に対する勧告を発表する。

4月末に対日審査を行った社会権規約委員会も、元慰安婦の人権が守られていないと指摘しており、拷問禁止委の勧告も厳しいものになりそうだ。

21、22日の対日審査で拷問禁止委は「大阪市長の発言」に繰り返し言及。強制的に慰安婦になったわけではないという主張が日本にあることに言及し、「とうてい受け入れられない」とする厳しい指摘もあった。

橋下発言で日本政府の見解要求 国連拷問禁止委、近く対日勧告(共同通信配信5/23)

――こうした国連の動きから分かることは、橋下徹氏の「慰安婦」をめぐる発言は、国際的に見ると「ヘイトスピーチ」であり、「拷問」にあたりかねない問題であるということです。

こうしたなか、日本では昨日(2013年5月22日)、235団体が抗議の声をあげ、「女性の人権を尊重する政治を! 橋下発言に抗議する緊急院内集会」が開催されました。以下、私のメモから興味深かった発言の一部要旨を紹介します。(文責=井上伸)

女性を風俗で「活用」し「産む機械」として「活用」し
女性を使い捨てる政治家・政党に要注意
上野千鶴子さん(東京大学名誉教授)

橋下徹氏のような「女性を活用したい」とする政治家や政党は、女性の権利を守る気はありません。女性を風俗で「活用」し、女性を企業で「活用」し、女を「産む機械」として「活用」する気はまんまんです。それが今の自民党や日本維新の会です。ただし、女性を「活用」したあとは、女性を使い捨てて、女性の権利を守る気は一切ないのです。「女性の活用」という言葉を使う政治家や政党には要注意です。

男性優位社会によって男性の性暴力が許される社会
「レイプ神話」を受容する日本社会の空気を変えたい
北原みのりさん(作家)

橋下徹氏は石原慎太郎氏には謝りましたが女性には謝っていません。女性蔑視だという声に対して、なぜこんなにも橋下氏は謝らないのか考えてみました。すると、そういう発言を受容する空気がこの日本社会の中にまだあるということを感じるようになりました。たとえば、「男とはセクハラする生き物である」「電車に乗れば女性は痴漢にあうリスクを考えるべきだ」「男性とはそういう生き物である」という声が少なからず男性から出ています。そしてそういう声を受容する声も出ています。「僕は歴史認識のことは分からないけれども、橋下さんの発言の一部は容認できる」という声もあります。私はこういう人たちがとても怖い。「風俗はなくならない」「レイプあるだろ」「痴漢あるだろ」…、たしかに男性が圧倒的に加害者になっている事実はあります。しかし、それを「男とはそういうものだ」と言って「レイプ神話」にあぐらをかくのか、それとも男性優位社会だからこそ男性が加害者となる性暴力が起こりがちになる、男性優位社会によって男性の性暴力が許される社会になってしまっている、そういうことが犯罪として認識されにくい男性優位社会になっていると考えると、いま見えている現実もまったく違うし、私たちが描く未来も違ってくると思うのです。男性の本能としての性欲を否定するわけではありません。男性の性欲の発露の仕方が文化であって習慣であるということを、橋下氏を受容する人たちに気づいて欲しいと思っています。「女性がミニスカートをはいていたから思わず襲っちゃいました」とか、性欲をおさえきれなくて男性はレイプするのではありません。事実としてレイプは時間をかけ計画を練って実行しているのです。女性の挑発的な服装などに因果関係がないということはよく知られている事実です。「男とはそういうもの」「男の本能なのだ」という「レイプ神話」があり、一定数の男は女をレイプするものであって女を守るためにも国を守るためにも女が必要として、女を守るべき女と犯していい女に分けて利用してきたのが日本社会です。風俗と性犯罪を表裏一体ととらえて、男性の性欲をコントロールしてケアする役割が必要などとする社会の空気があります。不思議なのは、こういうふうに男性の性欲をコントロールしケアされることをどうして男性は余計なお世話だと声をあげないのかということです。橋下氏に男の性をコントロールしてあげると言われて声をあげないというのを見ると、男性の性はホントくだらないな、貧しいなと思います。よくよく考えるとそんな男と暮らしている私たちが可哀想なんですよ。男性も怒って欲しい。そして怒りを持続させて、橋下氏をやめさせて、こうした空気を変えたい。社会を変えていきたいと思っています。

トカゲのしっぽ切りで終わらせない
安倍首相や現政権の歴史認識に根本問題がある
梁澄子さん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 共同代表)

大阪市長という公人としての橋下氏による人権侵害はもちろん許されません。しかし、根本的な問題は、安倍晋三首相や現政権の歪曲した歴史認識にあります。橋下氏が公人をやめれば終わりになる問題にしてはいけません。トカゲのしっぽ切りで終わらないように、引き続き安倍政権の責任を追及していきましょう。

共有すべき「性暴力を許さない文化」
周藤由美子(性暴力禁止法をつくろうネットワーク)

橋下徹氏は、人を利用したり搾取したりすることが当たり前と思っている人たちの有象無象の欲望を栄養分のようにして膨れあがる「カオナシ」のような存在じゃないかという分析をされている方もいます。そうであるならば、橋下氏の背後にある橋下氏に共感を示す人たちに対して届く言葉を私たちがあみだしていかなければいけないと思っています。私が大阪の主婦の方に意見をきいたところ、「橋下さんが言うように戦争中だったらそうでしょ」とか、「もし自分の娘がレイプされるぐらいだったらプロの女性にまかせてしまいたい」と言う方が現実にいました。私たちは残念ながらそういう日本社会にいるということだと思うのです。なぜそうなのか? 日本社会にはどんなことがあっても性暴力は許されないんだとちゃんと宣言した法律がありません。ですから私たちは性暴力禁止法が必要だと思っています。「慰安婦」の問題、沖縄の米兵の性暴力の問題を本当に解決するためには、日本社会全体が、どんなことがあっても誰に対しても性暴力をしてはいけない、私たちの文化は性暴力を許さないんだ、ということを共有すること、そこから始まると思っています。

物理的社会的に優位に立つ男性が
性的支配をするのが性暴力
加藤治子さん(SACHICO性暴力救援センター・大阪代表、産婦人科医)

大阪で24時間のホットラインを設置しています。この3年間で1万160件の相談があり、そのなかでレイプ・強制わいせつの被害者が340人です。このレイプ・強制わいせつの加害者の約70%は被害者の知人です。女性との関係性で物理的社会的に優位に立つ男性が性的支配をするというのが性暴力なのです。こうした男性優位を背景とした性暴力と、お金によって女性を意のままにするというのはイコールです。橋下氏は貧困のために風俗で働く女性はいないかのように言っていますが、これも間違いです。独身女性の32%が年間の可処分所得112万円以下という貧困状態にあります。これは20歳から64歳までの女性のデータですから、10代の働く女性はもっとひどい貧困状態にいて、まともな収入が得られないから風俗で働かなければいけないということが多いのです。私たちの相談者の中には貧困のため妊娠していても出産の直前まで風俗で働かざるをえないという女性などがいるのです。こういった現実を橋下氏は知らない。また、橋下氏は日本の風俗は規律があるようなことも言っていますが、レイプ・強制わいせつの被害者340人のうち20人が風俗で働いていてそこで被害を受けているのです。しかも風俗で働いていて被害にあったと言える女性はごく一部です。もともとなかなか声をあげられる状況にないわけです。風俗の決まり以上のことをされたといってもたいていの女性は我慢を強いられているのです。

橋下発言は男性問題
辛淑玉さん(人材育成コンサルタント)
(※辛淑玉さんの発言はレイバーネットのインタビューからです)

橋下発言は女性の問題だけでなく男性の問題でもあります。橋下氏は男性が自分の性をコントロールできない、つまりケダモノなんだと言ったわけですね。それに対して石原慎太郎氏もあっちでもこっちでもやっているのだからなにが文句があるのかという態度なわけです。これに対して男が怒らなければいけません。男は人間なんだと怒らなければいけない。女性手帳じゃなくて男性手帳をつくれと怒らなければいけないと思います。

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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