詰め込み保育で子どもの命を奪う小池百合子氏vs命を育む認可保育園の拡充と保育士の待遇改善で待機児童ゼロの鳥越俊太郎氏/認可外保育園の子どもの死亡事故発生率は認可の35倍(2015年度)

  • 2016/7/30
  • 詰め込み保育で子どもの命を奪う小池百合子氏vs命を育む認可保育園の拡充と保育士の待遇改善で待機児童ゼロの鳥越俊太郎氏/認可外保育園の子どもの死亡事故発生率は認可の35倍(2015年度) はコメントを受け付けていません。

以前、「無認可保育園の子どもの死亡事故発生率は認可保育園の30~45倍、公的保育の民営化・規制緩和が子どもの命を奪い続けている」という記事を書きました。

直近の2015年度の1年間の死亡事故(内閣府資料)は、認可保育所が2人、認可外保育所が9人となっています。認可保育所に通う子どもは約215万人、認可外保育所は約27万人。死亡率を比較すると以下になります。

2÷215=0.0093
9÷27=0.333
0.0093÷0.333=35.8倍

認可外保育所での死亡事故は直近の2015年度で認可保育所の35.8倍も死亡事故が発生する割合が高いのです。

そもそも保育所で子どもの死亡事故が急増した原因は、小泉自公政権下の2001年度以降、「待機児童解消」の名の下に、認可保育所への子どもの詰め込みが強力にすすめられた結果、死亡事故が急増したのです。(下のグラフ参照)

 

これをさらに橋下徹氏によって規制緩和(上図)が進められた「大阪市内の認可外保育所では4月にも、11人の子どもを職員2人で保育中に1歳男児が死亡」しています。

先日(7月20日)、NHKの「あさイチ」で「なぜ続く?保育事故」が放送され、認可外保育所での子どもの詰め込みと保育資格を持たない職員や非正規雇用での劣悪な労働条件、そして職員数が少ないのに保育する子ども数が多過ぎるため下の写真のように、子どもを縛っている認可外保育所などの問題も告発されていました。

000 001

そして、明日投票の都知事選では、小池百合子氏が「(保育所にかかわる)さまざまな制限、広さ制限などを考慮すべきだ」と明言(7月13日の日本記者クラブでの共同記者会見)し、公式サイトの選挙公約でも「広さ制限などの規制を見直す」と明記しています。(下記)

また、「保育士の待遇改善」も小池百合子氏の公約には存在せず、全産業平均よりも月約10万円も賃金が低いことが保育士不足の最大の要因となっているのに、小池百合子氏は「給与という形ではなく、空き家をシェアハウスして直接的な待遇改善を図る」(7月23日の東京・銀座の街頭演説)と訴えています。待遇改善は、都による直接的な給与の改善を実現するのでなく、「空き家の活用」という考えです。それから、小池百合子氏が公約に掲げている「保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制を見直す」にある「保育所の受け入れ年齢」の規制見直しは、2歳までの「小規模保育」の年齢制限も緩和し、3歳になっても認可保育所に転所させず、狭い保育所に押し込めることになります。

こうした「詰め込み保育」のおおもとにあるのは、安倍政権の待機児童解消策です。安倍政権は、小規模保育の定員19人を22人まで拡大し、保育所の広さなど国の最低基準を上回る自治体の基準を引き下げるなど子どもの成長と安全を犠牲にした詰め込み保育政策をいま推進しています。

これに対し、現在、東京の自治体は頑張って抵抗しているのです。(下記「東京新聞」記事参照)

保育緊急対策 23区の大半は独自基準下げず
東京新聞 2016年4月19日付

保育所の受け入れ人数を増やして待機児童解消につなげるため、子ども一人当たりの施設面積を減らすことなどを自治体に求めた国の緊急対策に対し、東京都の二十三区の大半が消極的なことが、本紙の聞き取り調査で分かった。「保育の質を下げるべきではない」との声が上がる。

国は認可保育所の子ども一人当たりの面積や保育士一人が担当する人数について、最低限守るべき基準を決めている。二十三区の多くは、子どもの生活環境や保育士の負担を考え、これを上回る独自の基準を設けている。国は三月に発表した緊急対策で、各施設の受け入れ人数を増やすため、独自基準を下げ、国の基準に近づけるよう求めた。

本紙は二十三区の担当者に、独自基準の引き下げを行うか方針を聞いた。

東京

面積では、独自基準を持つ十五区のうち七区が「予定なし」と回答。「小さな子の安全面を考え、新規増設で対応したい」(板橋区)、「ゼロ歳児を詰め込むと翌年の一歳児が入りにくくなり、待機児童解消の効果はない」(中央区)などの意見が聞かれた。

保育士の配置で独自基準のある二十一区では、九区が「予定なし」とし、足立区は「一歳児は動きはじめるころで、目が離せない」と現場の大変さを訴えた。

「検討中」の区でも、「保育の質を考えると下げたくない」(荒川区)などの声も上がった。

都内では、都が二〇〇五年度までゼロ歳児の保育室面積を五・〇平方メートル(国基準は三・三平方メートル)以上、保育士一人が担当する一歳児を五人(同六人)までとすることを奨励する補助金を出したため、今も国を上回る基準の自治体は多い。

厚生労働省は十八日、待機児童の多い、東北から沖縄までの六十の自治体を集めた会議を開き、緊急対策への意見などを聞いた。二十九の自治体は首長が出席し「緊急でなく、恒久対策を」「選挙対策に終わらせるな」などの声が上がった。

保育士不足には「あまりに給料が安い。大幅な底上げを」と処遇改善を要望した。「(定員を増やすなど)量の議論だけではいけない。国は保育の質も確保しながら進めるという姿勢を見せてほしい」という意見も出た。

 

こうして見てくると、規制緩和で詰め込み保育を公約し、保育士の待遇改善を行わない小池百合子氏がもし都知事になってしまうようなことがあると、東京においても大阪市と同じように、「詰め込み保育」が横行し、子どもたちの命が一層脅かされることになるのは明らかです。

明日の都知事選は、直接的にも、子どもたちの命を守ることができるかどうかがかかった大切な選挙でもあると思います。

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▼関連
◆小池百合子都知事候補の公式サイトに「東京に核ミサイルを」「核武装を」「急げ軍法会議」「少子化の最大の原因は頼もしい男性が減っていること」、そして子どもの命奪う #小池百合子さんの保育政策は危険です
◆小池百合子氏の正体=「社会保障が日本を危なくする」と言い侵略戦争肯定で1ミリの領土のため国民の血流す改憲めざしヘイトスピーチ連発の極右政治家、辺野古基地反対の沖縄を蔑視、夫婦別姓反対、女性は自助の精神養え
◆小池百合子氏:全国最低出生率の東京で子どもを産み育てやすくする政策は「意識改革が一番」「人生の目的を問う」=公的保育・社会保障の充実は東京を危なくするというのが小池百合子氏の政治家としての信念
◆女性・子ども・都民の暮らしを破壊する核武装都市ねらう小池百合子氏vs平和と暮らし守る非核都市で女性・子ども・障害者に優しい東京つくる鳥越俊太郎氏

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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