増田寛也氏は半年前まで「東京では結婚も子育ても介護も『支え手はいない』ので“現代版姥捨て山”となる地方移住をしなければ介護破綻と人口急減で『東京消滅』だ」と繰り返し主張していた

  • 2016/7/25
  • 増田寛也氏は半年前まで「東京では結婚も子育ても介護も『支え手はいない』ので“現代版姥捨て山”となる地方移住をしなければ介護破綻と人口急減で『東京消滅』だ」と繰り返し主張していた はコメントを受け付けていません。

増田寛也都知事候補は、上記にあるように『東京消滅――介護破綻と地方移住』(2015年12月刊)や『地方消滅――東京一極集中が招く人口急減』(2014年8月刊)という書籍を世に送り出しています。「地方移住しなければ介護破綻となり『東京消滅』だ」と言って来た人物が東京都知事の候補者になるというブラックジョークのような話ですが、これらの書籍にかかわって、増田氏本人がいくつかのマスコミでインタビューを受けていますので、増田氏本人の弁からその真意を教えてもらいましょう。

子育て環境の悪い東京に人口が偏る「極点社会」「ブラックホール現象」
東京で超高齢化社会が始まり、東京は急速に都市としての力を失う

 

(私が問う 2014衆院選)増田寛也さん 人口減少を招く、東京一極集中
朝日新聞 2014年12月5日付

私が座長を務める日本創成会議は5月、2040年までに豊島区など全国の896自治体が、「消滅可能性都市」になると、指摘しました。子どもを産む中心世代の20~39歳の女性が半減するからです。

人口減少の原因は、「東京一人勝ち」です。地方の若者を東京が吸い取る「ブラックホール現象」が起きる。その先には、子育て環境の悪い東京に人口が偏る「極点社会」がある。

極点社会では、東京の一人勝ちも長くは続きません。人口の供給源の地方で若者がいなくなるからです。そして、東京で超高齢化社会が始まる。東京は急速に都市としての力を失うでしょう。

都や豊島区が膨大な予算をかけて子育て環境の改善に取り組んでいることは評価しますが、人口減少に歯止めをかけるのは至難の業です。一番の問題は地価の高さ。保育施設や公園を造るのにお金がべらぼうにかかる。取り組みはどこまで長続きするか。

東京への流出を止める地方中核都市が必要です。そこに、移せる東京の機能は移していく。例えば、消防大学校や税務大学校などの研修機能です。行政が先鞭(せんべん)を付けることで、企業の研修所の移転も進む。地方で宿泊が増えれば地方経済の活性化にもつながります。

東京は、海外からかせぐという意味で一人勝ちをすればいいが、国内的には人口や税金の分配の話が重要です。東京一極集中が人口減を招く、その不都合な真実についても、衆院選の都内の候補者は語る時です。

ますだ・ひろや 東京都生まれ、建設省などを経て1995~2007年、岩手県知事を務める。07~08年、第1次安倍政権などで総務相。09年から野村総合研究所顧問。

――上記のインタビューで増田寛也氏が言っているのは、ようするに、保育施設など子育て環境を改善するのは東京では困難なので地方に中核都市をつくって移動しないと「東京消滅」「地方消滅」だということですね。増田氏こそ、こう言っていた「不都合な真実についても」、都知事選の「候補者」として「語る時です」ね。

 

急速に高齢化が進む東京は地方で老後を

 

[日本2020]人口減社会 識者の眼 増田寛也氏
読売新聞 2014年4月13日付

東京にも危機

東京一極集中が人口減少の主因だ。全国から多くの人が首都圏を目指し、そこで疲れ果て、孤独に年老いていく。そうした人生の形を量産する価値観が、日本の人口減少の背景に横たわっている。地方から東京など首都圏に人口が吸い寄せられたあげく、東京自身もまた、衰退の危機に直面している。私はこの状況を「人口のブラックホール現象」と名付けた。

東京が全国の若者をどんどん吸収して活力を高め、発展を受け継ぐ次世代を生み出していく――というのなら、国力を維持する策として、あり得る選択肢かもしれない。しかし、東京には望ましい子育て環境がないため、出生率は著しく低い。

職場は忙しく、長時間通勤で、男性は家庭を顧みない。女性には仕事か出産かの選択を迫る。子供を産んでも身近に頼れる人はなく、認可保育所はいっぱいだ。こんなに大変なら2人目はもういらない、となる。そうした姿を見た次の世代は結婚もしない。都会は単身者には便利だから。

さらなる問題は、この先だ。人口ブラックホールの行く末を考えてみよう。

首都圏では単身高齢者が大変な勢いで増え、介護などに多くの若い人手が必要になる。医療・介護業界は超高齢社会の有望ビジネスではあるが、東京での医療・介護ビジネスの拡大は、地方にもう一段の人口流出を促し、いわばトドメを刺す。30年後には500以上の自治体が、ほとんど消滅する。もはや人材は得られず、東京も――。

老後は地方に

予測を覆すには、まず東京へ向かう人口の流れをせき止めるダムが要る。若者を引きつける魅力のある拠点都市。そこに投資と施策を集中する。ただし一方で、消えてしまう自治体が出ることも避けられない。

急速に高齢化が進む東京は、地方で老後を送ってもらえるように政策的な工夫が必要だ。地方では高齢化が一山越えると、介護施設などのインフラに余裕が出てくる。東京の高齢者を受け入れることで、地方での医療・介護ビジネスが拡大し、雇用を創出できる。

――上記のインタビューで増田寛也氏が言っているのは、ようするに、最初から認可保育所の拡充など東京では望むべくもなく子育てどころか結婚もできない「単身高齢者が大変な勢いで増え」た上に、東京での介護増大は地方を“姥捨て山”にしない限り、東京にも地方にも「トドメを刺す」=「東京消滅」「地方消滅」となるということですね。

 

「東京の高齢者の生活は成り立たなくなる」「支え手はいません」

 

【話の肖像画】日本創成会議座長・増田寛也
産経新聞 2014年9月18日付

地方への人口逆流運動を

人口が減った地方は疲弊し、人口が密集した東京でも良い生活があるわけでもない。特に高齢者の生活は成り立たなくなります。東京には待機介護高齢者が今でも4万3千人もいて、11年後には10万人まで増えるとされる。支え手はいませんよ。

このままでは人間の知恵で豊かな老後を迎える国からはほど遠い国になってしまう。東京オリンピックまではいいけど、浮かれていると大変です。そのために、地方への人口逆流運動を起こしたい。

――上記のインタビューで増田寛也氏が言っているのは、ようするに、東京の高齢者は地方を“姥捨て山”にしない限り、「高齢者の生活は成り立たなくなる」ということですね。

 

「東京は周辺から人口を吸い取り、やがて自滅するブラックホール」

 

【話の肖像画】日本創成会議座長・増田寛也
産経新聞 2014年9月15日付

自治体消滅、東京はブラックホール

昨年の合計特殊出生率(全国1・43)をみると、沖縄1・94、宮崎1・72と「2」に近い県がある一方、東京は全国最低の1・13です。上海、ソウルやシンガポールなどの例からも人口密集地域では子供を産み育てにくい。家賃は高く家は狭い。東京は周辺から人口を吸い取り、やがて自滅するブラックホールです。

――上記のインタビューで増田寛也氏は、東京というのは子どもを産み育てられない「自滅するブラックホール」だと断言しているわけですね。

以上が、増田寛也氏本人の弁です。増田氏は繰り返し、東京では子育ても結婚もできないから地方移住=“現代版姥捨て山”を出現させない限り、「東京消滅」「地方消滅」となると言っているわけです。(※そもそもの増田レポートの本質については、すでに「増田レポート「自治体消滅」論のトリック=構造改革による人口減少を逆手に小さな自治体の「あきらめ」狙う|岡田知弘京都大学教授」で紹介していますので、ぜひ読んでください)

こうして、増田寛也氏は、都知事候補になるまでは、さんざん東京では保育など子育て環境の改善も介護の改善も不可能なので地方移住=“現代版姥捨て山”を出現するしかないと言ってきたわけです。『東京消滅――介護破綻と地方移住』が2015年12月刊ですから、半年ほど前まで東京では認可保育所の拡充も介護問題の改善も不可能と断言してきたのに、都知事選に立候補した途端、突如として、下記のように「お年寄りも子供も安心できる東京の実現」が可能と言い出しているのです。

増田寛也氏「原発再稼働はやらなければならない」
岩手県知事時代は舛添氏と同様「ファーストクラスで年間100日以上も出張三昧」「無駄な公共事業の乱発で借金2倍増」

加えて、以下のように「原発再稼働」が必要だと言う増田寛也氏。東京電力の社外取締役(※2年間ほどでおそらく2千万円以上の報酬を受け取っていたとみられる)をつい最近までつとめていたり、舛添氏並みに岩手県知事時代にファーストクラスを愛用し、年間100日以上も出張した上に岩手の借金を2倍にしたというトンデモな実績がたくさんあることも最後に指摘しておきます。

 

<考論>川内再稼働――私はこう見る 増田寛也さん
朝日新聞 2015年8月12日付

いまの選択肢では、原発を動かしていくほかにない。エネルギー状況を冷静に見ると、事故から4年がたって、電気料金が家庭用で25%、産業用で40%近く上昇した。温室効果ガスの排出量も著しく増えている。これをずっと続けていくのは難しい。省エネが進んで、電力に余裕があるじゃないかという意見はあると思う。私は電力会社の体力もぎりぎりにきているし、この先電気料金を下げなければ、じわじわと企業活動に影響が出てくるのではないかと懸念している。データをみるとやはり、再稼働はここでやらなければならない。

 

増田寛也氏 社外取締役だった「東京電力」との本当の関係
日刊ゲンダイ 2016年7月16日

告示直前の7月8日まで、東京電力の社外取締役を2年以上、務めていた。常勤でないため、ほとんど出社する必要がないにもかかわらず、多額の報酬を受け取っていた疑いがもたれているのだ。原発推進派だから東京電力が就任を要請したのか、それとも安倍官邸が“食い扶持”を与えるために押し込んだのか、就任した経緯も明らかにされていない。

東京電力の広報はこう言う。

「社外取締役に就任したのは、2014年6月です。就任の経緯は公表していません。報酬は、社外取締役6人に対して年間6200万円ですが、増田氏にいくら払ったかは公表しません」

増田氏は取締役を選ぶ「指名委員会」の委員長に就いたほどだから、他の5人の社外取締役より多額の報酬を受け取っていた可能性も高い。

「自民党は増田さんが岩手県知事を3期12年務めたキャリアを売り物にするつもりでした。ところが、知事時代にファーストクラスを愛用し、年間100日以上も出張していたことが分かった。そのうえ、無駄な公共事業をバンバン乱発し、1兆4000億円という巨額な負債を残した。負債は就任前の2倍に膨らんでいました。さすがに県議が責任を追及し、退職金の返還を求めたが、本人は平然と3900万円を手にしている。県知事時代の“負の実績”がネットで広がり、いまやワイドショーのコメンテーターまで『借金2倍男』と揶揄しています」

 

 

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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