- Home
- 経済・税財政, 貧困と格差, 雇用・労働法制
- アベノミクスの3年で富裕層は1.4倍増と先進国トップ、貯蓄ゼロ世帯は1.3倍増(425万3千世帯増)、先進国で日本だけ賃下げ、非正規増の生活苦で144万人が「食事の回数減らし」、89万人が「医者にかかれなかった」
アベノミクスの3年で富裕層は1.4倍増と先進国トップ、貯蓄ゼロ世帯は1.3倍増(425万3千世帯増)、先進国で日本だけ賃下げ、非正規増の生活苦で144万人が「食事の回数減らし」、89万人が「医者にかかれなかった」

安倍首相が自民党CMで、「日本は今、前進しています。雇用も、所得も。全国で大きく改善しています。止めてはいけないこの流れを。前進か、後退か。停滞したあの時代に後戻りさせてはならない。私達は結果を出していきます。この道を。力強く、前へ。」と言っています。
安倍首相が言う通り、日本で「前進」し「大きく改善」しているものがありますので紹介しておきます。
以前、「アベノミクスの1年で日本の富裕層増加率22.3%は世界一、ワーキングプアは30万人増加」の記事の中で紹介した、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)とキャップ・ジェミニの「ワールド・ウェルス・レポート」の最新版(2016年版)によれば、日本で100万ドル(約1億円)以上の投資可能資産を持つ個人富裕層の人口は、以下のグラフにあるように、2014年から2015年にかけて11%も増えています。これは、中国を除けばトップの増加率ですから、日本の富裕層は先進国の中ではいちばん増えていることになります。
以下は、過去の「ワールド・ウェルス・レポート」のデータから作ったグラフです。日本の富裕層人口は、2012年の190万2千人から2015年の272万人へ、アベノミクスの3年間で1.4倍増、81.8万人も増えているのです。
一方、下のグラフにあるように、貯蓄ゼロ世帯は1.3倍増、425万3千世帯も増えています。(※これは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」の貯蓄ゼロの二人以上世帯と単身世帯の割合に、厚生労働省「国民生活基礎調査」のそれぞれの各年の世帯数を掛け合わせて出した数字です。ただし、2015年の世帯数はまだ公表されていませんので、2015年だけは2014年の数字を使っています)
上記の2つのグラフを合わせて作ってみたのが以下のグラフです。見て分かる通り、貯蓄ゼロ世帯の増加と富裕層人口の増加が符号しています。
それから、下のグラフにあるように、アベノミクスで年間報酬1億円以上の大企業役員数も1.4倍増です。
一方、下のグラフにあるように、アベノミクスでワーキングプアは49.2万人も増加しています。(2015年の数字はまだ公表されていません) そして、世界で日本の労働者の賃金だけ下がっています。
そして、アベノミクスで非正規労働者数・率は過去最大となり、144万人が生活苦で「食事の回数減らし」、89万人が「医者にかかれなかった」という状況が広がっているのです。
冒頭の安倍首相の言葉は次のようにするのが正しいことになります。
「日本は今、富裕層だけが前進しています。富裕層の所得が大きく改善しています。止めてはいけないこの流れを。前進か、後退か。富裕層が停滞したあの時代に後戻りさせてはならない。私達は富裕層だけのために結果を出していきます。この道を。力強く、前へ。」