産経新聞社長と中曽根元首相が慰安所づくり自慢「女の耐久度、どこの女がいい悪い」「3千人のための慰安所をつくってやった」

  • 2015/8/14
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[※上の画像は、鹿内信隆・櫻田武著『いま明かす戦後秘史 上巻』(サンケイ出版)より]

(※この記事は、2014年9月9日に書いたものです)

「産経新聞」が「産経 史実に基づき報道」「朝日よ、『歴史から目をそらすまい』」という大きな見出しを付けた「PR紙」を配布しています。

そして、「主張」でも次のように書いています。

《誤りは逐次正すべきだ》 (中略)取材などで事実が判明すれば、その都度、記事化して正し、必要があれば訂正を行うのが当然の報道姿勢ではないのか。 (中略) 《事実が日韓の信頼築く》 (中略)事実を重ね歴史認識を正しく伝えることが長期的に日韓両国の信頼につながる(中略)菅義偉官房長官は「客観 的事実に基づく正しい歴史認識が形成されることを望んでいる」とした。その通りである。事実を歪(ゆが)めては国際的な信用は得られない。
出典:産経新聞8/6付主張 朝日慰安婦報道「強制連行」の根幹崩れた

「産経新聞」の編集長は、次のように書いています。

朝日への批判がやまないのは、虚偽報道によって日本を貶(おとし)めたことへの反省がまったく感じられないからでしょう。「もっと前に謝っておけば…」と ある朝日記者が嘆いていますが、後の祭り。小紙も他山の石とし、真摯(しんし)な報道に努めていきます。(編集長 乾正人)
出典:産経新聞9/8付編集日誌「○○への批判やまぬワケ」

以上のような「産経新聞」の記事は、朝日新聞への常軌を逸した誹謗中傷の部分には賛同できませんが、「取材などで事実が判明すれば、その都度、記事化して正し、必要があれば訂正を行うのが当然の報道姿勢」であり、「事実を重ね歴史認識を正しく伝えることが長期的に日韓両国の信頼につながる」ので、「小紙も他山の石とし、真摯(しんし)な報道に努めてい」くというのは、まっとうだと思います。

そこで、直接には「産経新聞」の報道ではありませんが、産経新聞社社長・フジテレビ社長・フジサンケイグループ会議議長・フジサンケイグループ最高顧問を歴任し、フジサンケイグループを築いた人物による「サンケイ出版」による発表ですから、十分に「歴史から目をそらすまい」とした「産経新聞」社社長が「史実に基づき」発表したものと考えていいと思いますので、以下紹介します。

上の画像は、鹿内信隆氏と櫻田武氏の著書となる対談本『いま明かす戦後秘史 上巻』(サンケイ出版、1983年11月30日発行)の40~41ページです。この本にある「対談者略歴」によると、出版当時の肩書きは、鹿内信隆(しかないのぶたか)氏が、サンケイ新聞社社長・フジサンケイグループ会議議長・ニッポン放送取締役相談役・フジテレビ取締役相談役・「彫刻の森美術館」館長で、櫻田武氏は日経連名誉会長・政府の財政制度審議会会長・国鉄諮問委員会委員長とあります。

上の画像にあるように、「慰安所の開設」について、陸軍経理学校で学んでいたと鹿内氏は語っています。テキストに書き起こすと以下です。

鹿内 (前略)軍隊でなけりゃありえないことだろうけど、戦地に行きますとピー屋が……。
桜田 そう、慰安所の開設。
鹿内 そうなんです。そのときに調弁する女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか、それからムシロをくぐってから出て来るまでの“持ち時 間”が将校は何分、下士官は何分、兵は何分……といったことまで決めなければならない(笑)。料金にも等級をつける。こんなことを規定しているのが「ピー 屋設置要綱」というんで、これも経理学校で教わった。この間も、経理学校の仲間が集まって、こんな思い出話をやったことがあるんです。

【鹿内信隆・櫻田武著『いま明かす戦後秘史 上巻』(サンケイ出版、1983年11月30日発行)40~41ページより】

陸軍経理学校において、「慰安所の開設」のノウハウを事細かく教え込まれていたことを、「産経新聞社社長」が証言しているのです。この産経新聞社社長の証言とは真逆のことをつい先日も「産経新聞」は、「正論 実体のない「従軍」冠した罪重い」という記事の中で次のように報道しています。

「従軍」は「従軍看護婦」などのように軍と公的な関係を持つ人々に関わる冠辞である。そのような実体を有しない人々を指す「従軍慰安婦」なる呼称 は、戦後のある時期から使われ始めた通俗的な用語であるから、公文書で用いたり学術用語として使用したりすることなど極力避けるべきである。「従軍」と冠 せられたがゆえに「強制連行」という動詞に容易につながる結果を招来したとも考えられるから、河野談話そのものの撤回を強く求めるゆえんである。

出典:産経新聞8/20付正論  実体のない「従軍」冠した罪重い 国学院大学名誉教授・大原康男

ようするに上の報道は、「慰安婦は日本軍とは公的な関係はないのに従軍慰安婦などという用語を使うから問題がいろいろ起こるのだ」と言いたいわけですね。これは、産経新聞社社長だった鹿内氏の証言とはまったく真逆です。鹿内氏は、「慰安所の開設」について、現地で調達し「慰安婦」にする女性の「耐久度」や「消耗度」からはじまって、「どこの女がいいとか悪い」とか、そして、等級による“持ち時間”や料金の規定にいたるまで事細かく陸軍経理学校の授業で勉強していたと証言しているのですから、「慰安婦は日本軍とは公的な関係はない」などと言えるわけがないのです。この真逆の証言に対して、「産経新聞」は、現在の編集長が言っているように、どちらが「捏造」「ウソ」「虚偽報道」なのか、「正確な史実を内外の人々に知ってもら」うために、「事実が判明すれば、その都度、記事化して正し、必要があれば訂正を行うのが当然の報道姿勢」ですから、自らの言葉に責任を持って現在の「産経新聞」の乾正人編集長は、「記事化して正」すべきでしょう。そうでなければ、朝日新聞を批判する資格が「産経新聞」にはそもそもないということになると思います。

それから、上の画像は、松浦敬紀著『終りなき海軍』(文化放送開発センター出版部、1978年6月15日発行)の90ページと98ページの画像です。ここでは、中曽根康弘元首相が戦時中に23歳で3千人の総指揮官だったことを自慢した上で、その3千人の大部隊のために、「私は苦心して、慰安所をつくってやった」と証言しているのです。3千人の総指揮官だった中曽根元首相が「慰安所をつくってやった」と証言しているのに、「慰安婦は日本軍とは公的な関係はない」などと2014年の8月20日に報道している「産経新聞」こそ、「歴史から目をそらし」「史実に基づかない報道」をしている新聞なのではないでしょうか。こうした「産経新聞」の報道で「事実を歪(ゆが)めては国際的な信用は得られない」でしょう。

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井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学教職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員(教宣部長)、労働運動総合研究所(労働総研)理事、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者、日本機関紙協会常任理事(SNS担当)、「わたしの仕事8時間プロジェクト」(雇用共同アクションのSNSプロジェクト)メンバー。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)があります。

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