地球表面積の0.3%弱の日本に地球上で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が集中=地震・津波・火山列島の日本で原発の安全性を確実にすることは不可能、そして日本列島全域が大地震の活動期へ

  • 2016/4/18
  • 地球表面積の0.3%弱の日本に地球上で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が集中=地震・津波・火山列島の日本で原発の安全性を確実にすることは不可能、そして日本列島全域が大地震の活動期へ はコメントを受け付けていません

内閣府『防災対策白書』からです。

我が国は,その位置,地形,地質,気候等の自然的な条件から,暴風,竜巻,豪雨,豪雪,洪水,崖崩れ,土石流,高潮,地震,津波,噴火,地滑り等による災害が発生しやすい国土となっている。世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約2割が我が国周辺で発生しているほか,分かっているだけでも約2,000の活断層が存在している。さらに,世界の活火山の約7%にあたる110の活火山が分布している。

『防災対策白書』2013年版(※地図は2015年版)

 

そして、立石雅昭新潟大学名誉教授のツイートと、石橋克彦神戸大学名誉教授の指摘を紹介するツイートです。

石橋克彦神戸大学名誉教授の指摘は、国会議事録を検索すると参考人としての発言をいくつか読むことができますので、その一部を以下、紹介しておきます。

地震、津波、火山列島の日本で原発の安全性を確実にすることは不可能

▼2013年4月8日 衆議院 原子力問題調査特別委員会
石橋克彦参考人

今後の原子力発電所の運転につきましては、ほとんど全ての方が、安全性をしっかり確認してという趣旨のことをおっしゃいます。

しかしながら、私は地震の研究をしている者なんですけれども、地震、津波、火山列島であります日本におきましては、原発の安全性を確実に確認するということは、残念ながら不可能だと思っております。なぜならば、現在の科学をもってしては、いつ、どこで、どのような地震が起こるか、それによって、ある原発がどのような地震の揺れ、あるいは津波に襲われるかということを確実に予測することは不可能だからであります。これは、火山噴火についても同様であります。

ですから、必要に迫られて原子力発電所を運転するのであれば、気休め的にその安全性を確認したというのではなくて、万々が一大変なことが起こるかもしれないけれども、必要だから今動かしましょうということを国民全員が納得して合意するということが基本である、肝要であると思っております。

地球の表面積の0.3%弱の日本に実に地球の全地震の約10%が集中

▼2011年5月23日 参議院 行政監視委員会
石橋克彦参考人

そもそも日本列島は、地球上で最も原発建設に適さない場所です。資料五というのに一枚紙で地図がありますけれども、これ、世界中の地震をプロットしますと、地球上では地震というのは線状ないしはベルト状に起こっているわけですけれども、非常に活発な地震活動のベルトの中に日本列島は全域がすっぽり入ってしまうわけです。これが、面積でいいますと、日本の国土とそれから領海と排他的経済水域の一部を合計した場合、地球の表面積の0.3%弱ですけれども、その範囲内に実に地球の全地震の約10%が集中しています。

こういうところには、そもそも原発は造るべきではないのです。それはもう欧米では常識なことです。ドイツやアメリカの原子炉の規制の条件、それから、現実に日本だったらごみみたいな活断層が問題になって原発が閉鎖されたというような実例を見ても、もしフランス人やドイツ人が日本列島に住んでいれば、彼らは絶対にこんなところに原発は造らないであろうと。もう常識的なことです。日本が異常なんだと思います。

省略しましたけど、レジュメに書いてあります(1)から(4)まで、非常に基本的な原発とそれから地震に関する条件というものがありまして、そういうことを考えれば、地震列島における原発は、制御された安全の範囲で大丈夫だから運転しようというのでは困るのです。先ほど後藤さんのお話にもありましたけれども、それでは困る。本質的な安全でなければ日本列島の上に住んでいる人間にとってはもう全く不幸であって、本質的安全というのは原発が存在しないことであると思います。

これに関して、一番最後にあります資料五の追加という漫画がありますけれども、これは昨日、思い付いて急いでかいたんですけれども、もうこういうことでもかかなければ余りにも分からない。特に経済界の人、あるいは政治、行政、そういう話を聞いている一般国民、どうもまるで分かっていないらしいというのでかきました。

原発というのは、本質的には世界中で同じ問題を抱えています。これは、小出さん、後藤さんから御説明があったような深刻な問題があります。ですけれども、私、地震学をやっている人間として、現実的なことを考えると、やっぱり日本の原発はフランスやドイツやそういうところの原発とは違うんです。何が違うかというと、日本の原発は地震付き原発であると。フランスやドイツと同じ原発があって、それを日本列島に建てた場合、たまたま近くで地震が起こるかもしれませんよなんというそんな生易しいものではなくて、もう日本の原発が全て、まるでおんぶお化けみたいにこうやって地震がくっついているわけで、地震とセットになってあるわけです。ですから、地震付き原発なんていうものはあっては困ると、そういうことであります。

したがいまして、今後、新設、増設というのはやめてほしい。建設計画中のものもやめるべきでしょう。耐震設計審査指針に不備がある可能性が非常に高いとさっき言いましたけれども、現に今不備がある、その基準地震動の策定に不備があるわけで、それを再改定しなければいけないというような議論もありますけれども、もうその新設、増設をしなければ設置許可のための指針というのは要らなくなるわけで、私としては、むしろリスク評価のための指針あるいは安全運転を管理する保安のための指針というものを厳重に作り直した上で、早急に第三者機関を設立して日本列島の全原発に関してリスク評価をして、順位付けをして、リスクの高いものから順に今あるものも閉鎖していくということを真剣に考えなければいけないと思います。

現在、日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入りつつある

▼2005年2月23日 衆議院予算委員会公聴会
石橋克彦公述人

神戸大学都市安全研究センターの石橋と申します。よろしくお願いいたします。

私は地震の研究をしておりますが、その立場から、迫りくる大地震活動期は未曾有の国難であるというテーマで、それを賢明に乗り切るためには、地震対策、地震防災対策というような技術的あるいは戦術的な対応では到底しのぎ切れなくて、私たちの国土あるいは社会経済システムというものの根本的な変革が必要ではないでしょうかという意見を述べさせていただきたいと思います。

日本列島の大地震の起こり方には、活動期と静穏期というのが認められます。これは地学的、物理的に根拠のあることであります。非常に重要なことは、敗戦後の目覚ましい復興、それに引き続きます高度経済成長、さらには、人類史上まれに見る技術革新の波に乗って都市が非常に利便性を高めた、高度化、高度に集中した都市が発展した、それで日本の現在の繁栄がつくられたという、これは、たまたまめぐり合わせた日本列島の大地震活動の静穏期に合致していたということであります。つまり、大地震に洗礼されることなく現代日本の国土や社会というのはでき上がっているのでありまして、基本的に地震に脆弱な面を持っております。

ところが、現在、日本列島はほぼ全域で大地震の活動期に入りつつあるということは、ほとんどの地震学者が共通に考えております。ということは、非常に複雑高度に文明化された国土と社会が言ってみれば人類史上初めて大地震に直撃される、それも決して一つではない、何回か大地震に襲われる、そういうことであります。したがいまして、これは大げさでなくて、人類がまだ見たこともないような、体験したこともないような震災が生ずる可能性が非常にあると思っております。

地震という言葉と震災という言葉が普通ごっちゃに使われておりますけれども、私が地震と言っておりますのは地下の現象です。地下で岩石が破壊する、これが地震であります。これは自然現象でありまして、よくも悪くもない、日本列島の大自然として淡々と起こっている。我々が日本列島に住むはるか前から地震はそうやって起こっているわけです。

震災というのは、それに対しまして社会現象であります。地震の激しい揺れに見舞われたところに、我々の社会あるいは文明があるときに生ずる社会の災害でありまして、社会現象だと思います。

将来、具体的にどういう震災が起こるだろうかと考えてみますと、言ってみれば、広域複合大震災とでもいうべきもの、それから長周期震災、超高層ビル震災とかオイルタンク震災とでもいうべきもの、それからもう一つ、原発震災とでもいうべきものが将来起こり得ると私は考えております。

それぞれがどういうものかは、近未来の日本列島の地震情勢に即してもう少し御説明したいと思います。

近未来の日本列島の地震情勢を簡単に言いますと、駿河湾から御前崎沖、遠州灘あたりの非常に広い範囲の地下ですぐ起こってもおかしくないと思われているのが東海巨大地震であります。その西、熊野灘では東南海地震、それから、紀伊水道、四国沖では南海地震という巨大地震がもうそろそろ射程距離に入ってきた。今世紀の半ばごろまでにはほぼ確実に起こるであろうと考えられています。2年ぐらい前ですか、特別措置法もできたわけです。東海地震に関しては、一九七八年に既に大規模地震対策特別措置法ができております。

場合によりますと、すぐ起こってもおかしくないと思われている東海地震が少し先送りされて、つまり、大地が頑張ってしまってすぐには起こらないで、東南海地震と一緒に、1854年に安政東海地震という非常な巨大地震がありましたが、そういうものが起こるかもしれない。その場合には、引き続いて南海地震が起こるかもしれない。1854年の場合には、12月の23日に東海地震がありまして、翌日24日、わずか30時間を隔てて南海巨大地震が起こりました。それから、1707年にはこの両者が同時に起こりました。そういうことも今世紀半ばにあるかもしれません。

一方、首都圏に目を移しますと、首都圏直下の大地震は、これはマグニチュード7クラスの大地震と思われていますが、これは幾つか地下の候補地がありまして、これもいつ起こっても不思議ではないと考えられております。中央防災会議が昨年の12月に被害想定を発表したところであります。

しかし、過去の例で言いますと、1854年の場合には、安政東海・南海巨大地震が起こったその翌年、1855年に安政江戸地震という直下地震が起こって、江戸に大変な被害をもたらしています。将来もそういうことがあり得ると思います。つまり、東海地震が起こってじきに、その年か翌年か2、3年後かわかりませんけれども、首都圏直下で大地震が起こる、そういうこともあり得ると思います。

さらに、こういう東海・南海巨大地震に先立つ数十年間、内陸でも大地震が幾つか起こる。既に、神戸の地震、それから昨年の新潟県中越地震はこういうものの仲間であっただろうと考えられております。

その震災、災害の方でありますけれども、東海地震が起こりますと、もし1854年と同じような、駿河湾の奥から熊野灘ぐらいまでの地下で非常に広大な断層面が破壊するという巨大地震が起こりますと、まず、阪神大震災と中越震災があちこちで、随所で同時多発するというようなことが起こります。つまり、沼津、三島あたりから尾鷲ぐらいまでの各都市で都市型の震災が起こるわけです。

それと同時に、山地でも山地災害が起こる。内陸、甲府盆地とか諏訪湖の周辺とか、場合によったら北陸とか、そういうところも非常に激しく揺れまして、そういうところでも激しい災害が生ずると考えられます。

さらに、この場合には大津波が生ずるわけです。房総半島から尾鷲のあたりまでは大津波です。特に相模湾から尾鷲のあたりまでは非常な大津波で、海岸の地形や何かによっては、あのインド洋の大津波に匹敵するようなことが起こる場所もあるかもしれません。というわけで、これらは広域複合大震災と言ってもいいものだと思います。

二番目に、巨大地震というものが起こりますと、これは地下で地震の波を出す領域が非常に大きいために、非常にゆったり大きく揺れる長周期の地震波というものを放出します。これはもう物理的に必ず放出します。それが少し離れたところへ伝わると、例えば東京湾の地下構造、伊勢湾の地下構造、それから大阪湾の地下構造、そういうことの影響でさらにそのゆったりした揺れが増幅されて、さらに、その受け皿の関東平野、濃尾平野、大阪平野、そういうところが、ゆっくりとですけれども、非常に激しく大きく揺れます。これを長周期の強震動、強い震動と言います。これは、超高層ビルや大規模なオイルタンクやそれから長大橋、そういうものに大きな影響を与えます。

超高層ビルが最近の都市再生というような政策によってどんどん建てられておりますけれども、最近の超高層ビルは、制震装置というようなものを備えて揺れを抑えると言われていますけれども、まだ実際の長周期強震動に洗礼されたことはありません。ですから万全かどうかわかりません。まして、例えばバブル期にコストを切り詰めて建てられた超高層マンションなんというのはかなり危険性が高いと思います。

最近シミュレーションなんかも行われていますが、上の方の階は非常に予想外に大きく揺れまして、家具の滑動、ピアノとか家具とか大きなテレビとかがもうすっと滑って、思いがけなく上に住んでいる人を押しつぶすというようなことで、人的被害も起こり得ます。さらには、致命的な構造的な被害も生ずるでしょうし、また、設備がやられますので、エレベーターが動かない、水が出ない、トイレが使えないということで、上に人は住んでいられない。

ですから、超高層マンションや何かが林立して、非常に都市空間が有効に活用されていると思っていても、その地震の場合には、結局、住民は全部下へおりてきて、ブルーテントを張って地べたで避難しなければならないということが起こり得ます。さらには、その構造物自体が損傷するかもしれない。

また、石油コンビナートのオイルタンクなんかも、その長周期の揺れによってオイル火災を起こす。これは、おととしの9月26日の十勝沖地震のときに、苫小牧でオイルタンクの火災が発生して俄然問題になりましたけれども、こういうことが起こることはもうずっと前からわかっていることであります。

これが、超高層ビル震災とかオイルタンク震災と言ってもいいような長周期震災であります。オイルタンクの火災、コンビナートの火災は、火のついた油を乗っけた海水が津波によって市街地に遡上して、市街地に延焼火災を誘発するというようなことも起こるかもしれません。

三番目の原発震災ということでありますが、これは私が1997年につくった言葉ですけれども、東海地震の場合、東海地震の予想震源域という、地下で地震波を放出すると考えられている領域の真上に中部電力の浜岡原子力発電所がありまして、ことしになって5号機が動き始めました。既に4号、大分年を経た4号までも動いているわけです。

日本の場合53基の原子炉が今ありますが、地震には絶対安全だということになっております。それから中部電力も、浜岡の原発は東海地震には絶対耐えられるとおっしゃるわけですけれども、地震学的に見ますと、いろいろ疑問点はあります。想定の地震、あるいは地震の揺れがまだ不十分なのではないかというようなことです。

アメリカでは、地震というのは原子力発電所にとって一番恐ろしい外的要因であるというふうに考えられています。といいますのは、普通、原発の事故というのは単一要因故障といって、どこか一つが壊れる、その場合は多重防護システムあるいはバックアップシステム、安全装置が働いて大丈夫なようになるというふうにつくられているわけですけれども、地震の場合は複数の要因の故障といって、いろいろなところが震動でやられるわけですから、それらが複合して、多重防護システムが働かなくなるとか安全装置が働かなくなるとかで、それが最悪の場合には、いわゆるシビアアクシデント、過酷事故という、炉心溶融とか核暴走とかいうことにつながりかねないわけであります。

浜岡原子力発電所も、600ガルという強い地震の揺れに耐え得るから絶対大丈夫だと中部電力は言っておりましたけれども、ことしの1月28日には社長さんが記者会見されまして、念のために千ガルという揺れまで耐えるように耐震補強工事をしますということになりました。ですから、どこまで丈夫にしたら大丈夫なのかということははっきりしているわけではございません。

万々が一、ここで東海地震によって浜岡原発が大事故を起こしまして、大量の核分裂生成物、炉心にたまっている核分裂生成物が外部に放出されますと、これは、例えば浜岡の3号機が110万キロワットの発電能力を持っていますけれども、そういう原子炉を一年間運転すると、広島型原爆700発から千発分ぐらいのいわゆる死の灰が炉心にたまると言われております。そういうものの何%か何十%か、事故によって随分違いますけれども、そういうものが放出されますと、要するにチェルノブイリの原発事故のようなことが起こる。それで、近くに住んでいる住民は急性放射線障害、放射能障害によってすぐ死ぬ。それからやや離れたところでも、パーセンテージが減っていくだけで、そういうことが起こる。

さらに、放射能雲、死の灰の雲が、御前崎の場合は南西の風が吹いていることが多いんですけれども、その場合には、清水、静岡、沼津、三島、そういうところを通って箱根の山を越えて、神奈川県、それで首都圏にも流れてくる。これは気象条件、風の速さなんかによりますけれども、12時間ぐらいすると首都圏にもやってくる。それで、雨が降ったりしますと、放射能がその雨粒について降ってくるわけです。

私が原発震災といいますのは決して地震による原発の事故という単純な意味ではありませんで、仮に、東海地震によって新幹線が脱線、転覆するとか、建物がいっぱい倒れる、燃える、そういうことで1万人の方が亡くなるとします。地震ではないときに、平常時に仮に、万一浜岡で大事故が起こったときに、放射能で近隣住民が千人死ぬとします。それが同時に起こったら、では死者は1万1千人かというと、決してそうではないわけですね。

放射能から避難しようと思っても、地震の被害で、津波や液状化で道路、橋はずたずた、建物はたくさん倒れて、道路をふさいでいるということで、逃げようにも逃げられない。浜岡の原発事故に対処しようと思っても対処できない。一方、新幹線が脱線、転覆して閉じ込められている、あるいは無数の家屋が倒壊してその中に、まだ生きているけれども閉じ込められている。そういう人たちを、ふだんであれば、まさに神戸のときのように、あのときはちょっと時間がおくれてしまったわけですけれども、それこそ自衛隊やボランティアが駆けつけて救出するということができるわけですけれども、非常に強い放射能があるわけです、襲ってくるわけですから、恐らくそれはできない。まあ、どうなるかわかりません、決死隊が行くのか何かわかりませんけれども。通常の震災による生き埋めの人、救出できる人がかなり見殺しになるんではないか。そうすると、死者が数万人にも十万人にも及ぶわけです。そういうことが東海地方で起こりかねない。

さらに、東京に目を移しますと、やや長周期の震動で超高層ビルや何かが被害を受けて、大勢の人がブルーテントで地面に避難しているというような、そこへ放射能雲がやってくるわけです。気象条件によっては、かなり東京でも放射能レベルが高いものがやってきます。そういう場合、本来、人々は密閉された建物の中に避難すべきなんでありますが、怖くて避難できないですし、避難していても水も何もないから暮らせないということで、これは大変なことになります。

それで、大体東京あたり、もっと遠くまで長期避難しなければなりません。急性死亡はしませんけれども、そこにとどまっておりますと体外被曝、体内被曝というものを受けて、長年のうちにはがんで死ぬおそれがある、また子孫に遺伝的な影響を与えるということで、避難しなければいけません。しかし、この膨大な首都圏の人間がどうやって避難するのか。それは大変なことであります。

そういう首都圏を、例えば翌年、今度東京直下地震が襲う。そうすると、放射能のために本格的な修理もできないでいた、壊れた、損傷した超高層ビルなんというのが、非常なダメージを受けて弱くなっていますから、これが轟音を立てて崩れるというようなことが起こるかもしれない。というわけで、さらに災害は増幅される。そもそも東京は放棄せざるを得ない。首都を喪失するわけです。そこに至るまでの静岡県や神奈川県という国土も、もう長年人が住めない、土地が喪失、国土が喪失される。そもそも水源が汚染されますから水が飲めない、人は暮らせないということになります。これは日本の衰亡に至るであろう。

大体、東海地震が起こった途端に、世界の国債市場で日本の国債が暴落するとかで、世界経済は混乱しますし大変なことだと思いますが、この原発震災が起これば、これはもう本当に、物理的にも社会的にも日本の衰亡に至りかねないと思うわけです。

こういうことがすべて同時に起こりますと本当に大変なわけで、これにどう対処したらいいか。これはもう地震防災対策というようなことではしのぎ切れない。中央防災会議が平成15年の5月に東海地震対策大綱というものを立てまして、例えば、事前に自衛隊がどこへどこの部隊を投入するというような計画をきちんと立てておいて、それに従って、発災した場合の対応を決めるということをやりましたけれども、この浜岡原発震災が起これば、そういうものは吹き飛んでしまうわけです。

結局、私は、現在の日本の国土とか社会の情勢、非常に地震に弱くなっていて、例えば地方の小さな山村とか地方都市も、地震に襲われたとき、本来はそこが自立して完結して震災後の対応をしなければいけないんですけれども、そういうことができないような状況になっている。ということで、私たちの暮らし方の根本的な変革が必要ではないかと考えています。これは、決して地震とか自然災害に対して受け身、消極的にやむを得ずやるのではなくて、これ以外のあらゆる問題に通じると思います。現在、日本でも世界でも21世紀の非常に大きな問題でありますエネルギー、食糧、あるいは廃棄物、環境、そういった問題にすべて通じることである。私の前のお話の地方分権にも通じることだと思います。

そもそも、日本列島にいる限り、地震と共存する文化というものを確立しなければならない。つまり、従来は自然と対決する文明で、それに対して最新技術でもってバックアップしようという考え方でしたけれども、自然の摂理に逆らわない文明というものを我々はつくっていかなければならないと思います。

要するに、開発の論理、あるいは効率、集積、利便性の論理、それから東京一極集中、都市集中の論理、そういうものをやはり見直して、保全とか小規模、多極分散、安全と落ちつき、地方自立、国土の自然力と農山漁村の回復といったようなことをキーワードにして根本的な変革が必要であると、地震災害を考えると私は強く思います。

なお、原子力発電所に関しては、これはいろいろなほかの問題もあるわけですけれども、本当に危険でありまして、浜岡だけではありません。例えば若狭湾に13基の商業用原発がありますけれども、ここも地震の危険性は高いところであります。そういうことからして、全国の原子力発電所の原発震災のリスクというものをきちんと評価して、その危険度の高いものから順に、段階的に縮小する。必然的に古いものが縮小されることになると思いますので、そういうことを考えない限り、大変なことが起こって、世界が一斉に救援に来てくれて、同情してくれるでしょうけれども、逆に世界じゅうから厳しい非難を浴びるということにもなりかねないわけで、こういうことを急いでやることは日本の責務だろうと思います。

以上です。どうもありがとうございました。(拍手)

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学教職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員(教宣部長)、労働運動総合研究所(労働総研)理事、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者、日本機関紙協会常任理事(SNS担当)、「わたしの仕事8時間プロジェクト」(雇用共同アクションのSNSプロジェクト)メンバー。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)があります。

この著者の最新の記事

関連記事

コメントは利用できません。

ピックアップ記事

  1. 2021年の仕事納めってことで2021年に私がツイートしたものでインプレッション(ツイートがTwit…
  2. 国公労連は、#春闘2021 のハッシュタグを付けるなどしてツイッターでキャンペーンを展開中です。3月…
  3. 2020年で自分のツイッターアカウントにおいて、インプレッション(ユーザーがツイッターでこのツイート…
  4. 5月1日のメーデーで、国公労連と各単組本部は霞が関においてソーシャルディスタンスを確保しながらスタン…
  5. 京都総評
    2019年の自分のツイートのインプレッション(読まれた回数)を見てみました。15万以上読まれたのは以…

NEW

ページ上部へ戻る