安倍首相は毎日がエイプリルフール=「8年ぶりの正規雇用増で日本経済回復」→事実はアベノミクスで正規雇用36万人減で実質賃金も家計消費も過去最低となり大企業の景気判断も悪化

来年度予算成立にあたって3月29日に行われた安倍首相の記者会見。安倍首相は次のように発言しています。

昨年は正規雇用が8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。「非正規労働者ばかりが増えている」という批判もありましたが、昨年は非正規雇用の増加よりも正規雇用の増加が上回った。これは21年ぶりの出来事であります。我が国の雇用・所得環境は順調に改善を続けており、日本経済の回復傾向に変わりはないと考えております。(3月29日の安倍首相の記者会見より)

アベノミクスで正規雇用が随分増えて景気が回復していると安倍首相は言っているわけですが、本当でしょうか? まず正規雇用です。総務省の「労働力調査」のエクセル表をキャプチャしたものが以下です。

安倍首相が言う「昨年は正規雇用が8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました」や「昨年は非正規雇用の増加よりも正規雇用の増加が上回った。これは21年ぶりの出来事」というのが詭弁であることは、上のエクセル表から正規雇用数をグラフにしてみるとよくわかります。(※上の表からも赤枠にあるように、安倍政権下で非正規数と非正規率は過去最低を記録していることが分かります)

上のグラフで分かるように、アベノミクスの3年間で正規雇用労働者数は激減してこの14年間で最低になっているのです。2013年、2014年と正規雇用をかつてない勢いで減らしておきながら、2015年だけ増えたことを持って、安倍首相は「昨年は正規雇用が8年ぶりに増加に転じ」「21年ぶりの出来事」などと誇っているわけです。しかし、上のグラフを見てわかるように、増えたという2015年の正規雇用数ですら安倍政権以前のどの数字よりはるかに少ないのです。これが詭弁でなくていったい何なんでしょうか。マスコミの記者はこんな詭弁だらけの記者会見を質問で問いただすことなくよくも平然と聴いていられるものだと思います。

次に安倍首相の「我が国の雇用・所得環境は順調に改善を続けており、日本経済の回復傾向に変わりはない」という発言です。下のグラフにあるように、「所得環境」はアベノミクスによって3年連続で実質賃金の最低を更新し続けています。

そして下のグラフにあるように、家計消費はアベノミクスで激しく落ち込んでいます。

このような状況ですから当然の結果ですが、きょうのNHKニュースです。

 

大企業製造業の景気判断 2期ぶり悪化 日銀短観
NHKニュース 4月1日 8時53分

日銀が1日発表した短観=企業短期経済観測調査で、代表的な指標となっている大企業の製造業の景気判断は2期ぶりに悪化し、年明けから進んだ円高による収益悪化への懸念が企業の景気判断に悪影響を及ぼしたかたちです。

日銀の短観は、およそ1万1000の企業を対象に景気をどう見ているのかをおよそ3か月ごとに調査しているもので、今回の調査期間はことし2月下旬から31日まででした。

それによりますと、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値は、代表的な指標となっている大企業の製造業でプラス6ポイントとなり、前回12月の調査を6ポイント下回って2期ぶりに悪化しました。これは中国など新興国経済の減速に加え、年明けから円高が進んだことで、製造業の間で収益悪化への懸念が強まったためで業種別では「鉄鋼」や「電気機械」などの景気判断が悪化しています。
一方、大企業の非製造業は外国人旅行者の消費の勢いが弱まったことや、個人消費の低迷が影響したことから前回を3ポイント下回ってプラス22ポイントとなり、6期=1年半ぶりの悪化となりました。

業種別では「宿泊・飲食サービス」や「小売」などの景気判断が悪化しています。先行きについては大企業の製造業で3ポイント、大企業の非製造業で5ポイントそれぞれ悪化すると見込んでいます。

今回の短観は日銀がマイナス金利政策を導入してから初めての調査となりますが、金利全般が低下し、資金調達がしやすくなるなかでも円高などの影響で企業が景気の先行きに対して、慎重な見方を強めていることが明らかになりました。

まさにアベノミクス不況に陥っているわけですが、安倍首相が強弁する「順調に改善を続けている」ものがあるとすると、以下のグラフにあるように、大企業の役員と富裕層と自民党のふところだけなのです。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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