安倍首相「税金は国民から吸い上げたもの」=日本の税・社会保険料は富裕層(年所得100億円超)より貧困層(150万円以下)から多く吸い上げている、しかも社会保険料の国際比較で労働者負担は重く企業負担は軽い

以前、「貧困拡大する政府・財界への抵抗を沈静化させ中下層の政治勢力化防ぐ「上層社会統合」=社会の上層・高所得層への「利益供与システム」=年収100億円の富裕層は年収100万円の貧困層より税・社会保険料負担が低い」という記事の中で、年所得100億円を超える富裕層の税・社会保険料負担率18.9%というのは、所得100万円の貧困層の20.2%よりも低くなっていることを、私が労働総研の労働者状態分析部会でお世話になっている財政問題研究者の垣内亮さんが作成した「申告所得に対する税・社会保険料負担率」をグラフ化して紹介しました。今回は、直近の2014年分の国税庁「申告所得税の実態」から垣内亮さんが作成されたデータを基にグラフにして紹介します。

上のグラフは、「所得税・住民税・社会保険料負担率」をそれぞれ折れ線グラフにしたものです。年所得1億円超から税・社会保険料負担率は下がってしまう逆進性になっています。とりわけ社会保険料負担率は、貧困層の「年所得100万円超~200万円以下」が負担率16.7%と最も重い負担になってしまっているという酷い状況です。

上のグラフは、「所得税・住民税・社会保険料負担率」の積み上げグラフです。年所得100億円超の富裕層の負担率22.4%は、所得「100万円超~150万円以下」の貧困層の負担率22.8%より、低くなってしまっています。所得が高くなるほど負担率が低くなる「所得税・住民税・社会保険料負担率」の逆進性を改善しない限り、徹頭徹尾の逆進税である消費税増税などありえないのです。

それでは、この日本の社会保険料負担率は国際的に見ると、どの程度なのでしょうか? OECDの直近データは2014年ですのでそれをグラフにしてみました。

上のグラフは、労働者の社会保険料負担率の国際比較です。日本は、OECD34カ国の中で9番目に多い12.3%です。OECD34カ国平均の8.3%の1.48倍です。

上のグラフは、企業の社会保険料負担率の国際比較です。日本は、OECD34カ国の中で18番目に多い12.9%です。OECD34カ国平均の14.3%より少なくなっています。

日本の社会保険料負担は、労働者の負担は重く、企業の負担は軽いのが特徴なのです。

そして、冒頭に見たように、貧困層の「年所得100万円超~200万円以下」が最も負担が重いという日本の社会保険料は、所得再分配機能を発揮する必要がある社会保障のあり方と逆行するものになっていると言わざるをえません。

日本政府は、「所得税・住民税・社会保険料負担」の逆進性をあらためるとともに、社会保険料負担における労働者の負担を軽くし、企業の負担を重くすることを直ちに行うべきです。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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