安倍首相「正社員も雇用増」「実質賃金下がった原因はパート増」→事実はアベノミクスの3年間で「正社員27万人減」「パート除いた一般労働者の賃金3.1ポイント減」「正規も非正規も賃下げで労働分配率激減」

テレ朝の報道です。

一般労働者の2015年実質賃金もマイナス 厚労省
テレ朝news 2016/02/08 23:54

厚生労働省の調査で、パートタイマーを除いた一般労働者の実質賃金も減少していることが分かりました。

物価の上昇分を差し引いた「実質賃金」の減少を巡っては、先月、安倍総理大臣が国会で「景気が回復してパートで働く人が増えたため、一人あたりの平均賃金が低く出ている」と説明していました。しかし、厚労省が8日に発表した「毎月勤労統計調査」では、パートを除いた「一般労働者」に限っても、2015年の年間の実質賃金は前の年よりも0.6%減ったことが分かりました。一般労働者の実質賃金がマイナスとなったのは2012年から4年連続です。また、パート労働者の去年の実質賃金は0.5%の減少で、3年連続のマイナスとなっています。

先日、『週刊金曜日』に関連する記事を私、書いたこともあり、厚労省の「毎月勤労統計調査」はすべて見ていたのですが、そもそも「パートを除いた『一般労働者』」の実質賃金のデータは無かったように思ったので不思議に思いました。それで「毎月勤労統計調査」を再度見てみましたがそのものズバリはありませんでしたが、「毎月勤労統計調査 平成27年分結果速報の解説」の中に、パートと一般労働者別の賃金指数がありました。実質賃金は、賃金指数を消費者物価指数で割れば出て来るので、それで計算すると上記のテレ朝報道の数字に行くつくわけです。ネットで見られるマスコミ報道の中では、「しんぶん赤旗」を除き、このテレ朝だけがこの点を突いていて鋭いと思いました。そうして計算した数字でグラフを作ると以下になります。下のグラフにあるように、民主党政権時の2012年からアベノミクスの3年間で、パートを除いた一般労働者の賃金も3.1ポイントも下がっているのです。

上のグラフにあるように労働者全体の実質賃金が下がり続けていることに対して、安倍首相は今国会で「景気が回復してパートで働く人が増えたため、一人あたりの平均賃金が低く出ている」と繰り返し答弁してきたわけですが、まったくのウソ、デタラメであることが政府統計で明らかになりました。

それから、安倍首相は、今国会の施政方針演説(1月22日)の中で、「雇用は110万人以上増え、正社員も増加に転じました。」「昨年は17年ぶりの高い賃上げも実現しました。」と述べ、国会答弁でも同様のことを繰り返しています。

「17年ぶりの高い賃上げ」のウソとデタラメはすでに見た通りです。もうひとつの「正社員も増加に転じました」というのは本当でしょうか? 下のグラフは、総務省の「労働力調査(基本集計) 平成27年(2015年)平均(速報)結果」(1月29日公表)から作ってみたものです。

上のグラフを見てわかるように、アベノミクスの3年間で、「正社員は27万人も減少しました」というのが本当のことです。(※まだ「速報」で「確報」ではありませんが、いくらなんでも減少が増加にまで転じることはないでしょう)

アベノミクスの3年間で、正規雇用は減り、非正規雇用は増え、正規も非正規も実質賃金が下がっているのが客観的事実です。その結果、内閣府のミニ経済白書においても下のグラフにある労働分配率の低下を嘆きながら、経済の好循環のためには、「企業は設備投資や賃金など前向きなキャッシュアウトを行っていくことが重要である。」と指摘せざるをえないのです。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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