富裕層1%が世界の富の半分以上を初独占、富裕層に1%課税すれば消費税増税必要なし、日本の富裕層は今後5年で7割増加する一方で貯蓄ゼロ単身世帯は半数近くになり貧困率16.1%と過去最悪を更新

クレディ・スイスによる「2015年度グローバル・ウェルス・レポート」が発表されています。

このレポートで驚いた点とグラフ等は以下です。

◆最も裕福な上位1%の富のシェアが2008年の44.4%から2015年には50.4%に上昇。上位1%が2000年代で初めて世界の富の半分以上を占めた。

◆ミリオネア(純資産百万米ドル以上、1億2千万円以上の富裕層)のグループは全人口のわずか0.7%を占めるのみである一方、世界の富の45.2%を独占。富の分布は富裕層に偏っている。(▼下のグラフ参照)

◆最も裕福な上位10%が世界の富の87.7%を所有。

◆日本のミリオネア(純資産百万米ドル以上、1億2千万円以上の富裕層)は212万6千人で国別では世界第3位で日本の全人口の約2%にあたり、2020年には69%増加し359万1千人になる見通し。(▼下のグラフと表参照)

◆資産5000万ドル以上(60億円以上)の超富裕層は世界で12万3,800人。そのうち日本人は2,468人。

それから、「日本最大級の富裕層向け情報専門メディア ― YUCASEE media(ゆかしメディア)」によると、「日本の富裕層ヒエラルキーの分布は次のようになる」とのことです。

 

◆資産別分布人数と主な構成プレイヤー(敬称略)

・1000億円以上      14人(15人)
柳井正、孫正義、三木谷浩史

・500億円~1000億円未満  33人(36人)
稲盛和夫、國分勘兵衛、金沢要求

・100億円~500億円未満   702人(806人)
石橋寛、宮内義彦、多田勝美、ビートたけし、イチロー

・50億円~100億円未満   1719人(2029人)
秋元康、鳩山由紀夫、鳩山邦夫、マックスむらい、松浦勝人

・10億円~50億円未満    3万7169人(4万5463人)
ダルビッシュ有、浜崎あゆみ

・5億円~10億円未満   9万1969人(11万4518人)
多数

・1億円~5億円未満 199万4004人(256万4942人)
多数
()内は前年2014年

富裕層の資産をごく単純に計算してみると、

1000億円以上×14人=1兆4千億円
500億円×33人=1兆6,500億円
100億円×702人=7兆200億円
50億円×1719人=8兆5,950億円
10億円×3万7169人=37兆1,690億円
5億円×9万1969人=45兆9,845億円
1億円×199万4004人=199兆4,004億円
合計301兆2,189億円

上の計算は幅がある資産の下の数字で計算していますから、少なく見積もってもという数字です。

食料品など税率据え置きで税収が減るといわれる1兆円を差し引いても消費税率の2%引き上げによる増税分4兆4千億円というのは、富裕層資産のたったの1.46%分です。

それで、所得階級別の所得税負担率(2013年度)は以下になります。フローの1年間の所得と、ストックの純資産は違うので、単純に比較できるものではありませんが、下のグラフにあるように超富裕層は所得税負担率が十数%も低いわけですから、わずか1.46%ぐらいの富裕税をかしてもまったく微々たるものではないでしょうか。いずれにせよ、応能負担の所得税率をきちんと実行しさえすれば消費税増税などまったく必要ないのです。

それから、富裕層に富が独占される一方で、金融資産ゼロは、下のグラフにあるように、2人以上世帯で30.9%単身世帯で47.6%、単身世帯年齢別で20代は62.9%にものぼり、どの数字も過去最悪のものとなっています。

また、12月18日に厚労省等が公表した相対的貧困率は、16.1%と過去最悪になっているのです。(下の表参照)

過去最悪の規模に増大している貧困層からさらに収奪する消費税増税は即刻中止して、応能負担原則を貫く所得税を早急に確立すべきです。クレディ・スイスによると、日本の富裕層は2020年には69%も現在より増加するわけですから、なおさら応能負担原則の所得税の確立は重要になってくると思います。

井上 伸月刊誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)本部書記、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、月刊誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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