安倍政権が狙う国立大学費93万円の異常、今でも学費45倍増に対し賃金2割減、日本の私費負担はOECD平均の2倍、大学院生の女性割合は世界最低

  • 2015/12/2
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今朝の朝日新聞の報道です。

国立大授業料、54万円が93万円に 2031年度試算
朝日新聞2015年12月2日09時08分

文部科学省は1日、年間約54万円の国立大学授業料について、2031年度には93万円程度に上がるという試算を示した。大学の収入の核となる国の運営費交付金が大幅に減らされる可能性があり、大学が減らなければ、授業料で減収分を賄う必要性があるという。

この問題に対する、野川忍明治大学教授のツイートです。

野川教授が指摘しているように、今でも国立大学の授業料は、1974年の15倍、1972年の45倍にも上がっています。年間93万円になってしまったら1974年の25.8倍、1972年の77.5倍にも上がることになります。賃金はそれに見合って上がっているのでしょうか?

以前、「日本の労働分配率はこの30年で2割減、アメリカの3倍も激減=日本企業の内部留保は過去最高で貧困は過去最悪」で紹介したグラフが以下です。

グラフを見て分かるように、70年代から日本の賃金は労働分配率で2割も下がっていますし、下のグラフにあるように、この10年間の実質賃金を見ても先進主要国で日本だけが下がっています。賃金は下がって国立大学の授業料は77.5倍も上がる国なんて異常以外の何ものでもありません。(※下のグラフは、全労連の伊藤圭一さん作成)

上のグラフは、OECDによる高等教育費の私費負担割合の国際比較で、直近の2012年のデータです。

以下は、このデータ等についてのOECDの指摘です。(※中見出しは私が付けたものです)

日本の高等教育の私費負担はOECD加盟国平均の2倍以上

OECD加盟国平均で、初等教育機関から高等教育機関に至るまで教育機関に対する支出の83%が公財政支出で賄われている。日本は公財政教育支出の割合(70%)が最も低い国の一つであるが、これは主に高等教育の私費負担(高額の授業料)の割合が高いことによる(OECD加盟国平均30.3%に対し、日本は65.7%)。

日本は国立でも私立でも高学費
しかも私立の学生割合の方が異常に高い逆立ちした国

日本は、高等教育段階の学生の大多数が私立教育機関に在学している数少ないOECD加盟国の一つである。2013年には、高等教育段階の学生の79%が私立教育機関に在学していたのに対し、国公立教育機関に在学していた学生の割合は21%だった(OECD平均では私立が31%、国公立が69%)。これらの学生は、国公立でも私立でも、特に高額の授業料を請求されている。

日本は上級学位課程を修了する若者は比較的少ない。修士課程を修了するのはわずか8%(OECD平均は17%)、博士課程は1.2%(OECD平均は1.7%)である。

大学院生の女性割合が世界最低

日本では、後期中等教育の初回卒業率は男女ともに高い(男性96%、女性98%)が、高等教育段階では大幅な男女差がある。2014年の25~34歳の年齢層の高等教育の学歴取得率を見ると、日本では男性の割合(OECD平均36%に対し、42%)が女性の割合(OECD平均46%に対し、31%)より高い。男性の学歴取得率の方が女性よりも高い国は、OECD加盟国ではわずか3か国しかない。

日本では、2013年の高等教育初回修了者の51%は女性だったが(OECD平均は57%)、修了者に占める女性の割合は高等教育の課程が上がるほど低下する。短期高等教育課程では初回修了者の62%が女性だったのに対して、学士(または同等の)課程では45%、修士(または同等の)課程では33%、博士(または同等の)課程では30%だった。学士、修士、博士(または同等)のいずれの課程でも、日本は女性の占める割合がOECD加盟国で最も低い。

もう教育関係のデータを見れば見るほど、日本という国の異常さが分かりますね。

▼関連
日本の教育への公的支出6年連続で先進国最下位、途上国等含めても123位と異常な下位、一方で軍事費は世界8位とトップテン入り、国際比較で見る日本は人殺しの武器には税金を注ぐが教育には使わない異常な国

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学教職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員(教宣部長)、労働運動総合研究所(労働総研)理事、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者、日本機関紙協会常任理事(SNS担当)、「わたしの仕事8時間プロジェクト」(雇用共同アクションのSNSプロジェクト)メンバー。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)があります。

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