家族の絆が大切と言って家族への公的支援はイギリスやフランスの半分以下の日本、社会保障費全体(2013年)でもフランスの68%しかない日本、「寄付」や「家族の支えあい」にすり替え社会保障削減狙う安倍政権

  • 2015/10/26
  • 家族の絆が大切と言って家族への公的支援はイギリスやフランスの半分以下の日本、社会保障費全体(2013年)でもフランスの68%しかない日本、「寄付」や「家族の支えあい」にすり替え社会保障削減狙う安倍政権 はコメントを受け付けていません。

(※0ECDの直近データを見ていて気づいたので紹介しておきます。※上の写真は、ひとり親を救え!プロジェクトによる「子どもを5,000円で育てられますか?貧困で苦しむひとり親の低すぎる給付を増額してください!」キャンペーンより)

家族が大切というのなら、まずもって家族への公的支援をするのが普通の政府だと思いますが、客観的に見ると日本ほど家族への公的支援が少ない国はそうそうありません。

 

上のグラフは、OECDによる家族への公的支援の国際比較です。そして下がその数字です。

 

日本の家族への公的支援1.74%というのは、イギリス、デンマーク、アイルランド、ハンガリー、ルクセンブルク、スウェーデン、フランス、アイスランドの半分以下です。

そもそも社会保障への公的支出全体を比較しても下のグラフ(OECDの直近データ)にあるように、OECD34カ国平均を少し上回ってはいますが、フランスの68%しかありません。

 

こうした日本の社会保障の貧困、とりわけ家族への公的支援の貧困が直接あらわれているデータのひとつが下のグラフにある日本の低い出生率(OECDの直近データ)だと思います。

いま、ひとり親を救え!プロジェクトが「子どもを5,000円で育てられますか?貧困で苦しむひとり親の低すぎる給付を増額してください!」というネット署名を集めるキャンペーンを行っています。家族への公的支援が半分以下しかない日本という現状などからして当然のキャンペーンだと思います。

安倍政権は、子どもの貧困対策で寄付をつのったり、「家族の絆」だけを強調したりするなど、政府の責任を放棄しています。こうした安倍政権の動きを、稲葉剛さんは社会保障削減を家族による支えあいで代替させようとする「絆原理主義」だとして批判しています。

実際、「家族の絆」の強調とあわせて、財務省やマスコミなどは日本の社会保障費の増大が財政危機をもたらしているかのようなことを吹聴し社会保障削減は必至であるかのような論調を拡散しています。しかし、上の2つのグラフにあるように、日本の家族への公的支援は激しく少なく社会保障費全体で見ても多い方ではないのです。客観的数字で見て社会保障費が財政危機の原因でないことは明らかなのに、「寄付」や「家族の支えあい」にすり替え社会保障費削減をすすめようとしている安部政権のウソとペテンに騙されないようにする必要があります。

最後に稲葉剛さんの指摘を紹介しておきます。

昨年、生活保護法が63年ぶりに抜本改正され、扶養義務者への圧力が強化された。近年、社会保障費削減の流れの中で、「家族による支えあい」を制度の中に組み込んでいこうという動きが強まりつつある。私はこうした政治の動きを「絆原理主義」と呼んで批判してきた。

公的な支援が必要とされる領域において、「公助」を「支えあい」で代替させようとするのは、生存権保障の後退であり、国による責任逃れに他ならないからである。今回のアンケート結果は、むしろ「家族による支えあい」に依存し過ぎた日本社会の歪みを映し出しているように私には思える。

これ以上、「支えあい」を強調するのは、危険すぎる道である。

稲葉剛氏 ホームレス化しない「絆原理主義の国」の若者たち

 

井上 伸雑誌『KOKKO』編集者

投稿者プロフィール

月刊誌『経済』編集部、東京大学職員組合執行委員などをへて、現在、日本国家公務員労働組合連合会(略称=国公労連)中央執行委員、労働運動総合研究所(労働総研)労働者状態分析部会部員、福祉国家構想研究会事務局員、雑誌『KOKKO』(堀之内出版)編集者、国公一般ブログ「すくらむ」管理者。著書に、山家悠紀夫さんとの共著『消費税増税の大ウソ――「財政破綻」論の真実』(大月書店)がある。ここでは、行財政のあり方の問題や、労働組合運動についての発信とともに、雑誌編集者としてインタビューしている、さまざまな分野の研究者等の言説なども紹介します。

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